iPhone6登場間近。サイトの準備は大丈夫?
消費者は熱狂、マーケターは頭痛
日本でも噂になっている通り、間もなく新型iPhone6の発表がありそうです。
新しいモバイルデバイスの登場は、世の中で大いに盛り上がり、消費者の間で話題になります。一方で企業の側から見ると、変化はチャンスにもリスクにもなります。もっとも端的に影響が出るのはモバイルサイトでしょう。モバイルデバイスの画角は機種によってまちまちなので、どんなデバイスでもサイトの見え方が正しくなるようにコントロールするのは、なかなか大変なことです。
そして課題は、見え方だけではありません。
新デバイス登場によりサイトにはどのような課題があり、それをどうやって解決したらよいか、アドビのエクスペリエンス管理担当プロダクトマーケティングマネージャーの、ヴェベカ グエス(Vebeka Guess)によるブログ記事の翻訳でご紹介します。
※以下は”iPhone 6 Is Coming: Is Your Media Ready?の翻訳です。
新型iPhoneの仕様は?
iPhone6、いよいよ登場しそうです。噂によると、新たなスクリーンサイズが二種類、解像度も変わるようです。みなさんのデジタルアセットは、準備できていますか?
今回だけでは終わりません。新たなデバイスの登場、例えばiWatchやGoogle Glass、デジタルビルボードについてはどうでしょう?自社の公開している画像や動画は、リリース日にきちんと見えるでしょうか?新しいスクリーンサイズの仕様が発表されてから、コンテンツの準備が整うまでは、どれくらいかかるでしょう?そうやって準備するために、何をどうしたらよいでしょうか?
重要な分岐点です。もし新デバイスへの準備ができていないとしたら、みなさんのコンテンツは欠けてしまったり、予期しない見え方になってしまいます。
もしコンテンツの解像度が十分でなかったり、スクリーンの画角と異なっていたら、見た感じがぼやけてしまって、見込み顧客に与えようとしていたせかっくのブランドインパクトが台無しになってしまうでしょう。今回のように新デバイスが登場するたび、同じような懸念や課題を抱えていてよいのでしょうか?
そこでみなさんはこう考えるかもしれません。「もう自社サイトはレスポンシブデザインになっている」あるいは「モバイル自動対応になっているから、もう準備は十分だ」と。
しかし、ことはそれほど単純ではありません。デジタル画像や動画については依然として、ディスプレイ固有のサイズや解像度に合わせて再調整しなければならないからです。
これはすなわち、みなさんのサイトの応答性が問われている訳です。
多くのサイトでは、モバイルデバイスからでも大きなサイズのままの画像をダウンロードしなければならず、表示サイズの調整をCSS(Cascading Style Sheets)に頼っていることでしょう。これはつまり、モバイルデバイスの処理能力に頼り、表示の調整をモバイルデバイス側にやらせているだけです。そして、顧客の使っているモバイルのネットワークの帯域幅が狭ければ、例えレスポンシブサイトだとしても、モバイルサイトが重たくて遅い、というエクスペリエンスになってしまうのです。
重くなっていくモバイルサイト
例えば、最近のレポートで引用されていた、ラドウェア社(Radware)のベンチマークによると(訳注:Alexa.comのランクしているトップ500サイトが調査対象)、Webページ表示の中央値は9.3秒で、過去12ヵ月に21%ものサイトでパフォーマンスが低下しているとのことです(出典:「CDNs Extend To Web Performance Optimization And End-To-End Cloud Services」Forrester Research, Inc., 2014年7月31日)。このパフォーマンス低下の原因は、不適切なサイズのコンテンツが使われているためでしょう。
ページパフォーマンスは、サイト上でのコンバージョンに直接影響します。みなさんの会社のWebサイトでも、顧客を待たせてしまっていませんか?
