Adobe AIR Contest 2012 受賞作品 – 最優秀賞は「Live with the Wind.」

風を感じながら空の旅を楽しめる3Dゲーム「Live with the Wind.」が最優秀賞を獲得

今回で5回目を迎えたAdobe AIR Contest 2012。Adobe AIR Gallery(現在はAdobe AppBox)に登録されたAdobe AIRアプリケーションを対象に、著名審査員による厳正なる審査のもと、優秀作品が決定いたしました。その栄誉を称えて、素晴らしい作品をご紹介いたします。

最優秀賞 「Live with the Wind.」by 393/桜井浩幸

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【アプリの概要】

「風とともに生きる」をテーマとしたシンプルグラフィック&シンプル操作の3Dゲームです。ゲームの目的は、自力では浮上することができないグライダーを操作し、「上昇気流」「下降気流」「追い風」の3種類の風をつかみながら、より遠くへと進んでいくことです。

操作方法は親指一本での横方向へのスライド操作のみで、電車の吊り革につかまりながらでもプレイできます。GameCenter(LeaderBoard)に対応しており全世界でスコアを共有できるほか、ゲーム結果をTwitterへ投稿する機能もあります。ちょっとした空き時間や、待ち時間などの時間つぶしになるようなゲームです。軽快なサウンドともに風を感じながら空の旅を楽しんでみてください。

【開発時に努力した点】

このゲームは、以前作った同名のスクリーンセーバーのスピンオフ作品です。「グラフィックありき」というところから始めたので、どのようなルールを設けてゲームとしてまとめるかという点で一番苦労しました。シンプルさを目指して作りましたが、シンプルな中にもプレイヤーには操作しているときの気持ちよさを感じてもらえるように、風を取ったときの効果音がBGMのテンポにいい感じで同期するようにしています。

また、各種アイコンおよびUIなどの2D部分のグラフィックは、全てFlash Professional CS6で作成しました。ムービークリップのタイムラインアニメーションを使うことで、動きのあるチュートリアル画面も簡単に作成することができ、この点はFlashを使った制作ならではの強みだと感じました。

【使用ツール&テクノロジー】

Adobe Flash Professional CS6
Adobe Flash Builder 4.6
FlashDevelop

【審査員のコメント】

有川榮一 氏
グラフィック/音楽/バランスの良いルールなど、ゲームとして申し分のないアプリです。また、ネイティブ拡張(ANE)を使ってTwitterやGameCenterとの連携、Stage3Dといった目新しい技術の採用も高評価の理由です。

池田泰延 氏
これこそスマートフォンAIRアプリのお手本。というと言い過ぎかもしれませんが、滑らかな3D表現に加えて、Game CenterやTwitterとの連携など、これら充実した機能は最新版AIRに搭載されたStage3Dやネイティブ拡張の採用の賜物。個人で制作に挑戦されたということですが、この作品は「Flashがゲームアプリ制作に不自由のない技術だ」ということを示したといって差し支えないでしょう。

上条晃宏 氏
色々な面から丁寧に作り込まれていて、その一方で最新技術の取り込みにも挑戦している、作者のこだわりが感じられるアプリでした。「個人でも最優秀作を作ることができるAIR」という側面を見せてくれたのも大きかったと思います。

鈴木拓生 氏
この作品はネイティブアプリかと思う程の高い操作性を実現しており、シンプルなルールのゲームにも関わらず熱中してしまう点が一番の魅力だと感じました。また、マルチプラットフォーム対応におけるFlashテクノロジーの利点を活かし、「アプリを購入する前に、Web上で実際に体験できる」というサービスを提供しています。そうした今後のモバイルアプリのマーケティングのあり方を提示している作品でもあると思います。

野中文雄 氏
ビジュアルと操作がシンプルで、しかも飽きのこないゲームデザインです。また、レトロな見た目に対して、最新のStage3Dの技術を使っている点は評価しました。ランキングや結果をtweetできるという細かな心配りもされています。

林 信行 氏
音楽、グラフィック、そしてゲーム性のバランスが非常にいい。それでいて実はリアルタイム3Dだったり、GameCenter対応だったりと技術的にも凄い! クールかつ爽やかなゲームなのに、表彰式でのプレゼンが正反対の世界観で、それもまたそれで驚かされました(笑)。

