Flash Professional入門 第5回:フィルター機能とブレンド機能

連載

Flash Professional入門

Flash Professionalには「フィルター」や「ブレンド」という機能があり、これらの機能を利用することで、光や影などの様々な表現を手軽に作成できます。

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フィルター機能

Flash Professionalでは、フィルター機能を使って、ステージ上のインスタンスに対して様々な効果を付けることができます。ただし、通常のシェイプに 対してはフィルターを適用できません。つまり、フィルターを使いたい場合には、その対象をシンボル化してからフィルターを適用するわけですね。

フィルターを適用するには、以下の手順で行います。

  1. 対象インスタンスを選択する。
  2. [プロパティ]パネルの一番下にある[フィルター]欄の左下にある[フィルターの追加]ボタンを押し、表示されるメニューから付加したいフィルターを選択します。
  3. フィルターによる効果が適用されます。また、フィルターの効果の強さや色といったパラメーターは、後から変更できます。

図1 フィルターを適用する手順

フィルターには、以下の7種類が用意されてます。

表1:フィルター効果一覧 フィルター 説明 ドロップシャドウ インスタンスをに影を付ける。 ぼかし インスタンスをぼかす。 光彩 インスタンスの縁に光彩を付ける。いわゆるグロー効果。 ベベル 絵に影を付け、押し出したような質感にする。 グラデーショングロー グラデーションを持った光彩(グロー)。より細かい設定のできる「光彩」フィルター。 グラデーションベベル グラデーションを持ったべベル。より細かい設定のできる「ベベル」フィルター。 カラー調整 インスタンスの色味を、明度/コントラスト/彩度/色相といったパラメーターで調整可能。
図2 フィルター効果の例(サンプル:1_フィルターの例.fla)

「カラー調整」は少し毛色の変わったフィルターで、インスタンス全体の色味について明度/コントラスト/彩度/色相を調整できます。

図3 「カラー調整」フィルターの例(サンプル:2_色のフィルター.fla)

なお、1つのインスタンスに対して、複数のフィルターを重ねてかけることも可能です。

ブレンド機能

ブレンドは、「重なり合う部分の色をどのように混ぜて表示するのか」を指定する機能です。ブレンド機能も、フィルター機能同様に、通常のシェイプに対しては適用できず、インスタンスに対してのみ適用できます。

通常、シェイプやインスタンスに他のインスタンスを重ねると、上側にあるインスタンスが優先して表示され、その下にあるオブジェクトは隠された状態になります。

図4 通常の重なりの表示

ブレンド機能を使えば、上側のインスタンスのカラー(ブレンドカラー)と、下側にあるシェイプやインスタンスのカラー(ベースカラー)を様々な条件で混ぜ、多様な表現を作ることができます。

ブレンドを適用するには、以下の手順で行います。

  1. 上側のインスタンスを選択します。
  2. [プロパティ]パネルの[表示]欄内の[ブレンド]から任意のブレンドモードを選択します。
  3. 重なり合う部分の色が、モードに応じてブレンド(混色)されて表示されます。

図5 ブレンドを適用する手順

ブレンドには、以下の13種類(モード)が用意されています。

表2:ブレンドモード一覧 ブレンド 説明 比較(暗) ベースカラーの中でブレンドカラーよりも明るいピクセルを、ブレンドカラーのピクセルに置き換える。結果として、暗くなる。 比較(明) ベースカラーの中でブレンドカラーよりも暗いピクセルを、ブレンドカラーのピクセルに置き換える。結果として、明るくなる。 乗算 色が暗くなる。インクを混ぜるような効果となる。 スクリーン 色が白くなる。ブレンドカラーを反転した色とベースカラーを乗算する。 オーバーレイ ベースカラーに応じて乗算、またはスクリーンする。 ハードライト ベースカラーに応じて乗算、またはスクリーンする。 減算 引く。黒に近づく。 加算 足す。白に近づく。 差の絶対値 明度の高い色から低い色の値を引く。 反転 ベースカラーを反転する。 レイヤー カラーに影響を与えることなくムービークリップを重ね合わせる。アルファや消去といったブレンドを機能させる際にも使用する。 アルファ アルファマスクを適用する。 消去 すべてのベースカラーのピクセルを消去する。
図6 ブレンドモードの例(サンプル:3_ブレンド.fla)

