モバイル、スマートフォン分析例 #1

“The Last Millisecond” – Adobe Summit 2013 の基調講演でテーマとして掲げられた言葉です。ウェブサイトやサービスを利用するユーザーが行うアクションの「最後の1ミリ秒」で、ユーザーエクスペリエンスの最適化を行うという意味が込められています。この言葉を聞いて、モバイル/スマートフォンが頭に浮かぶ人も多いのではないでしょうか。

このエントリでは、USのコンサルタントが書いているグローバルのブログの中から、モバイル関連の記事をご紹介します。

モバイルにおけるコンテキストの重要性

ご紹介する最初の記事はAdobe Summit のセッションでスピーカーを務めたコンサルタントがグローバルのブログでモバイルの分析、最適化について、サミットで紹介した内容に関連したものになります。

モバイルユーザーに対して新たなビジネスの機会を生み出すために、ユーザーがウェブサイト、アプリケーションを利用する「その瞬間」のコンテキストを把握することの重要性について説明しています。

ユーザーの「今」に最適な情報、サービスを提供することにより、製品・サービスとユーザーとの間で、より信頼性の高い関係を築きあげることができるようになります。そのために、ウェブサイトやアプリケーションでどのようなデータを取得し、それをどう信頼性の高い関係を作るための最適化につなげるのかを、例をあげて解説しています。

ここではモバイルユーザーの特徴的なコンテキストとして下記の情報を計測することについて触れています。

後半の記事の中では、上記の4つのWを元に「休暇中、郊外にある大型のショッピングストアのアプリを使って、現在地に近い(普段行かない)店舗を探した人が、店内でアプリを起動した時には通常の画面ではなく、フロアガイドを最初に表示する」といったいくつかの事例をあげて、コンテキストをどのように活用するかについて説明しています。

モバイル特有の分析

モバイルユーザー (ウェブ、アプリ)のロイヤルティ向上に向けて最適化を行うために、どのような分析が必要なのか、以下の記事ではその例と具体的な方法を解説しています。

アプリをインストールしても、何かのきっかけで使わなくなってしまう事も多々あります。せっかくアプリが入っているのに、起動をして利用されない事にはロイヤリティの向上にはつながりません。

ユーザーがアプリケーションをインストールした日や、使用開始からどのくらい経っているのかなどを分類し、顧客ロイヤルティやアプリケーションの Churn Rate (利用されなくなった割合) を分析する Cohort Analysis (同世代分析) の重要性と具体的なレポート作成/分析手法を紹介しています。

AppMeasurement ライブラリ では、LifeCycle Metrics という、アプリケーションの利用計測に関わる重要な指標(アプリケーションのインストール日、初回起動からの日数など)を、デフォルトで計測できるようになっています。これらの計測された指標をもとに、SAINT、Adobe Report Builder を利用して以下のようなレポートを作成、分析することができます。

どの世代、例えばアーリーアダプター、レイトマジョリティなどからどのグループごとに、月ごとの使用率などから、アップグレードやその他外部の要因が、各グループの行動にどういった影響を与えたかなどを把握することができます。

分析の結果、インストール後6-8ヶ月くらい経つと使用頻度がかなり下がるので、それくらいの期間に合わせて機能を追加するなどの対応を考えてみる、といった内容が一例としてあげられています。

この記事では、アプリの提供を開始してから、ウェブサイトへのアクセスにどのような変化があったのか、アプリケーションがウェブサイトの利用にどのような影響を与えているのかを分析する方法を解説しています。

例えば、アプリをインストールしたユーザーの内、アプリで購入などのアクションを行ったユーザーはデスクトップでウェブサイトを訪問する割合が減る、などの傾向をつかむことができます。

モバイルユーザーとの間に信頼関係を築くには、モバイル固有のコンテキストを理解することが重要です。また、ユーザーは複数デバイス (PC、モバイル、タブレットなど) を使用することも覚えておく必要があります。モバイルウェブ/アプリが (PCの) ウェブサイトに与える影響を分析し、サービス全体の動向を捉えることが、新たなビジネスの機会を生み出すためのポイントとなるでしょう。

次回は、モバイル特有の機能などを計測する方法や、最適化へのアプローチについて書かれた記事をご紹介します。

筆者:常泉 正志 アドビ システムズ株式会社 コンサルティング部コンサルタント

クレジットカード決済サービス会社、アフィリエイトサービス事業会社を経て 2012年より現職。コンサルタントとして、Adobe Marketing Cloudでの分析/最適化にあたり、対象となるウェブサイトやアプリケーションで使用している技術に合わせた導入の支援を行なっている。