矢野りん 氏
ゲームバランスだけでなく、楽曲などのクリエイティブのバランスもよい作品でした。ゲームが成立しているだけではダメで、グラフィック的にも構成的にも優れていないと目立たないという現実を知らしめました。

Andy Hall 氏
落ち着いた雰囲気のリラックスできるゲームで、素晴らしい作品でした。すぐに慣れることができますが、簡単には飽きないところ。そして、ゲーム性とBGMとの相性も印象的でした。

西山正一 氏
予備知識なしでこのゲームをプレイしたら、これがAIRアプリであることに気づかなかったと思います。良い意味で”Flashっぽくない”雰囲気であるにも関わらず、その実AIRの最新後術をふんだんに使っている。しかし、テクノロジー自慢のアプリではなく、あくまでもゲーム性重視という、なんとも粋なアプリ。センス良し、バランス良し、技術良し、価格良し。最優秀賞にふさわしい作品です。

轟 啓介 氏
軽快な音楽と壮快な3D空間の飛行操作だけでなく、細かいところまできちんと作り込まれているこの作品は、確固たる世界観を確立していると感じました。その裏では、FlashやAIRの3D/ネイティブ拡張といった最新機能がしっかりと使われており、アドビの人間として思わずニヤリとする作品でもありました。通勤電車内でのプレーを想定したゲームなので、敢えて加速度センサーでの飛行操作ではなく指一本での操作にしたところも、技術本位ではなく好感を持ちました。

審査員特別賞 「Guitar Friend Jam」by ローランド株式会社

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【アプリの概要】

Guitar Friend Jamは、パソコンを使って楽しくギターを練習できるアプリです。ギター専用の練習曲をネットから自動受信し、画面上には曲に合わせてコード進行が自動表示されるので、カラオケ感覚でギター練習を楽しめます。また、ローランドのギターシンセサイザーと接続すれば、演奏の指使いを完璧に画面に表示します。さらに演奏をその場で採点して世界ランキングで表示したり、Twitterにつぶやいたり、たくさんの楽しい機能が盛り込まれています。

【開発時に努力した点】

2011年に最優秀賞を受賞した「V-Drums Friend Jam」に続き、シリーズ第2弾としてギター版の開発を行いました。ローランドのギターシンセサイザーから送られる演奏時のMIDI情報(弾いている弦、フレットのポジション、ストロークの強弱など)を即座に画面上のギターフレットに高速描画する動作は、ぜひ動画でご覧いただきたいです。また、再生中の曲に合わせたコード進行表示、テクニックやダイナミクスなど5つの項目での採点、ギターのスライド/ストローク動作を使ったジェスチャー操作など、ギターならではの楽しさを生かす工夫をたくさん盛り込みました。

【使用ツール&テクノロジー】

Adobe Flash Builder 4.6
Adobe Photoshop CS5
Adobe Illustrator CS5

【審査員のコメント】

西山正一 氏
流石の”ローランドクオリティ”。開発技術の高さはもちろん、デザイン、ユーザビリティ/UX(ユーザ体験)、楽しさといった面でも、全てがしっかりとした設計思考でデザインされ、作り込まれているのがわかります。ギターを思い通りに弾けたなら、いつまでも遊んでいられると思います。昨年はドラム、今年はギターと正常進化を遂げてきて、来年はどうなっちゃうんだろう? と考えると、期待でドキドキして夜も眠れません。

林 信行 氏
「ギターの練習をゲーム化することで、さらに楽しく」というアイデアを徹底的に細かな作り込みで実現。正直レベルが高すぎて堂々の殿堂入りクラスの貫禄を感じました!

エンタープライズ賞 「SketchPage」by 株式会社アラタナ

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【アプリの概要】

「SketchPage(スケッチページ)」はネットショップ制作のためのアプリです。ネットショップ制作には、HTMLやイラストツールの専門的な知識の習得が必要です。そのような苦労を、SketchPageの2大機能「ページ編集機能」と「画像編集機能」が解決します。

ページ編集機能を使えば、画像やテキストブロックをパズルのようにドラッグ&ドロップで配置し、バナーや商品の画像/説明を当て込むことで簡単に商品紹介ページを作成できます。作成したページはブラウザーで即座に確認できます。

