RED RAW 素材のグリーンバック合成
JPEG, MPEG2, Avid DNxHD, Apple ProResなど、一般的な動画圧縮方式では、離散コサイン変換(DCT)という方式が使われています。この方式では、いわゆるブロックノイズ、モスキートノイズが発生するケースが多くあります。
これに対して、RED RAWではウェーブレット変換という方式が採用されており、画像中の高周波成分(コントラストがはっきりとしている箇所)でも高品質に表現が可能となっています。
また、4:2:2圧縮のように色成分の解像度情報も失われることはありません。RED RAWとProRes 422素材をAfter Effects CS4に読み込み、Keylightによるグリーンバック合成を比較してみました。以下本文にて。
※クリックするとオリジナル画像(1920×1176)が表示されます上の画像は、グリーバンック撮影されたRED RAWのR3Dと、そのファイルから変換したProRes 422(HQ)のファイルを同一コンポジションに並べ、Keylightでキー抜き、さらに400%に拡大して、スクリーンショットを取ったものです。グリーンバック合成時のクオリティの差がよく分かりますね。色情報が半分の4:2:2素材では、エッジ部分がどうしても階段状になってしまいます。またエッジだけでなく、肌の質感もR3Dのやわらかな感じが失われています。と、ここまでだと、RED RAWのR3Dがいかにすばらしいかということになってしまいますが、良いことばかりではありません。R3Dで利用されているウェーブレット変換は、処理に時間がかかるという欠点もあります。例えば2秒間、サイズが2048×1152のコンポジションで、R3D素材からKeylightで単純なキー合成を行った場合、約2分半とかなりのレンダリング時間を要します。(Quad Core 2.26GHz/8GB/Vista 64bit)最終出力がHDCAM程度のフォーマットであれば、RED RAWから中間コーデックに変換した方がレンダリング時間が高速になるというメリットがありますし、クオリティを重視するのであれば、RED RAWのままで作業したほうが良いと言えます。作業に適したワークフローを選択しよう、という当たり前のオチになってしまいました。