B2Bマーケティングにおける、デジタルの活用方法:後編
前回のブログでは、弊社で実践している”①リードの興味を知る”為の手法をいくつかご紹介させていただきました。今回は、” ②リードの興味度合/検討レベルを測る”や“③継続的なコミュニケーションを図る”ために弊社が実践している手法をご紹介させていただきます。
調査レポートと製品資料、どちらをダウンロードしたリードを先にフォローすべきか
前回のブログでも少し触れましたが、弊社がオンラインの活動にも重きを置いている理由は「営業効率を上げる為」です。前回は、「リードの興味を詳しく理解する」為に弊社で実践しているメールを活用した手法をご紹介いたしました。
前回の例の続きとして、
①展示会で2,000名の名刺データを収集
②メールを活用して、リードの興味を5つにグループ分け完了
(※5つのグループとは、弊社の提供するソリューション群の数です。)
まで行き着いた場合、次の課題は「どのリードを先にフォローすべきか」です。弊社の実績でいいますと、フォローアップメールのCTRが約13%で、複数パターン配信し、大体400名前後のリードのリアクションをキャプチャしております。そのうち、何らかのオファーをダウンロードするのが約40%ですので、160件が優先的にフォローすべきリードとなります。その160件のプライオリティ付け(スコアリング)に弊社では、オファーにステージという概念を付けて、一つの評価軸として活用しております。弊社では、オファーを3つのステージに別けており:
①Early Offer:調査レポートや一般的な話
②Middle Offer:弊社製品に縛られないHow to や導入事例
③Late Offer:弊社製品をどう活用するのかのHow to や製品概要資料
という形で分けております。Early Offer は基本的に広告などの獲得系でしか使わず、Nurturing にはMiddle や Late のOffer を活用していますが、弊社の実績ではLate Offer の方がMiddle Offer をダウンロードした方よりも20%案件化率が高い、という数字がでております。
興味がある人だけ追えばいいという訳ではない
ビジネスにおいては、「自社製品に興味がある人だけ」しかフォローしていないと、大きなビジネスチャンスを逃す可能性がございます。ただ、全員をフォローするのは現実的ではありません。そのような状況で、前述の展示会で獲得したリード2,000件の中からどのように「リアクションはないが優先的にフォローすべきリード」を見つけ出すのがよいでしょうか。
弊社がその対策の一つとして実施しているのが、ターゲット企業のノミネートとターゲット企業のリード獲得時の内部向けアラートメールの送信です。
具体的に行っていることとしましては、数千社の商談を持ちたい企業をノミネートし、その企業の保有するメールアドレスのドメイン(サブドメイン含め)を調査したリストを作り、そのメールアドレスドメインのリードを獲得したら、フォローアップ部隊に即座にアラートのメールが配信される仕組みを構築しております。
グループ会社で近しいドメインを使っている企業もありますので、ドメインだけでは正確には特定の企業を判別するのは難しいケースもあります。ただし、現実として親会社をノミネートしてリードとして引っかかったグループ会社をフォローし商談化している事例が弊社にはございますので、必ずしも正確に把握しなくても有効な施策であると考えております。
ちなみに、このアラートはすべてのリードが通過するフィルタなので前述の例でいいますと2,000件すべてがこのフィルタのマッチング対象となります。
ある日、自発的にWebを訪問したリードをどうフォローするか
弊社では、月一回のNewsletter の配信や新規資料のご紹介メールなどで定期的にプッシュ型の情報提供をきっかけにして、DBに対してのアクション促進を行っております。そのアクションである、メールのクリックや資料のダウンロードなどをキャプチャして”今”興味があるのは誰なのかという情報を営業と共有し、フォローアップに活用しております。
これだけの活動しか実施していない場合の課題は、月に1回しか、”今”興味があるリードを把握するチャンスがないということです。
例えば、以前資料をダウンロードして、何かのきっかけで検索エンジンから弊社のWebサイトには来た方。このような方は、的確にフォローし、案件化につなげたいところです。
そこで弊社が行っている施策は、アクセスした方のCookieを基にメールアドレスを判別し、訪問されたWebサイトのタグを基にそのソリューションに関連する最新のMiddle Offer をご案内するメールを配信しております。この仕組みで月間約100通のメールが配信されCTR は非常に高く40%弱、その情報を営業と共有し、フォローに活かしております。
B2Bでもデジタルチャネルは重要な施策
これまで数多くの展示会に出展させていただいた中で「うちはB2Bでオンラインだけで完結しないから関係ないかな、、、」とお話される方が数多くいらっしゃいました。前回のブログの冒頭でお話させていただいたようにB2Bにおいてデジタルは「必要不可欠」ではないことは事実です。ただし、2回の投稿を通してご紹介させていただいたような施策を実施することで、営業効率が上がることもまた事実です。
前編と後編の2回で紹介し切れなかった他の施策などについても、また機会があればご紹介させていただければと思います。
筆者:永井 大智 アドビ システムズ株式会社 マーケティング本部 フィールドマーケティングマネージャー
アドビ システムズ 株式会社にてAdobe Marketing Cloudに関わるキャンペーンの設計およびナーチャリングを含むデマンドジェネレーションを担当。