画像編集機能では、ネットショップ制作に便利なスタンプが1,000種類以上も用意されており、その中から自由に選んで画像やキャンバスの上に配置できます。さらに移動/回転/拡大縮小/色の変更/文字の変更をすることで、プロレベルのバナーが簡単に作成できます。また、SVGデータの取り込み機能を使えば、Illustratorで作成したロゴなどをスタンプとして利用できます。

【開発時に努力した点】

SketchPageのページ編集機能は、複数のネットショップに対応しています。ネットショップごとに文字数制限や禁止タグがあり、レイアウトの崩れも起こるため、一つひとつ確認しながら丁寧に対応しました。また、こうしたデジタルツールに不慣れなお客様もいるため、徹底して分かりやすいユーザインターフェイスを考えました。

【使用ツール&テクノロジー】

Adobe Flash Builder 4.6 Premium
Adobe Illustrator CS6
Adobe Fireworks CS6

【審査員のコメント】

林 信行 氏
種類は限定されるけれど、かなり本格的なWebページ作成ができてしまうことにビックリ。これは凄い! いくつかのeコマースサイトにも最初から対応。どれくらいの人が活用しているのか知りたい!

有川榮一 氏
操作性/コンテンツの豊富さ/各種サービスとの連携など、高機能なアプリだと思います。「デスクトップアプリをAIRで開発!」ということを示している作品だと思いました。

エンタープライズ賞 2位「Cowsee」 by 宇都宮ウエブ制作所

【アプリの概要】

指定した更新日時以降に変更されたファイルを調べ、別のディレクトリに書き出すアプリです。

【審査員のコメント】

矢野りん 氏
なんという泥臭い発想だ。と、審査員を納品前の緊張感まっただ中に陥れました。「納品用ファイルを効率的に探し出すだけ」という発想を簡単に形にできてしまうAIRは、ゲーム開発だけでなく制作者みんなの味方であると確信しました。

エンタープライズ賞 3位「Multisize Resizer」 by foka

【アプリの概要】

画像を複数サイズに一括でリサイズします。サムネイルと詳細画像を一度に作りたいとき、リサイズ設定を保存して使いまわしたいときなどに便利なリサイズアプリです。

【審査員のコメント】

西山正一 氏
カジュアルで実用的。しかも、必要な設定項目はきちんと押さえてある、とても優秀なアプリだと思います。画像サムネイルを作る作業は結構面倒でかつ作業頻度も高いので、必要としている人はかなり多いのではないかと思います。今後もこのような優秀で便利なアプリをたくさん作ってくれると嬉しいです。

エンターテイメント賞 「Janken Beats」 by Psychodive Works/宮崎康徳

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【アプリの概要】

「Janken Beats(ジャンケンビーツ)」は、ビートに合わせて後出しジャンケンをしていくゲームです。2種類のゲームモードと、4つの難易度があります。

<ゲームモード>
BEATモード:BGMのビートに合わせてジャンケンボタンをタッチ。タイミングによって「GREAT→GOOD→OK」の3段階で評価されます。一定のリズムでGREATを連続で出すとGROOVEボーナスを獲得できます。
SPEEDモード:制限時間内に何回ジャンケンできるかを競うモードです。2秒以内にジャンケンボタンをタッチしないと時間切れとなってミスになります。

<難易度>
EASY:連続で勝ち続けます。
MEDIUM:連続で負け続けます。
HARD:勝ち負けがランダムで決まります。
VERY HARD:勝ち負けがランダムで決まります。さらにジャンケンボタンの配置もランダムで変わります。

【開発時に努力した点】

単に後出しジャンケンするだけでは面白みに欠けるので、ゲームらしくプレイヤーのテクニック次第でスコアを稼げるシステムを作りたいと考えました。その結果、生まれたのが「GROOVEボーナス」です。GROOVEボーナスの条件となる“一定のリズム”は数パターンあるので初心者でも獲得可能になっています。敷居は低いけど極めると数百万点稼げる、なかなか深いシステムになったと思います。その分、プログラミングには苦労しました。

連続で正解するとBGMが変化していくシステムや、レベルアップによるアンロック要素、ボタンの配置位置を端末の持ち方で変更できるようにしたり、当時の自分にできる精一杯のものを詰め込みました。初めてのアプリ開発にしては良いものができたのではないか、と思っております。

【使用ツール&テクノロジー】

Adobe Flash Professional CS5.5
Adobe Photoshop CS5
Adobe Illustrator CS5
FL Studio 10