とあるマーケターなら、こうしたことを気にしません。それは誰かと言うと、優れたリッチメディア配信テクノロジーを使っており、配信先に適合したメディアを配信している場合です。
ダイナミックメディアとは、あらかじめ制作しておくのではなく、必要に応じてオンデマンドで生成し、デバイスに適した形で提供するものです。これを実現するダイナミックメディア配信システムとしてはAdobe Experience Manager Assets(に含まれるAdobe Scene7)などがありますが、こうしたシステムは、レスポンシブなページのブレークポイントを検出し、オンデマンドで適切なサイズに画像などのメディアを用意し、を配信します。こうすることで、事前にかかる製作時間や製作コストを抑えることができます。なぜなら、適正サイズのメディアのバリエーションを制作しておく必要がないからです。
以下の例は、AudiのWebサイトです。あらゆるケースにおける自動車の画像は、単一のマスターを基にして、配信先デバイスへのダウンロードが起こる直前に適正サイズのものを動的に生成し、配信されています。
https://blogs.adobe.com/adobemarketingcloudjapan/files/2014/09/fig04_audi-e1409262595338.png
同様のインテリジェントなシステムによって、動画プレーヤーの自動サイズ変更、複数フォーマットへの動画エンコードを自動化することもできます。既知のあらゆるコーデック、ファイル形式、スクリーンサイズに対応することもできます。iPhoneと言えどもたいした違いではなく、こうしたシステムならば、新しいデバイスを認識したらすぐ、自動的に対応することでしょう。
こうしたテクノロジーを利用しているマーケターか行なうべきことと言えば、新しいデバイスがリリースされたらそのスペックを把握し、おそらくわずかな調整を施すくらいです。
新デバイスに対応するための作業を挙げると、リッチメディア体験の計画、管理、最適化の3ステップに分けられます。
計画
ダイナミックなリッチメディアのベストプラクティスとしては、一回だけ、高解像度のマスターをひとつ設計し制作することです。その後、ダイナミックメディア配信システムが別サイズなどの必要な変更処理を行うので、コンテンツは、まだこの世に存在しないデバイスも含め、どんなデバイスにも対応することになります。計画の中で考慮すべきことは、トレンドを掴むこと、新たな画角のデバイスにより顧客行動がどのように変わるかを知ること、あるべきエクスペリエンスの姿を見極めること、です。多様なデバイスへの対応は、マスターコンテンツを適切な形で配信してくれるテクノロジーに任せ、みなさんはこうしたより戦略的な問題に注力するだけでよくなります。
管理
スクリーンサイズの異なるデバイスでコンテンツがどのように見えるのかをまとめた「レシピ」を用意すると、対応しやすくなります。これによって、切り取り、明瞭化、テンプレート、色効果、動画エンコーディングプロファイルといったコントロールがしやすくなるでしょう。さらに重要なこととして、ブレークポイントに基づく自動サイズ調整とメディア配信が、あらゆるデバイスにも適用できる、という点です。新デバイスがリリースされたら、こうしたレシピの一つに手を加えるか、新しいレシピを作ることになります。このちょっとした作業を、あらゆるデバイス、メディア向けに適用します。こうすれば、どんな新しいデバイスに対しても、わずかな調整だけで、コンテンツがきちんと見える状態を保つことができるのです。
最適化
優れたリッチメディア配信ソリューションならば、アナリティクスと連携することができるでしょう。アナリティクスとの組み合わせにより、コンテンツ閲覧状況の計測、テスト、コンテンツ改善に役立てることができます。いくら事前に努力したとしても、実践に失敗は付き物です。もしかしたら、新しい大型化したスクリーンでは、例えば動画の平均閲覧時間が伸びるなど、ユーザーの行動も違ったものになるかもしれません。そんなときは例えば、タブレット向けに展開している動画とでA/Bテストをする、という手が考えられます。きちんと分析することで、数字と言う確固たる根拠に基づいて、すばやく、問題を解決しやすくしたり、見逃していた機会を掴むことができるでしょう。
その次に来る新しいスクリーンは何でしょう?もっと大きく?小さく?丸くなるかも?あるいは球体投影、3Dかもしれません。適切なテクノロジーがあれば、次にどのような新しいチャネルが登場したとしても、それに対してすばやく対応し、最適なエクスペリエンスを効果的に提供することができるでしょう。
Vebeka Guess
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