Adobe Experience Manager 6.0登場。モバイルアプリにも対応したエクスペリエンス管理で、マーケターと開発者の協働を

CMSから、WCMへ、WCMからエクスペリエンス管理へ、そしてその先へ

今週米国ユタ州で、アドビ本社が開催する世界規模のデジタルマーケティングカンファレンス「Adobe Summit 2014」が行われています。今年のテーマは「マーケティング再創造(The Reinvention of Marketing)」。
毎年さまざまな新機軸、イノベーションが発表されます。ここでご紹介するのはそのひとつ、Adobe Experience Manager最新版による、モバイルアプリの新時代を告げる発表です。

デジタルチャネルといえばweb、webといえばHTML/CSS、コンテンツ管理システム(CMS)、という世界観が、日本ではどちらかというと主流ですが、欧米のトレンドはずっと先を行っています。Webコンテンツ管理(WCM)だけに留まらず、顧客接点となるあらゆるデジタルチャネルを管理するテクノロジー、つまり、カスタマーエクスペリエンス管理(CEMやCXMと呼ばれています)がすっかり主流になりつつあります。そして、モバイルアプリもその管理対象のひとつ、という訳です。

Webの世界だけから見ると、モバイルアプリは顧客を奪う手痛い競合、と映るかもしれません。しかしマーケターにとっては違います。新たなチャンス到来です。

今回発表になったのは、こうしたデジタルチャネルのひとつとして、iPhoneやAndroidなどにとって欠かせないモバイルアプリの世界です。Webではない新時代のフロントエンド、顧客接点となりつつあるモバイルアプリを、マーケターに優しく、しかもモバイルアプリの開発者とも前向きに協働できるようになる、という新提案です。

それではその発表の背景を、ロニ スターク(Loni Stark)によるブログ記事の翻訳でご紹介します。

※以下はUS Digital Marketing Blog「Introducing Adobe Experience Manager Apps For Marketers & Developers」の翻訳です。

モバイルアプリの時代

2013年はモバイルのトレンドが大きく動きました。アドビの調査「Digital Index」によると、消費者の購買額は、モバイルwebサイトに比べてモバイルアプリは4倍にも上ったそうです。アップルはiBeaconを発表し、マーケターはいまや、ロケーションベースのコンテンツを使って、より適切に消費者へリーチすることができます。さらに、モバイルアプリによる産業の再創造、という現象は続くことでしょう。
Uberはタクシーを捕まえる方法を変えました(訳注:ウーバー社、スマホでハイヤー手配できるサービスを提供、日本にも3月に上陸したばかり)。Wazeはソーシャルとロケーションデータを活用して渋滞情報の予測を提供しています(訳注:ウェイズ社、スマホアプリを通して渋滞情報をシェアできるコミュニティを運営、日本語版も2012年から)。Nestはスマホを使って家電を遠隔操作できるようにしました(訳注:ネスト社、2014年1月にGoogleが買収を発表)。

テクノロジーが進化するにつれ、マーケターにとっては、モバイルアプリを活用して顧客ロイヤルティを高め、エンゲージメントを促進する機会が増えることになります。ところが既存のアプリ開発ツールは、開発者だけを対象としています。私達はこのギャップは重大ごとだと捉えました。そして、顧客により良い価値を提供し、競合との差別化を図るためには、コンテンツ更新やパーソナライズの設定といったモバイルアプリのエクスペリエンスを、マーケターでも直接関与できるような方法が必要だと考えました。

これこそ、「企業のモバイルマーケティングを強化する、最新モバイルソリューションを発表」した動機です。マーケターのためのAdobe Experience Manager appsと、開発者のためのPhoneGap Enterpriseの組み合わせです。これにより、マーケターと開発者はひとつのチームとして協働することができるようになります。そして、魅力的なモバイルアプリを開発しつつ、ビジネス成果も最大化することができます。企業はすばやくアプリを提供しつつ、利用者行動という反響に基づいて更新し(この段階では開発者の関与は不要)、結果としてアプリのROIを向上させることにつながります。

