突撃インタビュー「エバンジェリストに聞く2014年のCreative Cloudの話 (後編)」

Creative Cloud エバンジェリストの仲尾さんに、エバンジェリストの仕事や2014年リリースのCreative Cloudについて聞いてみる (後編)

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日本全国で開催されるセミナーだけでも大変なのに、海外での活動も日常業務の範囲内。世界をまたにかけるエバンジェリストとしての活動と、そんな仲尾さんがユーザーにいま一番伝えたいことを聞いてきました。

エバンジェリストのお仕事で、先週までアメリカに行ってらっしゃったとか?

はい、Creative Cloudメジャーバージョンアップの発表準備のために行ってきました。 (編集注:6/19に発表済み)

大きな発表の前には、新しい製品を紹介するデモンストレーションを本国の製品開発チームから伝授してもらったり、それに対してこちらからも意見を出したり、といった場を設けます。日本に固有の要件もあるので、一方的に教えてもらうというよりは、情報を共有して一緒に作り上げる感じですね。

世界各国のエバンジェリストが集まるんですか?

いえ、今回は日本だけでした。

こうした集まりは本社から一方的に召集されたるものではなく、こちらが必要だと思ったら行く……という流れです。

逆に本国のエバンジェリストが日本に来ることもありますよ。

各国のエバンジェリストが、自分のやり方を他国のエバンジェリストに伝える仕組みです。って、伝道師が伝道師に伝道するなんて、ややこしいですね(笑)

こうやって聞いてみると、エバンジェリストの仕事は、やはり広報的な意味合いが強いんですね

たしかにそうなのですが、ステージ上で製品の魅力をあますことなく伝えるためには、たくさんある機能の中のどれを抽出して紹介するのか、メッセージングをどうするのかを考えなくてはならない。
これは製品マーケティングのミッションです。

そのために、“どのようなユーザーの要望から製品が開発されてきたか”も知っている必要があります。

エバンジェリストの仕事は、広報でありマーケティングであり、またユーザーとエンジニアとの”接点”として存在することだと考えています。

接点ですか。ということは、セミナーなどでユーザーから出た意見は開発チームにフィードバックしてもらえるのでしょうか?

はい、そう心がけてます。ですから、僕を見かけたら遠慮せずにお声がけください。ユーザーさんのご意見はできるだけたくさん吸い上げたいと思っています。
……って、こんなこと言ったら大変なことになっちゃうかな(笑)

サポートセンターではないので、その点はご理解いただきたいんですが、基本的にはいつもそういう心持ちでみなさんの前に出て行っています。

セミナーは、製品紹介だけでなくユーザーとの交流の場でもあるのですね

はい。あと、ユーザーさんの意見をいただきたいのはもちろんですが、お伝えしたいことも製品紹介だけではありません。

Creative Cloudになってからアップデートが頻繁になったことの弊害として、「アップデートによってどんな機能が追加されたのか、キャッチアップできない」という声を聞くんです。

そこで、これまでは僕のブログで一部製品のアップデート履歴を月単位にまとめたりしていたんです。

でも、6月19日にアドビサイトがリニューアルして、全ての製品ページからアップデート履歴をご覧いただけるようになりました。

これ、とても良いリニューアルだと思ってます。

たとえば、Photoshopの最新情報のページを見てください。(と画面を指しながら…)

2013年9月に追加されたPhotoshopの「アセット生成」なんかも、機能自体を知らないユーザーさんがまだたくさんいらっしゃるんです。この機能を使っていただくと、ぐっと生産性が上がるように思うんですが。

これからは、アップデート内容をもっと積極的にお伝えしていきたいと思っています。

なるほど。Creative Cloudを使うならアップデート内容を押さえておかないと価値半減だな、と改めて思いました

そう思っていただけたら洗脳成功です(笑)

アップデートの頻度が高まることで、昨日まで1時間かかっていた作業が10分で終わったり、表現の幅が広がったり、がしばしば起きる。これがまさにCreative Cloudの大きな魅力だと思います。

では最後に、Photoshopの新しい目玉機能を教えてください。楽しみにしている人も多いと思うので

まずフォント関連から見ていきましょう。

フォントを選択すると、リアルタイムに反映されるようになりました。Illustratorなどではおなじみですが、Photoshopでは今回のメジャーアップデートで搭載された機能です。

あとは、Typekitフォントとの連携が強化されました。

PSDをパソコンで開いたとき、もしPSDに指定されているTypekitフォントがインストールされていない場合には、ワンクリックでダウンロードして追加できるようになっています。

フォントをリアルタイムに確認できるのは、とてもありがたいです。ところで、TypeKitで和文フォントを使えると最高なんですが……

ですよねえ(笑)

はい、ご意見を承りました。今後にご期待ください。

次は配置に関する機能です。

Optionキーを押しながらシェイプをつまむとガイドが表示されるスマートガイド機能です。

オブジェクト間の距離が即座に表示されるため、コンテンツを正確にレイアウトできます。

均等配置のような作業も簡単に行えます。

PowerPointのようなプレゼンツールでおなじみの機能ですね!

そうですね。

ところで千貫さん、写真の人物を背景から切り抜いて別レイヤーにする必要があるとき、どんな作業を想像しますか?

人物を切り抜くのって大変なんですよね。拡大してクイックマスクを使って……みたいな手順で作業すると思います

新しいPhotoshopには「焦点領域」という機能が追加されました。

この機能を使うと、ピントが合っている部分だけを選択できるんです。

エッジの調整も可能なので、かなり高い精度で手前の人物を切り抜けるんですよ。

わあ、これはすごい! 印象的な画像を簡単に作れそうです

特にポートレート系の写真素材のときには役に立ちそうですよね。

さて、最後にご紹介したいのは、ぼかしギャラリーに新しく追加された、「スピンぼかし」と「パスぼかし」です。

これらの機能を使うと、任意の場所にボカシをかけることで“動き”を演出できます。

単なるボカシではなく、回転させたりパスで方向を指定できるんですね。これによって、2Dの画像に3Dっぽい雰囲気を追加することがが可能になります。

見どころがたくさんあって驚きました。 …そういえば、今回のアップデートではPhotoshopに限らず、起動画面がかなり印象的に変更されていますね

Behance」というアドビのクリエイター向けSNSがあるんですが、ご存知でしょうか。そこに投稿されたアーティストの作品をピックアップして使わせていただきました。

素敵ですよねえ。起動画面も楽しんでいただければと思います。

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