デジタル一眼カメラでの映像制作に関するメモ

豊富な種類のレンズ、そしてビデオカメラとは異なる画調で、デジタル一眼カメラでの映像制作例が増えているようです。ただ製作にあたって、ポスプロ段階でのノウハウが無いまま撮影すると、後がなかなか大変だったりするわけで・・・

まず、動きが早い対象を撮影する場合、ほとんどのデジタル一眼カメラでは撮影された映像に歪みが生じます。これは、撮像体(映像センサー)にCCDではなくCMOSが利用されていることが原因です。ビデオカメラで利用されているCCDは、一こまごとに映像を電気信号に変換するのに対して、CMOSでは1画素ごとに変換を行います。この方式をローリング・シャッターとも呼びます。結果として、おなじ一こまであっても一番最初の画素と一番最後の画素で、時間差があるわけです。たとえばカメラをパンした場合は、フレームの画が斜めに歪むという現象が起きます。これまで、CMOSによるこの問題は対処法がなかったのですが、先日After Effects対応のその名も「RollingShutter」というプラグインがリリースされたようなので、これを活用することもできそうです。そして、フレームレートの問題。最終の作品がテレビで視聴される場合。30.00fpsで記録するカメラでの撮影は後処理が煩雑となります。まず、29.97fpsに変換した上で編集作業を始めないと、最終の作品で予期せぬダブりごまが生じることがあります。(Premiere ProやAfter Effectsでは、「フッテージを変換」などで簡単にフレームレートを変えられます。)さらに音の問題。フレームレートの変換によって、音声の再生速度も約0.1%スローになります。また、現場で音声を別取りする場合は、業務用VTRとは異なりデジタル一眼では外部同期をかけることができないため、DVフォーマットでのアンロックオーディオのように、映像と音声の同期ずれが生じることがあります。デジタル一眼の動画収録機能は、映像製作の間口を広げ、またこれまで高価な機材でしか撮影できなかった非常に表現力の高い映像収録を実現しました。撮影された編集を行わずウェブなどで見るだけれあれば、これらの問題を気にする必要はないのですが、そうでないのであれば、上記の点に留意されたほうがよいでしょう。これまでは、撮影・編集・仕上げと各工程のスペシャリストであれば作品を仕上げることができましたが、工程全体を俯瞰して計画をたてることが重要となります。これはデジタル一眼に限らず、映像製作全般において同じことが言えるのではないでしょうか?