突撃インタビュー「エバンジェリストに聞く2014年のCreative Cloudの話 (前編)」

Creative Cloud エバンジェリストの仲尾さんに、エバンジェリストの仕事や2014年リリースのCreative Cloudについて聞いてみる (前編)

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「エバンジェリスト」ってどんな仕事? Creative Cloud エバンジェリストの仲尾さんが取り組んでいる日々の業務と、仲尾さんが考えるCreative Cloudの魅力や今後の方向性について聞いてみました。

仲尾さんの役職“エバンジェリスト”について教えてください

“エバンジェリスト”という言葉を聞き慣れない方もいらっしゃるかもしれませんが、IT系の会社では割と多くある役職です。よくアニメの『エヴァンゲリオン』と間違われますが(笑)。
“エバンジェリスト”は宗教用語で「伝道師」という意味なんです。

ざっくり言うと“広報兼マーケティング担当者”といったところでしょうか。新しいテクノロジーや製品を広めていくことが、エバンジェリストのミッションです。

ふだんはどういった活動をされてるんですか?

そうですね、月に3、4回は国内のどこかのセミナーでしゃべってます。

それから雑誌などの媒体対応、ブログ「Creative Cloud道場」での情報発信ですね。その他Facebook、TwitterなどSNSは日に何度か更新していますし、USTREAMで映像コンテンツ「Creative Cloud道場」を毎週木曜に配信しています。

常にどこかで何かを発信しているわけですね。ちなみに、どんなセミナーに招かれるのでしょうか?

いろいろですよ。パートナー企業さんに呼んでいただくこともあるし、ユーザーさんのコミュニティから「勉強会に来てほしい」とお声がかかることも。

ときには、「アドビという社名は知ってるけど製品を使ったことがないから、どんなものなのか説明しに来てほしい」と呼んでいただくこともあります。こういうお声がけはうれしいですね。

時間さえ合えば、そしてCreative Cloud(以下、CC)に関するテーマなら、どこでも行きます。もちろんノーギャラです(笑)

エバンジェリストの活動で特に手応えを感じるのはどんなときですか?

CCは誕生から2年、まだ2歳なんですが、セミナーなどで「ご存知の方」「利用している方」と聞いたときに、手を挙げてくださる方がどんどん増えているのはうれしいですね。

あとは、「最初は半信半疑だったけど、結果的におトクでした」「仕事の幅が広がりました」といった感想をもらったときに「よし」と思います。

仲尾さんがCCをオススメするときの殺し文句はあるんですか?(笑)

難しいですね(笑)

それぞれのユーザーさんにとって“メリット”と感じられるポイントは違うと思いますが、ひとまず言えるのは「ビジネスチャンスが広がります」でしょうか。

たとえば、「これまでは紙主体でやってたんだけど、Webの仕事も始めたい」と考えたときに、新規投資する必要なくDreamweaver CCなどのWeb用ツールを使えて、すぐに技術習得に取り組むことができるのは大きなメリットだと思います。

もしくは、数年前に購入した旧バージョンのDreamweaverがお手元にある場合。
Webのように流れの速い業界では、過去のバージョンで現在の技術に対応するのが難しい可能性があります。

だからといって、最新バージョンにアップデートしようとすると「え、こんなにかかるの」という金額になってしまいますよね。

CCは、「今やりたいこと」に対応したバージョンを選択できるのが大きな魅力だと考えています。Mac/Winのチョイスも含め、フレキシブルであることを評価していただければと思っています。

私はWeb系のクリエイターですが、InDesignに興味がありました。CCにしてからインストールして時々さわっています。Webの仕事には関係ないんだけど楽しいですね

でも、InDesignでデータを作っておけば電子出版につなげることもできますから、関係ないとも言い切れませんよね。

ああ、ホントですね。とはいえ、私の周囲にはCC導入に抵抗感を持っている人もまだまだいるようです

アドビは30年間にわたって、パッケージ販売、そして永久的にライセンス許諾する形でソフトを提供してきました。

これが月極のサービスに変わることで、それまでの「所有している」感覚が「レンタルしている」感覚に変わるような気がして不安を感じられるのかもしれませんね。

「所有」といえば、アドビ製品のパッケージはキレイだから、並べることでコレクター欲が満たされるんですよね

ありがとうございます(笑)

そういえば、スイートパッケージのなかで一番高い300,000円のパッケージは、その名も「Master Collection」ですね。

でもCreative Cloudは、「Master Collection」よりたくさんのソフトを使えるんですよ。

……という話をすると、「じゃあ300,000円でCCを何年使えるんだ」とそろばんをはじかれるお客さまもいらっしゃいますが、CCはバージョンアップも全て込みですから、やっぱりおトクだと思います。

たしかに。私は個人で仕事をしているので、年に一度のバージョンアップ代の支払いは、正直きつかったです

そうですよね……って僕がうなずいちゃいけませんね(笑)

ちなみに、フリーの方であれば、CCなら固定資産としてのソフトウェア代ではなく月々の経費として処理していただけますよ。経理的にもメリットが大きいのではないでしょうか。

ここで、先日6/19に発表されたCCのメジャーバージョンアップの内容を少し教えてください。個人的には、愛用しているDreamweaverがどうなったのか気になります

分かりました。今回追加された新機能のうち、特にオススメしたい2つのポイントについて紹介しますね。

ひとつめは「ライブビュー編集機能」です。Chromeと同じレンダリングエンジンで表示結果を確認できる「ライブビュー」は以前から搭載されていましたが、今回のバージョンから、ライブビュー画面でも編集できるようになりました。

スタイル設定はもちろん、要素の追加や修正もブラウザでの表示そのままの環境で行えます。

「デザインビュー」はブラウザのレンダリングと違うことがあるので利用に二の足を踏んでいましたが、ライブビュー画面で編集できるようになったら、かなり便利になりそうですね

ここ数年で、これまでWeb系の仕事をしていなかった人がWebサイト運用をするという状況が増えました。

そこでDreamweaverは、コードを知っている人だけではなく、いろんなアプローチに対応していきたいと考えています。

コードの知識が無い方向けには「Muse」という製品もあります。これも有力なソリューションもひとつではありますが、「もっと突っ込んだサイト制作を」ということになったらDreamweaverが必要ですね。

そのために、Dreamweaverでの強力なビジュアル支援が必要だと考えています。

「ライブビュー」では、自分が管理しているサイトのデータだけでなく、一般に公開されているサイトを開くこともできます。ですから、「このデザインがいいな」と思ったら、そのサイトからスタイル情報をコピーして利用することも可能なんです。

もうひとつの目玉機能を教えてください

はい、ふたつめは「エレメントクイックビュー」です。

これはHTMLの構造を分かりやすく可視化して、さらにドラッグアンドドロップでHTML要素の順序を入れ替えたり、削除したりできる機能です。

要素の階層構造がアイコンで表現されていて分かりやすいですね。プロの制作者である私も重宝しそうです。あ、でもパネルがフロートしてる。タブグループに追加してして常駐できるといいと思うのですが

はい、改良の余地はまだたくさんありますね。

でも、たとえば外部の業者さんに発注して作成してもらったサイトをメンテナンスする場合などには、コードを読まずに作業を始められます。編集可能になったライブビューと組み合わせれば、かなり強力なツールになるでしょう。

ぜひ実際に使って、新しいワークフローの違いを体験していただきたいですね。

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