デジタル時代に求められる個客体験を創造する、Adobe Experience Manager最新版の特長

デジタル時代に顧客が求めるもの、企業が問われていること

デジタルチャネルの普及は、人々のライフスタイルを急激に変えてきました。この変化は非常に早く、また多様化しています。B2CでもB2Bでも、こうした顧客の期待は普遍的です。そこで企業は、いやおうなくこの変化にすばやく対応していかなくてはなりません。そのためには、従来のビジネスの進め方を改善するというよりも、事業モデルや業務プロセスなどを、新たな市場環境へ対応することのできるよう、より積極的に変革していく、つまり「再創造」していく必要があるでしょう。
いつの時代も企業にとって重要なのは顧客であり、すぐれた顧客体験(カスタマーエクスペリエンス)が、短期的な収益、長期的なブランドロイヤルティにつながります。デジタル時代に、こうした顧客体験を創造していくには、何が必要となるでしょうか?

ソリューション名に「Experience」を冠したAdobe Experience Managerの部門を率いる、プロダクト&インダストリーマーケティングディレクターのロニ スターク(Loni Stark)による記事から、アドビの最新リリースによって創造される個客体験の姿をご紹介します。

※以下はUS Digital Marketing Blog「What the New Adobe Experience Manager Reveals About Today’s Customers」の翻訳です。

顧客から個客へ

先日開催されたAdobe Summitで私は、世界中から訪れたマーケター、クリエーター、エンジニア、開発者、CMO、CIOといった人々と話す機会がありました。そして、デジタル個客体験について見つめ直し、それを促進できるよう組織を再創造することの機会と課題について語り合いました。

また、Adobe Marketing Cloudを構成するソリューションのひとつ、Adobe Experience Managerについて、史上最大規模にして最も包括的な、最新版を発表しました。
そのイノベーション自体も画期的なのですが、それ以上に重要なことは、顧客の期待するものが大きく変わったという背景があること、また私たちが一人ひとりの顧客、つまり「個客」とどのようにして関係を深めていけるのか、その方法こそが重要なのです。デジタルデバイスやチャネルの増大は、諸刃の剣と言えます。企業にとってはこれまで以上に個客へリーチしやすくなる一方で、適切なスキルとテクノロジーが無ければ、デジタルチャネルはバラバラで機械的な印象しか与えず、顧客体験としては阻害要因にしかならないでしょう。

最新のAdobe Experience Managerなら、マーケターや開発者の結束力を強め、クリエイティブからコンテンツ、コマースまで、より優れたデジタルエクスペリエンスを、チームが協力し合いながら構築することができるようになります。テクノロジーの力を適切に活用することで、「デジタル」によって「個客」が見えなくなってしまう、ということを防ぐことができるのです。

それではここで、デジタル時代の顧客が企業に期待していることに応える、最新リリースの特長をご紹介しましょう。

ひとつのチャネルしか使わない個客など、もはや存在しない

中堅企業か大企業家を問わず、デジタル戦略の推進を担当されている皆さんなら、あらゆる顧客接点で提供されているエクスペリエンスがどのようなものなのか、気にされていることでしょう。ブランド認知、ロイヤルティ、購入意向といったものは、web、モバイル、対面などを通じて形成されます。個客と企業とのやり取りの中で、たったひとつのチャネルしか使われないことなど、もはや無いでしょう。
かといって、すべてのチャネルに対してまんべんなく注力し、投資するというのも現実的ではありません。
ただ、これまでのやり方では分断された状態になっている、Webコンテンツ管理、モバイルアプリ開発、動画配信、ソーシャルメディア上での対話といったものが、あるべきデジタルエクスペリエンスの姿からは程遠い、というのも事実です。

Adobe Experience Manager最新版では、5つの主要領域に対して単一のプラットフォームを提供し、マーケティング部門とIT部門が協働しながら、真にクロスチャネルな個客体験を構築、提供することができます。
それぞれの領域は、対応する担当部門が利用することも、関係者が複数領域にまたがって利用することもできます。これを実現するのが新しい「プロジェクト」機能で、チーム、タスク、ワークフロー、アセットといったものを組織内で共有することができます。
ここで、5つの主要領域をご紹介します:

Webサイトやモバイルサイトのコンテンツ、店舗内や施設内のエクスペリエンスなどをすべて管理します。後者については、Adobe Experience Managerを利用している企業が実際に取り組んでいる、もっとも革新的な利用例に該当します。
例えば、Adobe Experience Managerを導入しているあるホテルリゾート企業や航空会社では、リゾート地を訴求するデジタルサイネージ、飛行中の状況を表示する座席スクリーンを通じて、一人ひとりの顧客向けの体験、つまり個客に最適なエクスペリエンスを提供しています。デジタルエクスペリエンスは対面チャネルにおいても重要度を増しているので、企業はデジタルを毛嫌いする替わりに、これまでにないすばらしい体験を一人ひとりに提供するための手段として、活用が広がっていくことでしょう。

