ソーシャルメディアのビジネス効果測定のススメ

ソーシャルメディアマーケティングの目的とは

日に日に存在感を増すソーシャルメディア。この巨大なメディアを効果的に活用しようというソーシャルメディアマーケティングの注目度が、ますます上がっています。

しかし一言に「ソーシャルマーケティング」と言っても、担当者は次のように様々な目的を持ってソーシャルメデイアと向き合っています。

  1. ブランディング、ファンの確立
  2. リスク管理
  3. 新製品などのプロモーションによる認知、売上貢献

このような目的を持って広報/PRの方やマーケターの方が、FacebookやTwitter、YouTubeなどを通じてファンとコミュニケーションを取り、ソーシャルメディア上で呟かれる情報に耳を傾けます。

その中でも企業としてソーシャルメディア上にコンテンツを立ち上げている以上、3のビジネスに対する貢献というのはやはり求められてくるのではないのでしょうか。

そのためにはまず、自社が展開するソーシャルコミュニケーションの効果を、ソーシャルメディア上のエンゲージメント指標(いいね!やPTAT=People Talking About This、リプライなど)だけでなく、オウンドメディアに与える影響も把握することが重要になってきます。

この記事では、Adobe SocialAdobe Analyticsを使うことで、ソーシャルコミュニケーションの効果やオウンドメディアに与える影響を、どのように可視化することができるかをお伝えします。

ソーシャルメディアとオウンドメディアの関係を知る3つの手法

ソーシャルメディアのアクティビティからオウンドメディアへの影響を知るために一般的に考えられる方法は、まず以下の二つがあります。

手法1.オウンドメディア来訪時のリファラーから影響度をみる

流入といえばまずリファラーですが、アドビのソリューションでは、Adobe Social / Adobe Analytics両方を活用することで、以下の様なレポーティングが可能です。

このレポートではソーシャルメディア単位に、現在リスニングしているワードのメンション(口コミ)数と訪問数、またそこからの購入や売上高の関連性を、ざっくりと把握することができます。

特にFacebook上で自社ページを運用している場合は、そのページへの「Like」や「PTAT」といったエンゲージメントの数値と合わせて、来訪者数や売上といった数値がひとつのレポートで閲覧できるので、自社ページの投稿のパフォーマンスが、どのようにオウンドメディアへと跳ね返っているか、マクロ視点で可視化ができます。

手法2.FacebookやTwitterへの投稿時に設定したオウンドメディアへの誘導リンクからの影響度をみる

次に、プロアクティブに自社ページから情報を発信し、自社サイトへの流入を促すリンクを投稿内に設け、その効果を計測する場合は、リンクURLに対してパラメータを付けてトラッキングするのが一般的です。例えばソーシャル上で展開するキャンペーンがあり、自社キャンペーンページなどにも誘導を促す際、

campaign.html?cid=social_autumnsale201311

といった形でトラッキングコードを設置します。

ここで、Adobe Social / Adobe Analyticsの連携によって計測すれば、キャンペーンのリーチ、エンゲージ、そしてオウンドサイトへの訪問、購入、売上の関係が把握しやすくなります。

ソーシャルへの投稿画面の中で事前にトラッキングまで設定でき、投稿時に選択するだけ、といった手軽さも、アナリティクスツールを持ってるAdobeならではの特徴です。

顧客とのエンゲージメントを図るコンテンツの場合、その効果は投稿リンクからの直接的効果だけでは計り知れないとも思います。そのため、投稿リンク効果の配分や期間といったアトリビューション的な概念も、上記計測を基本にして検討できます

さらにクリックだけでなく、間接効果としても計測することのできる方法が、次の3つ目になります。

手法3.Facebook アプリを使った計測で間接的影響度を見る

この方法を試されている方は、まだ少ないのではないでしょうか。Adobe SocialはFacebookアプリケーション(以降FBアプリと省略)を作成することができますが、その中にAdobe Analyticsのコードを埋め込むことができます。FBアプリ内のどのページを見たか、をオウンドメディアと同様に計測することができるのです。

こうすることで、オウンドサイトとパスがつながります。

また、Adobe Analyticsで「FBアプリを表示させたことのある訪問者」や「FBアプリが初回接触であった訪問者」といったセグメントを作成することもでき、リンククリックではなくソーシャルに訪れていた人の間接効果も把握することが可能となります。

ソーシャルからビジネス効果をつかもう

USのとあるカジノホテルチェーンでは、この方法を用い、実に検索からのブッキングの26%がソーシャルアプリを利用していることを突き止めました。オウンドサイトへの効果を計測する、という観点で投稿にアプリを活用することを検討してもよいかもしれません。

いかがでしたでしょうか。

ソーシャルマーケティングは、単にキーワードリスニングを行うだけでなく、企業側から顧客とコミュニケーションを行っていかないと、何も始まりません。自社でどのようにコンテンツを展開していくか、さらにその効果をどのように計測していくかを検討されるうえで、本稿がその第一ステップになれば幸いです。

_筆者:小栗 順平 _アドビ システムズ株式会社 コンサルティングサービス部コンサルタント

大手ISP,メーカーにおいてウェブ解析・A/Bテストの推進後、大手出版社においてデジタルマーケティング、アドテクノロジー活用を担当。それまでの経験を活かし、2012年よりAdobeにコンサルティングとして入社。Analytics,Target,Social,Media Managerなどの製品をベースにエンドユーザーの統合的なデジタルマーケティング戦略から実践までをサポートしている。