オウンドメディアを強化するdynamic mediaの新機能:ソーシャル共有、マルチデバイス対応、作業の効率化

オウンドメディアを、デジタル資産で魅力的に

何かものを伝えるときに思い当ることわざとして、「百聞は一見にしかず」があります。いくら言葉を重ねて聞かせても、それだけでは相手にはなかなか伝わらないものです。しかし、相手自身の目で見てもらうことで、伝えたかったことがすぐに腑に落ちて、すんなりと判ってもらえた…そうした経験は、誰しもあるのではないでしょうか。

企業のコーポレートサイトやブランドサイトといったオウンドメディアにも、同じことが言えるはずです。企業の提供する商品やサービスの魅力や特色を訪問者に伝えたいときに、それを文章だけで説明するよりも、画像や動画といった映像表現を使った方が、インパクトがより高まるからです。

一昔前なら、ネットワーク帯域幅という制約があり、様々な試行錯誤や工夫が必要でした。今でも、PCとモバイルとで多少考慮すべきことはありますが、いわゆる「マルチメディア/リッチメディア」を使った表現は、総じて敷居が低くなっています。むしろ、こうした表現手段を使わない手はありません。

アドビは、リッチなデジタル資産を豊富に活用した、訴求力の高い魅力的なオウンドメディアを展開するためのソリューションとして、dynamic media機能をクラウドでご提供しています。

先日この機能がアップデートされました。そこで後ほど、その内容をご紹介します。

ここではその前に、そもそもAdobe Experience Managerのdynamic media機能(以前はAdobe Scene7と呼ばれていました)とはどのようなものか、マーケターの皆さんや顧客にとってどんな価値があるのか、ご紹介しましょう。
既にScene7にお馴染みの方は、「dynamic mediaの新機能」に進んでください。

dynamic media機能の前に、エクスペリエンス管理のお話

Adobe Marketing Cloudには現在、6つのソリューションが含まれています。その中で、企業のコーポレートサイトやWebサイト、あるいは電子メール、モバイルアプリケーション、キオスク端末など、いわゆる「オウンドメディア」の構築を担当するのが、Adobe Experience Managerです。

Webサイトの構築に使われるソリューション分野の名称としては、Webコンテンツ管理(WCM)と呼ばれることが一般的には多いでしょう。
これをアドビでは、WCMの「コンテンツ」の部分を「エクスペリエンス」に置き換え、「Webエクスペリエンス管理(WEM)」とも呼んでいます。PhotoshopやFlashなど、昔から「エクスペリエンス」へのこだわりを持って業界をリードしてきた、アドビならではの特長でもあります。

アドビがWEM分野での本格展開を開始したのは2010年のDay Software買収以降ですが、当時の日本市場では、この「WEMというソリューション分野」はほとんど知られていませんでした。当時から数年が経った今、「エクスペリエンス管理」「顧客エクスペリエンス」といった表現がちらほら聞かれるようになってきました。日本にも「コンテンツからエクスペリエンスへ」というトレンドが、訪れているのではないでしょうか。

少々話がそれました。Adobe Experience Managerは、いわゆるWCM、正確に言えばWEMのためのソリューションです。

ここでいう「エクスペリエンス」が何を指すかと言うと、簡単に言えば「Web訪問者の経験」です。

Webサイトやモバイルサイトといった企業のオウンドメディアを訪れた訪問者は、その企業の商品やサービスの潜在的な顧客かもしれません。企業がオウンドメディアを通じて提供するコンテンツが適切なものならば、その訪問者が見たときに、「もっと知りたい」「自分にとって魅力的な商品だろうか」「このサービスを利用したら便利だろうか」といったような印象を持ってくれることでしょう。そして、ニーズが生まれます。

そうするために、理想的には、訪問者の属性や期待といったペルソナによって、見せるべきコンテンツは異なるはずです。これはもはや、従来型のWCMによる「万人向けの静的なページ」では対応できません。

これを実現するためには、あらかじめ様々なコンテンツを用意しておき、訪問者の属性や期待に合わせてコンテンツを出し分けることが、オウンドメディアの役割として期待されます。これが、コンテンツよりもエクスペリエンスを重視する、従来のWCMに替わってWEMと呼ばれるソリューションが登場してきた意義です。

訪問者に最適なエクスペリエンスを提供する、それが、Adobe Experience Managerの最大の特徴なのです。

最適なエクスペリエンスを提供する上で欠かせない、デジタルアセット管理

さて、相手に合わせて企業が制作し、揃えておくコンテンツは、あらかじめどこかに効率的に保管しておかなければなりません。そのために存在するのが、Digital Asset Management(デジタルアセット管理)と呼ばれるソリューション分野です。
Adobe Experience Managerも、このDigital Asset Managementの機能を備えています。

デジタルアセット管理により、さまざまなバリエーションの画像や動画といったデジタル資産を、効率的に保管、参照し、訪問者それぞれの期待にあったエクスペリエンスを提供する準備が整います。