あらゆるマーケティングチャネルで利用できるように、リッチなデジタルアセットを保管、管理、配信します。アセットを補完するだけなら他にも様々なソリューションがありますが、私たちはそれだけでは役不足だと考えています。
アドビが注力しているのは、マーケターとクリエーターがアセットをもっと効果的に活用できるようにすることです。多数の強化点の中から特に革新なものと言えば、、写真撮影からサイト掲載、製品情報管理(PIM)までの一貫したワークフローの整備と、強力な動画のレビュー機能と配信でしょう。これらは、デジタルアセット管理と配信のさらなる進化の典型と言えます。

オウンドメディア上で、ユーザー作成コンテンツを活用、管理します。個客の動機付けに最も効果を及ぼすチャネルのひとつがソーシャルです。アーンドメディアとしての外部ソーシャルチャネルを通じて結ばれた個客との関係は、オウンドメディア上にもソーシャル要素を持たせることで、対話を深め、コミュニティとして育成させていくことができるでしょう。
新機能はAdobe Experience Managerの強化点の一部というよりも、コミュニティ機能をオウンドメディアの中核的存在へと押し上げるものです。
アドビ自身も、活発なデベロッパーコミュニティを運営していますが、さらに「online community」としてビジネスやマーケティング担当者にも広げようとしています(訳注:英語での提供)。この新しいonline communityを、Adobe Summitで担当チームが発表しました。モバイル化への対応、レスポンシブデザインに沿ったエクスペリエンスの実践、Adobe Digital Publishing Suiteを使った魅力的なタブレットエクスペリエンスの提供、といった内容で、UnitedHealth GroupやRedbox、Lord Abbettといった方々が、Adobe Experience Managerによるエクスペリエンスについて共有してくれて、頼もしかったです。

個客用のwebフォームやモバイルフォームを構築します。記入しやすく提出しやすいエクスペリエンスを提供できます。

最後にご紹介するのは、Adobe Experience Managerファミリーに新しく追加されたものです。これは、Adobe Summit初日のゼネラルセッションでたいへんな注目を浴びたものです(「Audiデモ」と呼んでいるもので、イベントに参加された方ならばお判りでしょう)。
どのマーケター、企業も、モバイルアプリの提供について検討すべきです。なぜでしょう?
それはいまや、人々が多くの時間をモバイルアプリに費やしているからです。最近発表したDigial Indexレポートによると、webサイトとモバイルアプリの利用時間について調査したところ、人々は平均3~4倍もの時間をwebよりアプリに費やしていることが判りました。
しかしこれまでは、モバイルアプリ開発プラットフォームといえば開発者だけにフォーカスしているため、いわば方程式の解の途中までしか解決してきませんでした。私たちは、マーケターと開発者、双方のニーズを満たすことにフォーカスしています。これによって方程式は完成します。マーケターやビジネス部門としては、モバイルアプリのエクスペリエンスを更新したい、パーソナライズしたいというときに、判りやすいAdobe Experience Manager appsのインターフェイスから簡単な操作をするだけでコンテンツを更新することができ、結果を分析、さらにパーソナライズし、レビュープロセスも合理化することができます。

Adobe Experience Managerで再創造を

ビジネスや人々の働き方の再創造は、テクノロジーのみでは成立しませんが、テクノロジーは強力な推進役となるのも確かです。今回発表したイノベーションは、この何年も私たちと共に歩んできた企業ブランド、マーケター、技術者にとって、最高のWebサイトやモバイルサイトを実現できるだけでなく、あらゆるパーソナライズされたチャネルに対してもアセットを共有できる、という点で大きな意味を持ちます。新登場のAdobe Experience Manager appsこそがその例で、マーケターと開発者のどちらも、同じアセットを共有しながら、モバイルアプリを開発、更新することができます。

Adobe Experience Managerによって企業が実現できる未来は、その可能性まで含めてすべてを語り尽くすのは難しいことです。同じように、Adobe Experience Managerによってカバーされる領域がモバイルアプリ、対面型のエクスペリエンス、魅力的なコマース体験へと拡大していくにしたがって、デジタル時代にふさわしいブランド一貫性を実現するためのプラットフォームとしてだけでなく、みなさん自身の専門知識を成長させ、成果を高め、継続的に自分自身の能力を再創造していけることでしょう。

さあ、今年最高のエクスペリエンスを創造していきましょう!これは始まりに過ぎないのですから。

Loni Stark

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