「消去」と「アルファ」は少し特殊な使い方をします。この2つを機能させるには、以下の手順で行います。

  1. ブレンドカラーとなるインスタンスに「消去」や「アルファ」を設定する。
  2. ブレンドカラーとベースカラーとなるオブジェクトを1つにまとめてインスタンス(親インスタンス)にする。
  3. 親インスタンスのブレンドモードを「レイヤー」にする。

「消去」は、マスク機能の逆バージョンといった使い方をし、重ねるインスタンスの色が付いている部分を透過させます。

図7 ブレンドモード「消去」の例(サンプル:4_消去ブレンドとアルファブレンド.fla)

「アルファ」は、重ねるインスタンスのアルファ値を下のシェイプやインスタンスに適用します。

図8 ブレンドモード「アルファ」の例(サンプル:4_消去ブレンドとアルファブレンド.fla)

フィルターやブレンドといった機能は、Photoshopなどの画像編集アプリの得意とするところでもあります。効果的な使い方やサンプルを調べる際には、Photoshopなどのチュートリアルを参考にするのもおすすめです。

フィルターやブレンドを利用したアニメーション

フィルター機能やブレンド機能はアニメーションを作成する際にも利用できます。それらを使った定番のアニメーション効果があるので、いくつかを紹介しましょう。

グローボール(灯りの点滅):「光彩」フィルター

明滅する光などを表現したい場合には、「光彩」フィルターの強度をトゥイーンによってアニメーションさせる手法が有効です。例えば、星や灯りの点滅を表現する、いわゆる「グローボール」が簡単に作成できます。

図9 グローボール(サンプル:5_グローボール.fla)

また、複数のグローボールを配置する場合、明滅のアニメーションが単調なパターンになるのを避けるために、明滅のタイミングが異なるシンボルを複数 作成しておき、それを適当に配置するといいでしょう。さらに、それぞれのアニメーションのフレーム数を異なる素数の長さにしておくと、より単調さが抜け、 変化があるように感じられます。

もっとグローボール:「光彩」フィルター+「加算」ブレンド

光の表現の定番手法としても う1つ、前述のグローボールと「加算」ブレンドを組み合わせる手法があります。作り方は簡単で、中心が白色のグローボールを複数作成し、それら重ね合わ せ、「加算」ブレンドを指定するだけです。「加算」ブレンドでは、重ねるほど白に近づく(RGBの各値が255に近づく)ので、結果として「白い部分が綺 麗に重なり、明滅部分が適度にブレンドされたアニメーション」となります。

グローボールにフィルターの強度だけではなく、位置や大きさを変更するアニメーションを加えておくと、より複雑な動きをするグローボールを作成できます。なお、グローボールを複数配置する際には、[スプレーブラシ]ツールを使用すると簡単に配置できます。

図10 グローボールと加算ブレンド(サンプル:6_グローと加算.fla)

ブレンドやフィルターによるフェード

場面転換や表示物の追加/消去といったシーンで使用するフェードイン/フェードアウトなどの表現も、フィルター機能やブレンド機能を使用することで様々な表現を作成できます。

「カ ラー調整」フィルターを利用したモノクロからカラーへのフェード、「加算」「減算」ブレンドを利用したホワイトアウト/ブラックアウト、「アルファマス ク」ブレンドを利用した滑らかなフェード、「消去」ブレンドを利用したディゾルブなど、様々な手法が手軽に作成できます。

図11 ブレンドやフィルターによるフェード表現(サンプル:7_いろいろなフェード.fla)

今回は、ムービーにちょっとしたアクセントや効果を加えるのに有効な、フィルター機能とブレンド機能について紹介しました。あまり使い過ぎると画面がうるさくなったり、描画速度が遅くなったりするので、適度に活用し綺麗なムービーの作成に役立てましょう。