デジタル資産を制作するクリエーターは、社内に在席していることもあれば、マーケターが製作会社へと発注しているかもしれません。いずれの場合にも、マーケターとクリエーターは、デジタルアセット管理機能を中心にしてコラボレーションすることができるので、納品作業、成果物のレビュー、改定、世代管理といった煩雑な作業を効率化することができます。

Adobe Experience Managerが提供するDigital Asset Management機能には、このようにアセットを管理する機能と、dynamic media機能が含まれています。

いよいよdynamic mediaの話に近づいてきました。

dynamic media機能

企業は、自社の商品やサービスの想定顧客像にあわせ、様々なアセットを用意する必要があります。
このとき、例えば商品のカラーバリエーションや部品の順列組合せに応じて、膨大なコンテンツを用意しなければならないとしたら、製作費用が膨大になってしまいます。また、現代はマルチデバイスが当たり前になっていますので、PCサイト用、スマホ用、タブレット用といったように、画角や形式のことなるアセットを用意しなければなりません。

そこで登場するのが、dynamic media機能です。このソリューションを使えば、基礎となるアセットを用意しておき、実際に訪問者がオウンドメディアでアセットを閲覧しようとしたときに、異なる画角や色、デバイスに最適な動画ストリーミング形式といったバリエーションを、動的に生成、提供することができるのです。

それではここから少し、Product Marketing Managerのベベカ グェス(Vebeka Guess)によるブログ記事から、機能のアップデート内容をご紹介します。

※以下はUS Digital Marketing Blog「Social Sharing, improved cross-platform experiences, and streamlined workflows with the latest Scene7」の翻訳です。

dynamic mediaの新機能

Adobe Experience Managerを構成するDigital Asset Management dynamic media(Scene7)の新機能をご紹介します。10月のリリースでは、モバイル対応の拡張、ソーシャル、動画キャプションの拡張が行われました。これにより、モバイル対応を効率よく、ソーシャル共有を目立ちやすく、制作ワークフローを合理的にします。

主な強化点をご紹介します。

・リーチ向上を図る、ソーシャル共有
顧客はビューアーに埋め込まれたソーシャル共有リンクにより、動画や商品画像を、メール、リンク、埋め込み、シェアといった方法でFacebookやTwitterのようなソーシャルネットワークを通じて拡散することができるようになりました。

・動画キャプションの拡張
キャプションのローカライゼーションに対応し、また、HTML5動画プレーヤーも利用できます。
以下のサンプルでは、ソーシャル共有(右側のボタン)と動画キャプション機能(下側に表示)をどのように利用できるかを示しています。

・マルチデバイス対応を促進、HTML5ビューアーの拡張
この機能拡張により、マーケターやクリエーターは、動画などをいちどデザインするだけで、あらゆるデバイスに対応できることになります。標準提供されるビューアー、ズームなどに対応したSDK、eCatalog機能などがこれに該当し、新しいデザイン標準に沿ってUIが更新されます。

・制作ワークフローを合理化する、機能拡張
複数の角度に対応したスピンセット(multi-axis spin set)の自動生成、アセット配信のスケジュール、検索パフォーマンスの最適化といった機能拡張が行われました。

提供時期

新しいリリースは、データセンターによって異なります。北米では10月始めに、ヨーロッパとアジアはその後に順次提供されます。

自社サイトのデジタル資産を魅力的に

クラウドサービスの特長として、こうしたソリューションの機能追加や拡張は、随時行われています。
今回の新機能は、どちらかというと既にdynamic media機能(Adobe Scene7)をご利用頂いているお客様にとって、さらにできることの幅が広がり、また効率化が図られる、というメリットがあることでしょう。

一方、まだアドビのソリューションを調べているだけという段階のお客様にも、今回の新機能のうち特にソーシャル共有機能とマルチデバイス対応などは、マーケティング施策の新たなアイデアをご提案する意味合いもあると思います。

見込み顧客がオウンドメディアを訪れ、商品やサービスを訴求するバナーやサンプル動画を閲覧してくれたなら、それらに興味を持ってくれるかもしれません。そこで「それが気に入った」という気持ちを友人にも知らせたくなってくれたら、さらにチャンスが広がります。ソーシャル共有により、こうした効果を狙うことができます。

あるいは、会社の昼休みに同僚からおもしろい商品があると聞き、スマホで検索したとしましょう。もしオウンドメディアがスマホ向けに最適化されていれば、限られた帯域幅と画面サイズでも適切な解像度の画像や動画として閲覧できるので、すぐにその商品について気に入ってくれるかもしれません。

ソーシャルやモバイルといった顧客接点の重要さが増している今、dynamic media機能を使ってオウンドメディアを強化しておけば、これまで以上のエクスペリエンスを提供でき、自社のチャンスを広げることができるでしょう。

Adobe Experience Managerのデジタルアセット管理機能

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