【審査員のコメント】

Andy Hall 氏
シンプルなアイデアながらハマってしまうリズムゲームです! ゲームプレイが楽しいのはもちろんのこと、複数でのプレイモードやアンロック機能など、色々な面で完璧に磨き上げられていて、何度もやりたくなる作品です。今後の作品も楽しみにしています。

上条晃宏 氏
ゲームとして成立させるために、デバイスの特性が上手に使われていると思いました。他の応募作品にないユニークな楽しみ方がエンターテイメント賞への後押しになったと思います。

エンターテイメント賞 2位「きょうのしかく」 by 中野 亘

【アプリの概要】

1日5秒のゲーム日めくり「きょうのしかく」。画面上の四角形をタッチやスワイプで動かし“今日の日付”を探し出す、365日毎日変わるパズル的なカレンダーです。

【審査員のコメント】

池田泰延 氏
365個の創意工夫あふれるゲームから、作者が楽しんで作っていたことが伝わってきます。昔はこういったFlashのゲームを探して遊ぶのが面白かったと思い出させてくれました。

エンターテイメント賞 3位「COW-LING」 by ben & jerry’s japan

【アプリの概要】

牛を引っ張って崖のギリギリで止めるゲームです。ギリギリになればなるほど星を獲得できます。「止めれるモーんなら止めてみろ!」

【審査員のコメント】

鈴木拓生 氏
この作品の魅力を一言で言うと、「シンプルがゆえの高い中毒性」です。言語を問わず様々な国で遊べる内容となっており、今後のマーケティング次第では、海外に輸出できる可能性があると思います。

テクニカル賞 「Air Recorder」by ローランド株式会社

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【アプリの概要】

「Air Recorder」は、リッチな画面と簡単な操作で使えるiPhone対応の高品質なレコーダーです。内蔵マイクによる録音に加え、ネイティブ拡張を使用してローランドの電子楽器(シンセサイザー、ドラム、アコーディオン)と通信したり、楽器の音をワイヤレスでダイレクトに録音できます。iTunesライブラリの曲を読み込み、再生スピードや音程の調整もでき、曲に合わせた演奏の録音もOK。対応した各種アプリへのファイルのエクスポートも可能です。

【開発時に努力した点】

通常はアプリ単体で完結するところですが、電子楽器のローランドとしては「ハードウェアとアプリを連携させる」という課題に取り組み、AIRに新しく実装されたネイティブ拡張を利用しました。このため、アプリ/ライブラリ/ハードウェアの各箇所で連携が必要でした。対応する電子楽器10機種(2012年9月現在)のそれぞれが様々な対応を行って動作しています。

アプリの象徴的なUIとなっている「弧を描くレベルーメーター」については、描画負荷を最小限に抑えながらスムーズな動作を実現するため、動きと見た目のバランス調整はリリース直前まで続けました。ひと目で「録音」「再生」「待機」の状態をアプリ全体のカラーリングで認識できる基本UIを軸に、実際の動作とユーザが期待するレスポンスを突き詰めることで、アプリ全体を通して、一貫した分かりやすい操作感を実現しています。

【使用ツール&テクノロジー】

Adobe Flash Builder 4.6
Adobe Photoshop CS5
Adobe Illustrator CS5

【審査員のコメント】

野中文雄 氏
サウンドが専門の会社ですから、技術は申し分ありません。レコーダーとしての品質と機能および操作性だけでなく、アプリを使う楽しさまで十分に考えられた完成度の高さが受賞の理由です。

鈴木拓生 氏
この作品で評価したのは、同じWi-Fi環境に繋がっている様々な楽器(デバイス)と接続できる点です。このように「モバイルデバイスを様々な機材のハブにする」という利用方法は、今後の新たなAIRアプリの活用方法を提示してくれていると感じました。

テクニカル賞 2位 「eniboard」 by eniblo

【アプリの概要】

広大なキャンパス上(高さが40億ピクセル)に、世界中の人と一緒に絵を描くことができるお絵かきツールです。絵を描いたり、地図アプリのように遠くから絵を見たり動かしたりすることができます。描いた絵はお使いのiPad/Android/PCに保存できます。

【審査員のコメント】

有川榮一 氏
40億ピクセルもの広大なキャンパスを効率よく処理し、ストレスの少ないインターフェイスを実現できていると思います。PCだけでなく、iOS/Androidというモバイルプラットフォーム向けに対応している点も高く評価しました。

