Adobe Creative Cloud 映像制作ツール ユーザー事例 – 株式会社ラムダシステムズ

ラムダシステムズにてAdobe Creative Cloudエンタープライズ版を導入 同社のテロップシステムと合わせてテレビ局へ提案

近頃のテレビ番組を観て感じることは、 テレビ番組にテロップがますます不可欠な存在になっているということだ。バラエティ番組では演出としても使われているし、報道番組や情報番組でもテロップ を積極的に使って視聴者の注目を集めようとしている。そんなテロップを活かした番組制作の現場の中でも、生放送の情報番組や報道番組のテロップを支えてい るのがラムダシステムズの電子テロップシステムだ。放送局でのテロップの発注作業から、CG室での入力や作画作業、副調整室で送出作業などテロップに関す る一連の作業に対応したシステムを提供しており、渋谷のNHK放送センターや全国のNHKをはじめ数多くのテレビ局で導入されている。

そして同社のテロップシステムは、アドビのCreative Cloud エンタープライズ版と組み合わせて各テレビ局へ提案に提案されているところも注目だろう。

テレビ局の現場ではどのようにアドビのツールが使わ れていて、なぜCreative Cloud エンタープライズ版が選ばれているのか? 同社の営業本部 営業部 名古屋支部 支社長代理 坂木勇治氏とクリエイティブサービス本部 副本部長 齋藤功武氏に話を聞いてみた。

https://blog.adobe.com/media_c902d62dde5103f63523423c19e613d4b669756a.gif

クリエイティブサービス本部 副本部長 斎藤功武 氏(左)、営業本部 営業部 名古屋支社 支社長代理 坂木勇治 氏(右)

業界初の電子テロップシステムを実現

まずラムダシステムズの紹介から聞いてみた。そこで、電子テロップのパイオニアと言われる理由を齋藤氏が紹介した。

テロップが電子化される前までというのは、写植を焼 き付けた印画紙をカメラで撮影して映像に取り込む装置を使うことで文字を入れていた。ラムダシステムズは、その手間のかかる紙焼きテロップの作業を業界で 初めて電子化をしたメーカーとのことだ。電子テロップの登場は、紙焼きの作成や撮影など時間のかかる作業を削減し、されにテロップの表現力を向上させるこ とができるようになるなど、センセーショナルな出来事だったという。

また、ソフトとハードの企画・設計から開発・保守ま ですべてを自社で実現しているところも強みだという。同様の製品では、ハードウェアとして海外製のボードを採用するのが一般的だが、ラムダシステムズは ファームウェアといったところまですべて自社で設計している。自社の対応が即可能で、サポートの面でも評価されているとのことだ。

さらに2014年から無料試験放送がスタートをした 4Kの放送でも、ラムダシステムズがテロップ業界をリードしているということだ。スカパーJSATが行った次世代放送推進フォーラムの4K試験放送にラム ダシステムズの4KテロップシステムのGRID-ZEROが2台採用され、スカパーJSATが4K 専門チャンネル開設に合わせてラムダシステムズの4Kテロップシステムを4式導入することが決定したという。

4KテロップシステムのGRID-ZERO

4KテロップシステムのGRID-ZERO。次世代放送推進フォーラムの4K放送検証実験環境にも採用され、チャンネル4Kの送出マスターなどに導入されたという

アドビのツールと連携して、高いデザイン性を実現

ラムダシステムズでは、「Neo・n」や「スポーツコーダ・システム」などいくつかのテロップシステムをリリース中だが、その中から汎用的なNeo・nについて説明をして頂いた。

Neo・nは、大まかにいうとテロップを一枚ずつ作 成して、順番に並べて、送出といった作業を行うものだという。その中からテロップの制作の機能に注目をすると、「シーンエディタ」という素材編集ツールが 搭載されていて、簡単な図形を作ったり、エフェクトが指定できたりすることができるようになっている。特に素材編集ツールはPhotoshopや Illustratorで作成した画像を読み込みに対応しているところが特徴で、アドビのツールで作成したデザイン性に優れたテロップを送出できるように なっている。

さらに、動きのあるアニメーションを作りたいといっ た場合でもテロッパーの中で3Dのテロップを作ることも可能なのだが、After Effectsで作成したコンポジションやフッテージをAfter Effects上でラムダ形式アニメーションファイルに変換して出力する「After Effectsプラグイン」(ラムダシステムズ開発)を使って、簡単にAfter Effectsで作った動きのアニメーションをもっていけるようになっている。また、Premiere Pro対応のプラグインも計画されているという。

坂木氏によると、Neo・nとアドビのツールとの連 携はPhotoshopやIllustratorの初期バージョンの頃から実現をしている機能で、それこそ「アドビのツールがフロッピーディスクで提供さ れていた頃から実現していました」とのことだ。テレビ局の美術の現場はデジタル化がかなりの初期から浸透していて、外部から素材をもらうにしても、かなり 昔から「Photoshop形式」とか「Illustrator形式」が利用されていた。そこで、ラムダシステムズでもいち早くからアドビのツールとの連 携を実現して、自社のテロップシステムにPhotoshopやIllustrator、After Effectsの3製品を組み合わせて各テレビ局へ提案を行ってきたとのことだ。

テロップ編集ツール「シーンエディタ5」

画面はテロップ編集ツール「シーンエディタ5」。Photoshopで作成したpsd形式の読み込みに対応している

ネットに接続できない問題を、Creative Cloudエンタープライズ版で解決

しかし、アドビのツールが2013年に Creative SuiteからCreative Cloudに移行すると、組み合わせて納品できないという問題に直面したという。Creative Cloudは、インターネットに接続してライセンス認証を必要とするツールだが、放送局内の環境はインターネットには接続されていないクローズドな環境だ からだ。放送局の機材はパソコンではあるが、放送機器なのでインターネットにつなげるというのはまずありえないというのが業界の一般的な認識だ。そのため に、ラムダシステムズは、Creative Cloudがリリースされてからアドビの最新版のツールと組み合わせて提案できない状態がつづいていたという。そこでこの問題を解決したのが、 Creative Cloud エンタープライズ版だ。

エンタープライズ版というのは、企業にニーズに合わ せて特約をつけられるバージョンのことだ。エンタープライズ版であれば、インターネットに接続できない環境での利用や、Creative Cloudで提供される20以上のアプリケーションの中から映像製品に関連するものだけに限定するといった契約の内容を交渉で決定することが可能だ。ラム ダシステムズの場合は、インターネットでの認証を必要としない特別版を同社テロップシステムと共に販売が可能となった特別条件で契約締結して、引き続き各 テレビ局へ提案を行っているということだ。

「特定のWebサイトに限定してアクセスできるよう にネットワークを構築してCreative Cloudを使えるようにする方法というのもあります。しかし、その設備のために余計な費用がかかってしまいます。そういった構築の費用を支払うよりは、 エンタープライズ版のネットにつなげなくていいものを選んだほうがユーザーとしてはありがたいですね」とエンタープライズ版を導入した感想を齋藤氏がこう 語った。

テレビ放送のハイビジョン化当初から年月も経ち、当時のシステム更新の時期も到来していることから、ラムダシステムズでは今回の特別提供プログラムを活用してテレビ局への提案を進めていくとのことだ。