Adobe Summit 2015 3日目
アドビが主催する世界最大のデジタルマーケティングイベント「Adobe Summit」は、最終日となる米国時間3月12日を迎え、閉幕しました。名残惜しさを残しつつ週末に向かう高揚感をかもしだすソルトレイクシティから、現地でこそ体験できる会場の様々な表情のごく一端をお伝えします。この記事を読まれたみなさまが、来年もAdobe Summitにリピーターとして、あるいは新たなコミュニティの一員として、ご参加されることを願っております。
未来に触れる二日間、今を先へとつなげる最終日
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このブログでご紹介したAdobe Summit 1日目はテクノロジーの未来、2日目はマーケターの皆さんの未来を想起させるジェネラルセッションが軸となり、話題の中心となりました。それらを受けた3日目の目的は、いわば、そうした未来を見据えた上で、今という瞬間をどのように捉え、すぐ目の前から手の届く未来まで、少し先のこれからを見据えた、具体的なセッションが目白押しの日になったものと思います。
Adobe Summitの主要日程が2日間から3日間へと拡張されたのは昨年でしたが、今年もそれを継承しています。今日の午前は、題して『Industry Super Sesions』と呼ばれている、業種別の具体的なストーリーを共有するセッションにより、貴重な機会が展開されました。
あらゆる業界で盛り上がりをみせるマーケティング
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1日目、2日目のジェネラルセッションで繰り返し問いかけられたのは、「マーケティングとは何か」「それは企業にとってどのように位置づけられるべきものか」というものでした。その答えは業種ごと、業態ごと、マクロな事業環境からミクロな業務課題に至るまで、様々な要因によって異なるはずです。その点では「業界」という括りすら大きいかもしれません。一方で、ビジネスモデル上の重要事項から、人々の集う共同体としての企業の課題まで、それぞれの会社に通じるものも、何かしらあるのではないでしょうか。
実のところ私は、この大規模なイベントの中のとあるミッションのために参加できなかったのですが、主催者となるアドビ本社の開催情報をもとに、どのようなセッションが行われたのかだけ、簡単にご紹介します。
テクノロジー業界/B2B
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モノづくりを得意としてきた日本に比べると、米国は事業の中核とする「製造業」の勢いが低下している感は否めませんが、その代わりに、シリコンバレーに代表されるハイテク産業などのテクノロジー業界に強みがあると言われています。実際、ハイテク業界のダイナミクスには驚かされることも多いのではないでしょうか。特にテクノロジー業界の特長は、物理的に手に取ることのできないものが商品となっており、商品の価値訴求に労力が求められること、取引先も個人と法人、つまりB2CとB2Bビジネスが混在している、ということが挙げられます。テクノロジー業界では、長くなりがちな商談サイクルにわたって、継続的に商品の価値訴求を行っていく必要があります。
そうしたテクノロジー業界の参加者向けに用意されていたのが、次のセッションです。商品の価値訴求を行うための中核的な情報接点としての、テクノロジーサイトのあり方が議論されたものと思います。
SS1 – Got Data? Now add intelligent marketing to create a top performing technology site for consumers and for businesses
(データを取得したら?次にすべきは、消費者や取引先にとって最高のテクノロジーサイトにするための、インテリジェントなマーケティング)
小売業界
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消費者の日々の生活に密着しているのは、消費財などの小売業界でしょう。比較的「お気に入り」の商品の生まれやすく、顧客のブランドへの信頼感がすぐに購買へと繋がりやすく、一方で気まぐれな顧客の気持ちを繋ぎ止めなければいけないものの、露骨な売り込みやしつこい接客は敬遠されてしまうため、顧客との距離感が業績に直結する業界だと言えます。特に、消費者との接点が多様化し、消費者のデジタルチャネル接触度が高まる中で、大きな差別化の余地が隠されているのが、リアル店舗でのデジタル活用ではないでしょうか。
そうした小売業界の参加者には、次のセッションが用意されていました。実店舗に消費者を送客し、実店舗での体験を「買う気」に結びつける、未来の小売店の姿が提案されたようです。
SS2 – The stores of the future—leveraging digital in the store and online
(未来の店舗像 – 店舗内でのデジタルとオンラインを活用せよ)