マルチプラットフォーム賞 「ワクチンケース」by 中野 亘

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【アプリの概要】

「ワクチンケース」は、ケース内のパーティションを開閉してワクチンを流し込み、ウイルスを全て退治する思考型パズルゲームです。基本的なルールは以下の3つです。

  1. ウイルスは同じ色のワクチンに浸すと退治できる。
  2. ただし、ワクチンはウイルスを1体でも退治すると中和されて透明になり、効果が無くなる。
  3. 異なる色のワクチンをしきるパーティションは開くことができない。

ステージが進むと、開閉自在の回転パーティションや、バリアを持ったウイルス、ミキサーを使ってワクチンを混ぜて対応しなければならない“紫色や緑色のウイルス”が出現するなど、徐々に複雑さを増していきます。頭をフル回転させて100問以上のステージをクリアしてください。

【開発時に努力した点】

「説明書なしであそべるゲーム」を目指し、ゲーム序盤のレベルデザインに気を遣いました。順番に遊んでいくだけで自然とルールが覚えられ、プレイヤーが自らの力でクリアのコツや法則を見出せるようなつくりになったと思います。

全部で100ステージもあるため、途中でダレてしまうことは避けられないと思い、全体の構成にも気をつけました。難易度だけで並べるのではなく、5問おきにイラストをモチーフにしたステージを入れたり、難問が連続する中で、ときおり拍子抜けするような問題を織り交ぜる(またはその逆)など、流れに緩急をつけ、プレイヤーがモチベーションを保てれるよう工夫しています。そのおかげか「全ステージクリアしたよ!」と報告してくれる方も多く、その度に苦労した甲斐があったなと思っています。

【使用ツール&テクノロジー】

Flash Professional CS5.5

【審査員のコメント】

矢野りん 氏
外見的に単純なのにゲーム的には難しいので、解くのに失敗すると「自分は、バカなんじゃないか…」と不安になり、「そんなはずがない」と再度トライし、結局長時間プレイする、という目に合いました。こうした個性的な作品をマルチプラットフォームで展開できるという点に注目しました。

池田泰延 氏
こんなに面白いパズルゲームが、iOS/Androidどちらのスマートフォンでも遊べる! 面白いゲームがどちらかのOSに限定されてしまうのはもったいないです。AIRだとマルチプラットフォーム展開の労力を最小にすることができ、ゲーム本来の面白さのブラッシュアップに注力することができる。そんなことを思わせてくれた良質のゲームアプリです。

マルチプラットフォーム賞 2位「きょうのしかく」 by 中野 亘

【アプリの概要】

1日5秒のゲーム日めくり「きょうのしかく」。画面上の四角形をタッチやスワイプで動かし“今日の日付”を探し出す、365日毎日変わるパズル的なカレンダーです。

【審査員のコメント】

上条晃宏 氏
365種類の全く異なるパズルで構成されるゲーム。これをプラットフォームごとゼロから開発していたら…AIRのマルチプラットフォーム対応の利点が感じられるアプリです。ゲーム表現力の高さからエンターテイメント賞の候補にもなりました。

マルチプラットフォーム賞 3位「みんなでガント」 by ben & jerry’s japan

【アプリの概要】

みんなでガントは、ガントチャートを共有するためのアプリです。複数人でのプロジェクト管理やスケジュール管理の共有に最適です。ユーザインターフェイスや操作はいたってシンプルです。作成したガントチャートはFlexで開発されたPC版「みんなでガント.com」からも操作ができ、もちろん、その逆も可能です。

【審査員のコメント】

野中文雄 氏
AIRをビジネスアプリに活用した好例です。複数の人たちがマルチデバイスでガントチャートを共有できるのは便利です。操作もシンプルなので、初めてのユーザにも使いやすいでしょう。

Adobe AIR Contest 2012 総評

有川榮一 氏
今年のコンテストもデザイン的、ゲーム的に面白いアプリがたくさん登場しました。マルチプラットフォームの作品が多くAIRならではと実感しました。また、ネイティブ拡張(ANE)を利用することで、Flashが得意なところとネイティブ連携という今まではできなかった新しいアプリ開発への可能性を感じることができたと思います。

