モバイル、スマートフォン分析例 #2
前回の記事では、モバイルユーザーの行動を分析する上で重要なコンテキストについてと、アプリケーションの分析についての記事をご紹介しました。今回はモバイルの特徴的な機能の計測/分析と最適化に向けてのアプローチに関する記事をご紹介します。
モバイル計測の実装
アプリケーションには自由にユーザーインターフェイスを作ることが出来るため、ウェブサイトにはない特徴/機能があります。そのような機能を有効活用するために、どのようなデータを取得して分析すれば良いのかを説明している記事があります。
ネイティブ(アプリで作成された機能)部分と一部 WebView (アプリ内ブラウザ) が混在したハイブリッドアプリについて、ユーザーの行動を継続してトラッキングするための方法を紹介しています。
アプリからウェブサイト、ネイティブアプリからWebViewへの遷移は、考え方によってはアプリからの流入と捉えることもできますが、サイト上の機能の1つとして捉えることも可能です。
上の記事では1つのレポートスイート内でモバイルのエクスペリエンスを計測する方法として、visitorIDを引き継ぐ方法として、サンプルコードとともに説明しています。
アプリケーションからプッシュ通知(通知センターへのメッセージ通知など)もアプリをリマインドするための1つの有用な方法です。
こちらは、iOSでプッシュ通知を計測する方法を、サンプルコードと共に解説しています。
しかし、計測だけできたとしても意味がありません。この記事ではさらに、プッシュ通知が、アプリケーション内のアクションに与える影響を分析するレポートの例として、
- プッシュ通知からアプリを起動したかどうか
- どの通知(例: キャンペーン)がアプリの利用、コンバージョンなどに貢献したか
- プッシュ通知を受けたユーザーと受けないユーザーの行動の違い
などがあげられています。
一方、ウェブサイトではスマートフォンに最適化したサイトから、レスポンシブ ウェブデザインを採用するサイトも見受けられるようになりました。
この記事では、レスポンシブ ウェブデザインのサイト特有のデータとして、
- エクスペリエンス (例: スマートフォン、またはタブレット用レイアウトなど)
- 画面サイズ
- 画面の向き
を計測する方法と、そこから得られるレポートを紹介しています。
最適化へのステップ
分析の次は最適化です。AppMeasurement には、アプリケーションの計測だけでなく、 Adobe Target(Test&Target) でテストする機能も提供しています。テストにあたってどのようなアプローチを取るか、テスト対象箇所を決めるために考慮することなどは、以下の記事が参考になるでしょう。
モバイルの最適化へのステップとしては、
- 注力できるポイントを見つける (モバイルユーザーがどの程度いるのかを知る)
- モバイル固有の機能 (位置情報、通知機能)を考慮したテスト箇所の検討
があり、記事の中ではテストアイデアがいくつかあげられています (例えば、モバイルデバイスからウェブサイトにアクセスしているユーザーにはアプリの紹介ページヘリダイレクトする、タッチに適したボタンの大きさをテストする、など)。
後者は、Adobe Summit のフォローアップ記事となっており、具体的な質問に答える形で、テスト箇所の見つけ方やサクセスメトリックの定義について解説しています。
モバイル (スマートフォン) は画面が小さく、提供できる情報が限られてしまいます。一方で、(ビジネスにもよりますが)時間帯や位置情報などをもとに、ユーザーのコンテキストが絞りやすくなるという面もあります。ユーザーが「今」求めているものを即座に提供出来れば(The Last Millisecond)、PC 以上に高い顧客ロイヤルティを得られる可能性があります。
今回ご紹介した記事が、モバイルでビジネスを提供する皆さまのヒントとなれば幸いです。
筆者:常泉 正志 アドビ システムズ株式会社 コンサルティング部コンサルタント
クレジットカード決済サービス会社、アフィリエイトサービス事業会社を経て 2012年より現職。コンサルタントとして、Adobe Marketing Cloudでの分析/最適化にあたり、対象となるウェブサイトやアプリケーションで使用している技術に合わせた導入の支援を行なっている。