Adobe Experience Manager appsという新提案

Adobe Experience Manager appsにより、チームには次のようなメリットが得られます:

アプリのエクスペリエンスを継続的に改善:

すごいアプリを公開しても、利用者が使ってくれないとしたら、困りますね?興味を引き続けられるように更新が必要ですが、その開発作業に何日も、何週間も待てますか?Adobe Experience Manager appsなら、マーケターは開発者に依頼することなく、ちょっとした操作だけで簡単にアプリに変更を加えることができます。必要に応じてレビューワークフローを通したら、更新内容はすぐに公開、配信できるので、利用者にわざわざアプリを更新してもらう必要さえありません。

あらゆる顧客セグメントへ、よりすばやくリーチ:

チームの疑問として私達がよく耳にするのは、「iOSとAndroid、どちらから先に開発すべき?」というものです。Adobe Expe­ri­ence Man­ager appsなら、もう選択する必要はありません。ひとたびアプリを開発するだけで、複数チャネルへ配信することができます。また、後々のコンテンツ更新をスピードアップするために、ネイティブアプリ内部にクロスプラットフォームなコンテンツを埋め込むことができます。もう大切な顧客を逃さなくて済みます。

お金をかけずに、多様なブランドへ展開:

アプリ開発には工数と開発コストが必要です。ところがもし、様々なブランド用の新アプリを、簡単に開発するできるとしたらどうでしょう?あるいは、いろいろなキャンペーン用アプリを、別々の地域向けに用意できるとしたら?Adobe Experience Managerはこれを可能にします。アプリをひとつ開発すれば、これをコピーして様々なチャネル向けにあつらえることができます。さあ、すぐに始めて、どんどん広めましょう。

これぞ真のオムニチャネルの実現:

顧客は常に、いろいろなチャネルを使い、その間を動いています。この動きについてこれていますか?Adobe Experience Manager appsを活用すれば、Webであろうとアプリであろうと、あらゆるコンテンツを自由に扱えます。デスクトップ、スマホ、タブレット、あるいは電子ディスプレイ、なんでも構いません。ひとつスキルを習得するだけで、インターフェイスの簡単な操作だけで実現できてしまいます。あらかじめ提供されているワークフローと承認の仕組みを使って、運用を効率化しつつ、あらゆるエクスペリエンスを変更できるようになります。

マーケターと開発者の協働

マーケターがモバイルアプリのライフサイクル全体に取り組むことができるようになることに加えて、Adobe Experience Manager appsが実現するのは、業界をリードするクロスプラットフォーム対応モバイルアプリ開発ソリューションであるPhoneGap Enterpriseを通じて、開発者と協働できるということです。
既に何百万人もの開発者がPhoneGapを使っていて、web開発の知識を活用して、iOSやAndroidといったクロスプラットフォームで動くアプリを開発しています。
私達はPhoneGapチームとともに、アドビからの直接サポートを得られる企業向けソリューションを提供し、ネイティブデバイス対応機能(例えばカメラや位置情報など)を容易に利用できるようにし、Adobe Marketing Cloudの一部として利用できるように統合を進め、関係者が新アプリをテストする仕組みを簡素化しました。ネイティブアプリとハイブリッドアプリのメリットをぜひ活用してください。テクノロジーの選択はみなさん次第です。

PhoneGap Enterpriseと組み合わせたAdobe Experience Manager appsにより、もっとも優れたモバイルアプリ開発プラットフォームが、マーケターのためのツールと組み合わさることになります。これにより、モバイルアプリの開発から配信、継続的な更新、エンゲージメントの強化といった、アプリにまつわるすべての段階が強化されることでしょう。

いままさに私達は、あるすばらしいブランド企業と協業しています。その成果を近い将来発表できることを楽しみにしています。ぜひ今後の情報にも期待していてください。

Loni Stark