池田泰延 氏
エントリー作品の対象プラットフォームをみると、デスクトップ向けのみならず、スマートフォン向けも増えていることが、今年のコンテストの特徴でした。ほんの2年前の話ですが、当時のPackager for iPhoneでは再生パフォーマンスが高くはなく、Flashの表現豊かなコンテンツを満足に再生できないことに苦労した開発者は多かったのではないでしょうか。パフォーマンスの向上をはじめ、ANEの搭載によってネイティブに劣らない機能性を持ち合わせているアプリが多く見受けられ、コンテストのレベルが上がっていると感じました。また「Live with the Wind」や「ワクチンケース」をはじめ、Web上にお試しページを用意しているところは、Flashテクノロジーのマルチプラットフォーム性を活用していると好例と言えます。

上条晃宏 氏
スマホに移植されてそのまま動くアプリを見ただけで感心していた昨年のコンテストとは隔世の感がある程に1年間のレベルアップは目覚しく感じられました。アプリも「開発する」時代から「つくる」時代になってきたのなら嬉しい限りです。

鈴木拓生 氏
AIRコンテストには2008年の第1回から審査員という立場で参加させていただいておりますが、当時と比べて、今回の応募作品のほとんどがモバイルアプリになったことが非常に印象深いです。また、パフォーマンスに関しても、受賞作品だけでなく他の作品もネイティブアプリと見分けがつかない程のクオリティに仕上がっており、今後AIRで作られたアプリが様々なプラットフォーム上で広がって行くのを楽しみに思っております。

野中文雄 氏
アプリのジャンルがバリエーションに富んで楽しい反面、審査は難しかったといえます。エンジニアとしては技術面から評価に入りがちでしたが、審査員のみなさんと議論した結果、受賞作品は機能や使いやすさ、楽しさなどのバランスに優れたものが多かったと思います。

林 信行 氏
これはスマホアプリコンテストなのかと思うほど、スマートフォン向けの作品が多かったことが印象に残りました。今やAIR使った開発もターゲットはスマホなんだなぁ、とあらためて実感。もちろん、PC向けAIRの作品もさらに先を行っていて、もうこんなものまでAIRで作る時代になったんだ…と改めて感心させられました。

矢野りん 氏
ツールからゲームまで幅広い作品が集まりました。モバイル向けの作品が増えたのも印象的でした。FlashやAIRの開発者はクリエイティビティやアイデア力が強大で、とおりいっぺんの開発者よりも発想が柔軟であるという事実は今年も揺るぎなかったです。サービス立ち上げとかスタートアップとかもよいですが、ビジネス的にどうこうでなく、AIRアプリは「作り手の心の赴くまま作られている」というだけですごく優位性があるんじゃないでしょうか。これが2012年で一番強く感じたことです。

Andy Hall 氏
マルチデバイス、マルチスクリーン対応のアプリも多くてびっくりしました。やはり現在のアプリ開発ではマルチプラットフォーム対応が必須だと感じました。次回のAIRコンの応募作品でも期待しています!

西山正一 氏
今回のAIRコンテストて強く感じたのはズバリ「アプリとしてのクオリティが全体的にとても高くなった」につきます。これも、これまでコンテストで受賞されてきた多くのアプリが良い刺激となり、手本となってきたからだと思います。次回のコンテストでも予想を超える素晴らしいアプリに出会えることを楽しみにしています。

轟 啓介 氏
Adobe AIRがモバイルに対応して以来、Flashベースのモバイルアプリが非常に多く制作されたことを裏付けるコンテストとなりました。iOSやAndroidといったスマホ展開だけでなく、更にPC上のAIRアプリとも連携するアプリもエントリーされ、マルチプラットフォーム対応のメリットを再確認することができました。その一方で、ANEttyやSWF Animation Converterといったストイックな開発支援ツールも深く印象に残りました。AIRという技術が、その手軽さから幅広い分野で使われていることを認識することができ、今年も非常に面白いコンテストだったと思います。開発者のみなさま、お疲れさまでした。

Adobe AIR Contest 2012 審査員

有川榮一(AKABANA)
池田泰延(株式会社ICS)
上条晃宏(Cuaoar)
鈴木拓生(株式会社リクルート)
野中文雄(fumiononaka.com)
林 信行(フリーITジャーナリスト/コンサルタント)
矢野りん(バイドゥ株式会社)
Andy Hall(アドビ システムズ株式会社)
西山正一(アドビ システムズ株式会社)
轟 啓介(アドビ システムズ株式会社)