Adobe After Effects CC (12.2) 2013年12月 リリース:新機能と変更点
※こちらの記事では、**英語版ブログ**の情報を日本語に翻訳してご案内しています。
10月末のリリースに続き、Adobe After Effects CC (12.2)2013年12月アップデートがリリースされました。Adobe Creative Cloudご契約中であればいつでもこのアップデートをご利用いただけます。また同時にAdobe After Effects CS6(11.0.4)もリリースされています。
Creative Cloudデスクトップアプリケーション、またはAfter Effectsの「ヘルプ」メニュー→「アップデート」からアップデートをインストールできます。
After Effects CC (12.2)新機能と変更点の概要
- デフォルトで自動保存が有効に
- 出力先のテンプレートでの出力フォルダー指定、および連番ファイル書き出し時の自動フォルダー作成
- 環境設定の移行
- スナップ機能の強化
- OptiXライブラリー新バージョン対応、およびOptiXライブラリー読み込みをアプリケーション起動時からレイトレース3Dレンダラー切替時に変更
- その他多数の機能改善およびバグフィックス
詳細は以下をご覧ください。
デフォルトで自動保存が有効
環境設定-自動保存の「プロジェクトを自動保存」がデフォルトで有効になります。
メモ:自動保存に頼り切るよりも良い方法があります。それは「ファイル」メニューの「番号をつけて保存」です。この「番号をつけて保存」を習慣的に行えるようになれば、自動保存を無効にしてもよいでしょう(英語版記事執筆の弊社エンジニアTodd Koprivaは、この方法で作業しています)。
出力先のテンプレートでの出力パス指定、および連番ファイル書き出し時の自動フォルダー作成
レンダーキューの出力先テンプレート機能が新たに出力パスを指定できるようになりました。出力時の保存場所を指定でき、またフォルダーが無い場合は自動的に作成されます。
出力先テンプレートに、新たに「コンポジションフォルダーとコンポジション名」というプリセットが追加されました。
また、「ファイルの名前と場所のテンプレート」ダイアログボックスの「プロパティを追加」に、「プロジェクトフォルダー」要素が加わりました。この要素を追加すると、出力ファイルはプロジェクトファイルと同じフォルダーに保存されます。
例えば下記のテンプレートを利用すると、”final_”の後にコンポジション名、さらにその後に”.”とファイル形式に合った拡張子で構成された名称のファイルが、プロジェクトフォルダー内のoutputフォルダーに保存されます。
[projectFolder]/output/final_[compName].[fileextension]
フォルダー名の代わりに、”..”(半角ドットを2個続けて記述)を使用することで、一階層上のフォルダーを指定することもできます。下記のテンプレートを利用すると、コンポジション名の後に”_matte.”、さらに続いてファイル拡張子で構成された名称のファイルが、プロジェクトフォルダーと同じ階層のoutputフォルダーに保存されます。
[projectFolder]/../output/[compName]_matte.[fileextension]
「ムービーを出力」ダイアログボックスには、新たに「サブフォルダーに保存」オプションが追加されました。これにより、出力時にサブフォルダーを指定できるようになりました。
連番ファイルとムービーファイルは異なるテンプレートが利用されます。大きな違いは、連番ファイルはサブフォルダーに保存されるということです。出力モジュールテンプレートで連番ファイルを選択すると、自動的に出力先のテンプレートは「コンポジションフォルダーとコンポジション名」に切り替わり、連番ファイルの保存先として自動的にフォルダーが生成されます。
環境設定の移行
After Effects CC 12.0や12.1といった以前のマイナーバージョンから、環境設定を移行できるようになりました。
環境設定-一般設定の最下部にある「以前のバージョンの設定を移行」ボタンをクリックすることで、いつでも移行できます。移行を開始すると、コンピューター内の12.0や12.1といった以前の環境設定フォルダーを検出します。12.0および12.1のそれぞれの設定がある場合は、どちらの設定を移行するか、または移行しないかの選択肢を提示します。移行を選択した場合、環境設定を12.2のフォルダーへ移行します。移行を完了すると、再起動を求められます。
After Effects CC (12.2)の初回起動時には、同様の選択肢が提示されます。
移行される環境設定は以下のとおりです。
- 環境設定
- フッテージ変換規則
- ワークスペース
- レンダリング設定テンプレート
- 出力モジュールテンプレート
- コンポジション設定テンプレート
- キーボードショートカット(12.1からのみ)
- ユーザー領域に保存されたスクリプト
スナップ機能の強化
After Effects CC (12.0)の新機能としてコンポジションパネル内での強力なレイヤースナップがあります。今回のアップデートでは、シェイプレイヤーのパスや、シェイプレイヤー内のシェイプ、カメラ、ライトのそれぞれのバウンディングボックスに対しても、コンポジションパネル内でスナップするようになりました。
マスクと同様に、シェイプレイヤーのパスをクリックすると、最も近いポイントを基準にスナップします。
シェイプレイヤーを、異なるシェイプレイヤー内のシェイプにスナップさせることはできますが、シェイプレイヤー内のシェイプをスナップさせることができません。
OptiXライブラリー新バージョン対応、およびOptiXライブラリー読み込みをアプリケーション起動時からレイトレース3Dレンダラー切替時に変更