金融業界
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同じ消費者を対象としつつも、目に見えない商品を扱い、また人々の一生にわたって継続的な取引関係を結び続けることの多いのが、金融業界の特性です。消費者との関係を深める上でデジタルチャネルの重要さが増しているのはどの業界とも共通ですが、口座を通じた密接な関係を保ちつつ顧客満足度を持続させる一方で、直観的に理解のしづらい説明商品を取り扱いつつ、取引の拡大や新規サービス契約獲得などにも目を配る必要があります。また、金融規制当局の枠組みと業務プロセスが密接に結びついているのも、金融業界の特長です。
そうした金融業界の参加者には、次のセッションが用意されていました。差別化の難しい業界にあって顧客満足の維持と取引高の拡大を図るうえで、業界特有のベストプラクティスが共有されたようです。
SS3 – The Journey to Digital Transformation in Financial Services: Choosing the right technology is JUST the beginning
(金融業界におけるデジタル変革の道のり:適切なテクノロジーの選択は始まりに過ぎない)
メディア業界
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商品やサービスを消費者や取引先に販売することで収益を上げる他の業界と異なり、価値あるコンテンツを消費者へ提供し、メディア運営を通じて広告収入や加入者収入を図っていくことを事業モデルの根幹としているのが、メディア業界です。直接的に目に触れるコンテンツ提供から直接収益があがるというよりは、間接的な施策を通じて利益を上げていく必要があるため、マネタイズの仕組みと効率性が競争力の源泉となる業界と言えるでしょう。
そうしたメディア業界の参加者には、次のセッションが用意されていました。マネタイズの源泉となるメディア接触者をいかに捕らえ、メディア運営の過程も収益化のプロセスも効率化していくかが、焦点となったことでしょう。
SS4 – Show me the money! Growing revenues and audiences through the digital transformation overtaking the media
(収益化せよ!これまでのメディアのあり方をデジタルで変革し、売上向上と視聴者獲得を図るには)
アドビのパートナーのショウケース
Adobe Summitに参加する価値は、セッションの聴講だけではありません。デジタルとリアルの融合がマーケティングの課題となっているように、リアルな出会いの場も、ビジネスの課題を打ち破るヒントとなりえます。そしてそれは、1:1の関係性だけでなく、1:nの関係性のほうが有利に働くことは、言うまでもありません。
アドビはその重要性も強く認識しており、アドビ単独の力だけでなく、テクノロジーパートナーやビジネスパートナーの力も合わせ、コミュニティの力として企業のマーケターの皆様を支援することが、皆様の成功の近道だと考えています。
そうしたアドビのパートナーが一堂に会するのが、Community Pavilionです。ダイヤモンドスポンサーのアクセンチュア インタラクティブ(Accenture Interactive)様、デロイト デジタル(Deloitte Digital)様、サピエント ニトロ(Sapient Nitro)様をはじめとする、非常に多くのアドビのパートナー様が展示ブースを構え、ソリューションの紹介やデモなどを実施していました。
アドビのソリューションも実体験
またあわせて、8つに増えたAdobe Marketing Cloudのそれぞれのソリューションのデモや、その活用例を紹介するブースも併設されていました。ジェネラルセッションに登場したAdobe Experience Manager Screensの体験コーナーや、Adobe Analyticsを応用したリアルタイムダッシュボード、Adobe Socialを応用したダッシュボード、電子メールマーケティングのエキスパートとの相談コーナー、アドビのオウンドメディアCMO.com協賛ブースなど、じっくりとAdobe Marketing Cloudの幅や奥行きを体感することができました。
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来年もデジタルマーケティングの最先端を
Adobe Summitの本編はこの3日目で閉幕し、4日目は恒例のオプション参加イベント、ユタ州の誇るキャニオンリゾートでのスキーデイが続きます。また日本から参加のお客様には、特別なツアーも用意されています。
短くて長い一週間を終えた後は、日常業務が待っていますが、その先には、デジタルマーケティングの未来もあります。まだAdobe Summitに参加されたことのない方は、ぜひ来年の参加をご検討頂ければと思います。皆さんのビジネスのあり方を変える出会いや気付きが、きっと見つかるはずです。
参考情報: