WEBサイト外で起きる事象を捉えろ! – 様々な計測データを掛けあわせて解析

WEBサイト外で起きる事象?

Webサイトを運用していくにあたり、アクセス解析ツールは訪問者の行動を捉えビジネスを加速させるためのツールとして広く認知されているかと思います。
勿論Webサイト内の行動であれば皆さん計測されていると思いますが、「Webサイト外」…いわゆるオフラインでの行動についてはどうでしょうか?

例えばECサイト、電話でのユーザー対応をできるようにしているサイトの場合、Webサイトで購入を行ったが電話で返品処理されてしまう、ということもあるかと思います。
その場合、Web解析ツール上では購入のコンバージョンを完了していることになりますが、現実には返品処理が発生してしまっているため、実ビジネスの面では、Web解析ツールの数値が正しいとは言えません。

もう一つ簡単な例を挙げてみましょう。例えば貴方がメールマガジンのマーケティング担当者だとします。

メールマガジンからのサイト内流入については、キャンペーンコードを利用すれば解析可能ですが、メールの「配信数」や「開封率」などのデータはメール配信システム上でしか記録されていない、というのが現状ではないでしょうか。2つ以上の管理画面を行き来しながら分析を行うというものは非常に面倒です。

Adobe Analytics(SiteCatalyst)では、このような**「オフライン計測データ」も取り込むことができ、計測されているWebサイトのデータと紐付けて更に高度な分析を行うことも可能**です。

(メールマガジン内にあるリンクに付与したトラッキングコードデータと、購入データを紐付けたイメージ図)

セットアップ方法

セットアップは簡単です。ここでは先ほどの例に上がっていた「メールマガジンの配信数/開封率」を取り込む想定で実際にセットアップをする流れを説明します。基本的な流れは、メールごとに発行しているトラッキングコード(キャンペーンコード)ごとに、紐付いた値をファイルで所定のFTPサーバーにアップロードする形となります。

まず、手元に「メールマガジンごとに発行されたトラッキングコード(メール配信ID)」「配信開始日」「配信数」「開封数」が記載されているデータを用意します。

次にAdobe Analytics(SiteCatalyst)の管理者画面にて、既に取得されているトラッキングコード(キャンペーンコード)と、アップロードするデータを結びつける設定を行います。

1:管理者画面に遷移をし、ナビゲーション メニューより「データ ソース」を選択します。

2:作成より新規データ ソースの作成を行います。今回のケースではカテゴリを「広告キャンペーン」、タイプを「汎用電子メールキャンペーンサーバー」を選択します。

3:アップロードする指標(event)、結びつける変数(キャンペーンやコンバージョン変数)などを選択し手順を進めていきます。

4:結びつけが終了するとテンプレートのtabファイルがダウンロードできますので、作成したデータ ソースの詳細に記述されているFTPサーバーにアップロードを行います。

上記の作業でAdobe Analytics(SiteCatalyst)にデータの反映がされます。更新を行う場合は4の作業を行うのみです。

オフライン計測データの応用例 – 申し込み

オフライン計測データとして、メール配信に関わるものだけでなく、先ほど例で上げた「電話での返品処理」や「メールマガジンの配信数や開封率」以外にもあります。他の例を挙げてみましょう。

【Webで申し込みをした後、必ずコールセンターからの電話にて申し込みなどのコンバージョンが発生する場合】

Webでの申し込みが最終コンバージョンではなく、電話での申し込みなどのオフラインアクションにてコンバージョンが発生するような場合、通常のWebで取れる最後の申し込みをコンバージョンとして解析するのが通常考えられる方法かと思います。ただ、そのようにコンバージョンを設定してしまうと、実際のビジネスとの乖離が発生するため各数字の信頼感が損なわれてしまいます。

このような場合でも、Adobe Analytics(SiteCatalyst)のオフライン計測データ取り込みでは、申し込みをWebで行った際に、申し込みを特定するためのID(トランザクションID)を取得し先ほどと同様の方法で紐付けることが可能です。

コンバージョン変数との結びつけしてのデータの分析が可能になりますので、どの広告からの獲得が、本申し込みに結びついたか、といった本当の投資対効果を知ることができるようになります。

様々なデータを入れてより高度な解析をはじめよう!

Adobe Analytics(SiteCatalyst)のオフライン計測データ取り込みを使いこなすことで、自社サイトの分析がより高度にできるため課題点の発見も容易になります。また、Adobe Analytics(SiteCatalyst)内で様々なデータ閲覧が可能になるためマーケティング担当者の方々は作業コストが下げることも期待できます。

データを集中化させ、様々な軸で解析できるようになる基盤を構築すること、それがWeb解析の鍵です。

筆者:澤田 諒介 アドビ システムズ株式会社 コンサルティング部コンサルタント

PG/SEとしてFramework開発や旅行検索システムの内部/UI開発に携わったのち、プロジェクトディレクターとして各種サイトリニューアルや、自社運用Webサービスのウェブ解析基盤構築も手がけた。2013年より現職。システム内部/フロント開発経験とウェブサービス運用経験双方を活かし、対象となるウェブサイトやアプリケーションの技術や状況、ビジネスに合わせたコンサルティングを行なっている。