今回のバージョンから、Nvidia OptiXライブラリーの新バージョンが統合され、レイトレース3Dレンダラーに関連するいくつかの不具合が改善されました。また、このライブラリーの読み込みも、After Effects CCの起動時では無く、レイトレース3Dレンダラーの初期化時に行われるようになり、レイトレース3Dを利用しないユーザーにとってメリットがあります。
シェイプレイヤー作成時にベジェパスとして作成するオプション
長方形ツールや、多角形ツールなどのシェイプツールが選択されているときに、新たに「ベジェパス」オプションが表示されるようになりました。このオプションが選択されていると、パラメトリックパスではなくベジェパスとしてシェイプレイヤーが作成されます。このときAlt(MacではOption)キーを押しながら作成すると、ベジェパスではなくパラメトリックパスとして作成されます。このオプションが選択されていないときはその逆の結果となります。
シェイプレイヤーのパラメトリックパスをベジェパスに変換
シェイプレイヤーに含まれるパラメトリックパス(例:長方形パス1)をベジェパスに変換できるようになりました。シェイプレイヤー内のパラメトリックパスを右クリックして、「ベジェパスに変換」コマンドを選択することでベジェパスに変換できます。ただし、パラメトリックパスにキーフレームアニメーションが設定されていたとしても、ベジェパスに変換するとアニメーション情報は失われます。
注意:この機能を使って、ベジェパスに変換した場合、キーフレームアニメーションが予測しない結果となります。これはパスの方向と変形情報がどのように記録されているかということに関係します。シェイプのキーフレームアニメーションを行う場合はご注意ください。
その他の新機能および変更点
- 「フッテージを再読み込み」コマンドを実行すると、直前にリンクしていたファイルの再読み込みをするようになりました。
- カラー補正エフェクト「チャンネルミキサー」が32bpc処理に対応。
- スクリプトファイル(.jsxや.jsxbin)をプロジェクトパネルにドラッグ&ドロップすると、ユーザー領域のScriptsフォルダーに保存されるようになりました。
- 同一コンポジション内で、同一素材を複数使う場合に、レイヤー名を強制的に重複させない挙動(ファイル名に番号を追加)がなくなりました。ただし、プロパティリンクと一緒にコピーする場合はこの限りではありません。
- ディストーションエフェクト「メッシュワープ」のコントロールポイントを、カーソルキーで動かせるようになりました。
- 描画エフェクト「線」と「ブラシアニメーション」のブラシサイズ最大値が50から200に変更されました。
- 「ディスクキャッシュを空にする」コマンドにより、以前のマイナーバージョンが利用していたディスクキャッシュも消去されるようになりました。
- 環境設定:プレビュー>ビューアの画質>ズームの画質、での初期値が「精度を優先」になりました(従来は「RAMプレビュー時以外、精度を優先」)。
- コンポジションパネルの「目標範囲」作成時に25×25が最小サイズとなりました。作成後にサイズを小さくすることもできます。
- カラーピッカーを表示すると、16進数カラーコードのフィールドが選択されるようになりました。これにより、素早く16進数での色指定が行えるようになります。
- コンポジション設定の開始タイムコードで、負の値が指定できるようになりました。
- 自動キーフレームボタンをタイムラインパネルから削除しました。タイムラインパネルメニューの「自動的にキーフレームを有効にする」を選択することで、自動キーフレームモードに切り替えることができます。
主なバグフィックス
今回のアップデートでは、数多くのバグに対応しました。その中から主な項目をご案内します。
- ProRes形式素材を利用したプレビューやエクスポートでの結果に赤いコマが含まれる現象を改善。
- Cycore(”CC”で始まるエフェクト)プラグインがアップデートされました。これにより、CC Power PinエフェクトのUIが正しく表示されない問題を改善。
- Premiere Pro CCの3ウェイカラー補正エフェクト連携を改善。
- レイトレース3Dレンダラーで利用されるOptiXライブラリーに起因する起動時クラッシュの問題を改善。After Effects CC(12.1)と同様にMac OS X 10.9 Mavericksに対応したバージョンのOptiXライブラリーが今回のアップデートにも搭載されています。このほかVRAMの取り扱い強化などいくつかの改善が含まれています。
- ディストーションエフェクト「アップスケール(ディテールを保持)」を改善。意図しない透明なコマ、またはスケール値が特に大きい場合にクラッシュする問題に対応しました。
- Premiere Proが起動していない状態で、Dynamic Linkにより読み込まれたPremiere Proシーケンスのオーディオをコンフォームする際に生じていた問題を改善。
- 特定のフォントを削除した場合に、After Effects起動に失敗する問題(フォントの読み込みに失敗というエラー表示)を改善。
- After Effects CC (12.1)Mac版で、スクロールホイールによるズームをした場合に発生する問題を改善。
- RAMの空き領域が十分にあるにもかかわらず、「0.000MBのメモリを割り当てできませんでした」といったエラーメッセージが表示される問題を改善。
- Mac版で、プロジェクトの別名で保存時に、ファイルの種類を「Adobe After Effectsテンプレートプロジェクト(*.aet)」とした場合に、拡張子が正しく変更されない問題を改善。
- 出力モジュール設定→メインオプション→ビデオ出力→開始#、で設定した開始フレームの番号が保存されず毎回”0”にリセットされていた問題を改善。
- クラッシュやエラーの原因となっていたいくつかの問題を改善。