Adobeの広告ソリューション:Adobe Media Managerを知る(基礎編)
Adobe Media Managerとは?
Adobe Marketing Cloudは6つのソリューション群から構成されており、その中でデジタル広告の統合管理プラットフォームとしての役割を担っているのがAdobe Media Managerです。
「Adobeが広告??」と思われる方もいるかと思いますが、そうです、Adobeが広告なのです。本気なのです。その証拠に2011年にDemdex(DMP、タグマネジメント)とAuditude(動画広告プラットフォーム)、2012年にEfficient Frontier(マルチチャネル広告管理)と、広告関連製品・企業の買収により、広告分野への展開を拡大し続けています。
本ブログではAdobe Media Managerのコンサルタントである田口が、今後数回にわたり、Adobe Media Managerとはどのようなソリューションで、どのような機能があり、どのような価値をもたらすことができるのかをご紹介させて頂きます。
今回のポストでは、まずAdobe Media Managerの基礎編として、どのような製品・機能が含まれているかをご紹介致します。
Adobe Media Managerに含まれる機能
Adobe Media Managerというソリューションは大きく2つの機能から構成されています。それが、enhanced advertising とaudience managementです。
(1) enhanced advertising (旧AdLens)
旧Efficient frontierと元々Adobeが有していたSearchCenter+の要素が一体化した機能です。
特徴としては以下が挙げられます:
- 主に運用型広告をマルチチャネルで一括管理し、コンバージョンの重複を排除した成果にて分析-評価-評価に基づく入札自動化ができる
- 検索連動型広告において、ポートフォリオ型/入札ルール型、両方の自動入札機能を提供している
- 投資した広告費に対して、どの程度の成果が見込めるか、という予測機能を有している
- Adobe Analyticsのイベントをコンバージョン指標として連携利用できる
- データを一元管理しているため、チャネルを跨いだコンバージョンパス分析ができる(1stタッチのチャネル、2ndタッチのチャネルなどアトリビューション分析に利用可能なデータが計測できる)
- 自動キャンペーン作成および在庫連動機能
対応しているチャネルは以下です。
- サーチ:検索連動型広告(Yahoo!JP、Google Adwords)GDN、Google商品リスト広告
- ディスプレイ:DSP機能、他社DSPや純広告などのトラッキング機能
- ソーシャル:Facebook広告、LinkedIn広告、Twitter広告の管理
最大の特徴であるポートフォリオ入札機能やその他enhanced advertisingの機能詳細に関しては、次回ブログにてご紹介させて頂く予定です。
(2) audience management (旧Adobe AudienceManager)
2010年に買収したDemdexがベースとなっている製品で、カテゴリとしてはプライベートDMPに属します。フォレスター社よる調査の結果、audience managementはDMP分野のグローバルにおける「リーダー」という評価を受けました。詳細は以下リンクをご参照ください。
audience managementの特徴としては以下が挙げられます。
- Adobe Analyticsのタグを活用した非常に簡単なデータ収集の開始および、Adobe Analyticsで計測しているイベントや行動情報などのセグメントへの活用
- 会員DBなどクライアント様が持つデータを取り込み、セグメントに利用できる (会員DBデータとWeb解析データとのマッチングも可能)
- enhanced advertising (DSP機能)やAdobe Targetにセグメントを共有し、サイト内外の配信に活用できる
- サーバー間連携を行っている他社DSPやSSPに対して、リアルタイムでセグメントを共有できる
- 提携済みの3rd Party data provider のデータをセグメントに利用できる
audience managementの機能詳細や活用事例などは、次々回のポストにてご紹介させて頂く予定です。
Adobe Media Managerが実現すること
多くのクライアントが、設定したターゲット(見込み客)に対して、顧客になってもらうためのアプローチを行っています。自社サイト外でのアプローチの代表格が「広告」です。では、ターゲットを顧客に変えるための「有効な」アプローチとは、どのようなものでしょうか。
様々な手法や表現が頭に浮かんでくると思いますが、はじめに考えなくてはいけないことは、自社のターゲットがどのような人であるか、ということです。
ターゲットにとって、興味のないアプローチ、執拗なアプローチ、タイミングの合わないアプローチを行っていても顧客になってはくれません。これは読んで頂いているみなさまが、特にWeb上の広告に対して、一度は感じたことがあると思います。ターゲットのことを知らないことには有効なアプローチができるはずもありません。
前置きが長くなりましたが、Adobe Media Managerが実現することは「ターゲットを深く理解し、有効なアプローチを行うこと」です。
Adobe Media Managerでは、自社DB、Web解析、広告出稿(接触)データなどを統合することにより、自社がアプローチすべきターゲットの輪郭を明らかにします。
例えば、自社の顧客は、どのような広告・サイト接触を経て自社に興味を持ち、どのような検索・コンテンツ閲覧を通して顧客になってくれたのか、そして、その方は、どこに住み、何歳の女性or男性で、過去に自社の利用経験はなく、他に興味のあることは…と、既に自社が有するデータから、自社の顧客像を明確にすることができます。そして、自社の顧客像を元に、「ターゲット(見込み客)」を再定義することで、必然と「有効な」、そして「友好な」アプローチ方法が見えてきます。
Adobe Media Managerは、データを集約・分析し、顧客とターゲットを理解するだけでなく、再定義したターゲットに対して、アプローチを行うことが可能です。
まとめますと、ご紹介したAdobe Media Managerの2つの機能、enhanced advertisingでは、顧客になる可能性が高い優良なターゲットをサイトに導くキーワードへの予算を自動調整し、audience managementでは、定義したターゲットに対するサイト内外でのアプローチ回数や頻度をコントロールし、重複(無駄)のない投資を実現します。
データの活用がカギ
自社にある貴重なデータを分散させたままでは、情報が不足し、有効なアプローチを実現することは困難です。あらゆるデータを手元に集めることで、実現できることは無限に広がります。
Adobe Media Managerは、自社の顧客像を明らかにすること、いわば霞んでいたシルエットが光を帯びてはっきりと見えてくるような期待と楽しみを提供します。
最後に、製品や機能をただ使うだけではソリューション(課題の解決)は実現しません。製品とそれを使う人の目的、さらに活用法(サポートやコンサルティング)が合わさってはじめてソリューションとして成立します。Adobeでは、Adobe Media Managerを活用する上でのトレーニングやコンサルティングサービスもご用意しております。
Adobe Media Managerにご興味ある方はぜひお問い合わせ頂ければと思います!
ぜひ次回ポストもご期待ください。
筆者:氏名田口恭平 アドビ システムズ株式会社 コンサルティング部 コンサルタント
インターネット系広告代理店にて、運用型広告の営業・コンサルティング業務に従事。その他サイト制作の提案・運用などの経験を経て、2011年にAdobe入社。SearchCenterの専任営業の後、2012年6月よりAdobe Media Managerコンサルタント、スペシャリストとして活動。