Adobe Experience Managerプロジェクト成功のための勘所

AdobeではWebエクスペリエンス管理のソリューションとしてAdobe Experience Managerを提供しています。大手調査会社であるForresterのリサーチGartnerのリサーチでWebコンテンツ管理(WCM)のリーダーとして評価されているように、Adobe Experience Managerは従来のWCM製品の機能を拡張したデジタルエクスペリエンスを管理するための統合プラットフォームです。

このソリューションの概要については、こちらを参照していただくとして、今回のブログではAdobe Experience Managerプロジェクトを成功させるための勘所についてご紹介してみたいと思います。

WCMプロジェクトが失敗する5つのケース

仮にあなたがAdobe Experience Managerを導入して、新しいWebコンテンツ管理のプラットフォームを構築することになったとしましょう。新しいプラットフォームでデジタルエクペリエンスを管理していけるようになるためには、どのようなプロセスでプロジェクトの管理を行っていくことが必要でしょうか?
どんなに優れたソリューションであっても、導入の仕方に問題があるとプロジェクトとしては失敗に終わってしまう可能性もあります。なぜ失敗してしまうのか? 確かに新しいソリューションを導入するのは簡単ではありませんが、うまく行かない原因としては以下の様なケースがあります。

1. 製品コンセプトに合っていない使い方

Adobe Experience Managerはデジタルマーケティングのプラットフォームとなる製品です。新しいシステムを導入しようとしているのに、既存システムの開発・運用方式をそのまま踏襲しようとしても無理があります。また、Adobe Experience Managerは何でも自由にカスタマイズしてスクラッチで作っていくオープンソース製品とは異なります。
Adobe Experience Managerがどのようなソリューションなのか、どのようにすればそれを最大限に活用できるのかをきちんと理解している必要があります。

2. 適切な人材の不足

エクスペリエンス管理のプロジェクトにおいては、自社内においても様々なロールの人が必要となります:ビジネスオーナー、マーケティング担部門、IT部門、UXエキスパート、開発者、インフラ担当者、解析担当者、ソーシャルメディア担当、コンテンツ制作者、等々。
プロジェクトの早期に、どのようなリソースが必要となる検討し、適切なリソースプランニングを行うべきです。一人で複数の役割を担当することもできますが、限界があります。

3. 切り詰めた予算

Adobe Experience Managerに限らず、一般的なWCMプロジェクトにおいても、予算の確保はプロジェクトの成否を大きく左右します。ありがちなのは、構築のための予算を切り詰めようとしてコストの低いSIベンダーを探してしまうことですが、たいていの場合、間違った選択をすることになります。
確かに提案価格は低いかもしれません。ただ安いからといって経験の乏しいSIベンダーに任せてしまったばかりに、プロジェクトが炎上してしまっては元も子もありません。

4. ガバナンスの不在

新しいソリューションを導入するということは、既存のプロセスへの変化を伴います。またその変化は社内の一部門だけではなく、IT部門、マーケティング部門、業務部門など複数の部門および協力会社に及びます。
関連部門のステークホルダーを巻き込み、変化を推進していくようなガバナンスがないと、プロジェクトとして成功させるのが難しくなります。

5. プロジェクト成功の定義の不在

そもそもAdobe Experience Managerを導入する目的は何でしょうか?
もちろん様々な理由はあるでしょうが、導入期間中もプロジェクトメンバーは皆、それを意識して作業しているでしょうか?単純にシステムを入れることだけがゴールではありません。測定可能なゴールがなければ、成功とは言い難くなります。
コンテンツの何%が再利用されているか? ページ配信までの期間を何日短縮可能とするか?など、ゴールの例はプロジェクトによって異なりますが、そのような成功の基準がプロジェクトメンバー間で共有されていないと、プロジェクトの足並みが揃わなくなってきてしまいます。

プロジェクト成功ためのヒント

Adobe Experience Managerというソリューションを導入するプロジェクトを成功させるためには、上記のような失敗パターンを避けるようにすることが必要ですが、もう一つ重要なポイントがあります。それは、Adobe Experience Managerのエキスパートをプロジェクトの初期フェーズから参画させることです。

Adobe Experience Managerを導入するということは、単純にWebサイトを立ち上げるということとは異なります。Webコンテンツ管理、デジタルアセット管理、レスポンシブデザインを含めたモバイル対応、ソーシャルコミュニティ、ターゲティング、多言語対応などを、開発者の手をかけなくても、できるだけビジネスユーザーができるようなプラットフォームを構築すること、が重要です。そうすることによって、Adobe Experience Managerの備える真価を最大限に活かすことができるのです。

Adobe Experience Managerのエキスパートは、要件に応じてAdobe Experience Managerをどのように使うべきか、製品コンセプトを理解した上で適切なアドバイスをすることができます。例えば、実際のプロジェクトにおいても以下のような質問は頻繁に聞かれます。

このような問いに対する回答を持ったAdobe Experience Managerのエキスパートをプロジェクトに参画させることは、リスクを軽減させる上で大いに助けになります。

エクスペリエンス管理に終わりなし

Adobe Experience Managerを導入し、無事にWebサイトがリリースされたとしても、エクスペリエンス管理はそれで終わりではありません。むしろエクスペリエンス管理としてはそこからがスタートです。
サイトを訪問するユーザーにとって価値のあるコンテンツを提供し続けることができなければ、関心を持ってもらうことはできません。サイトリリース後も分析を継続的に行い、どのようなユーザーがどのようなコンテンツを求めているのか、それに対してどのようにターゲティングを行い、どのようなエクスペリエンスを訪問者に提供するのか、今後のデジタルマーケティングにはそのようなコンテンツマーケティングの視点が不可欠となっています。

Adobe Experience Managerの導入時にも、そのようなヴィジョンを持ってスタートすることが、プロジェクト成功の鍵となります。

筆者:杉本 拓_ アドビ システムズ株式会社 コンサルティングサービス部マネージャー_

大手外資系ソフトウェアベンダー数社において、コンテンツ管理、J2EE、ポータル、BPM、SOA、エンタープライズサーチなどの分野で十数年に渡りコンサルタント、アーキテクト、コンサルティング営業、コンサルティングマネージャーなどを経験。それまでの経験を活かし、2011年よりAdobeにてCQのコンサルティングビジネスを展開。現在はAdobe Experience Managerコンサルティングのマネージャー/アーキテクトとして国内外のプロジェクトを支援している。