企業のコストだけでなく、天然資源にも大きな負荷を与える「紙の無駄」を削減するには #AdobeDC
※以下の文章は米国時間 2015年3月16日に米国で公開されたブログ「“Please print responsibly.”」の抄訳版です。
「Please print responsibly(責任を持って印刷してください)」。これは、多くの人が長年メールの署名に加えていた文言です。しかし、最近のIDCの調査によると、米国に拠点を置く企業の80%超がいまだに紙に署名しています。
Adobe Document Cloudの発表で、シニアバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーであるケビン リンチは(Kevin Lynch)は、いたるところで見受けられる電子化されていない文書プロセスは、業績や生産性の足かせになっていると述べています。これには私もまったく同感ですが、アドビのサステナビリティ(持続可能性)戦略担当として、紙のワークフローは天然資源に対しても非常に大きな負担を与えているということを付け加えなければなりません。
アドビは自社の持続的な経営という点で確かな実績があります。製品や職場環境についても同様のことが当てはまります。これまでのAcrobatのパッケージを覚えていますか?Adobe Document Cloudをデジタルで提供することで、少なくとも91%の環境フットプリント[i](地球の環境容量をあらわす指標)を削減しました。パッケージ型のソフトからの移行に苦労している方は、Adobe Document Cloudがより効率的かつ安全で、パッケージ製品よりもはるかに資源の節約になることを理解することは非常に重要です。
Adobe Document Cloudは、単なる製品の提供方法ではなく、従業員や企業の資源消費、無駄、コストを削減できる方法なのです。
潜在的環境機会の分析
2014年にPDFファイル閲覧のためにAdobe Readerが開かれた回数は、控えめに見積もっても40億回を超えると推定しています。環境への影響を理解するために、これらのPDFがすべて印刷されていたとしましょう。その場合、以下の資源を消費していたことになります。
- 20億ポンド(約9億キログロム)の紙
- 1,700万本の木
- 114億ガロン(約431億リットル)の水
- イギリス・ケンブリッジの規模の都市をまかなう1年間分の電力[ii]
文書の作成、編集、署名、安全な保管、管理をデジタルで行うことは、環境保全の大きな機会となることは明らかです。
シームレスかつデジタルなワークフローに向けた現実的な一歩
アドビの製品管理担当バイスプレジデントであるジョン・ペレラ(Jon Perera)は、ブログ記事「アドビのPDFラインナップを刷新」において、「2015年になってもいまだに、企業が重要書類に署名をもらう際、FAX、紙、ビジネス宅配便を使っているのはおかしなことです。当社の調査によると、北米で締結される契約の98%は依然として紙で取り交わされています」と述べています。
これは本当におかしなことです。なぜこうした状況になっているのでしょうか。妥当な理由として、ツールを簡単に使用できないことや、日常のワークフローにツールをシームレスに統合できないことが挙げられます。しかし、Adobe Document Cloud eSign(旧Adobe EchoSign)サービスのみで顧客向けにすでに行っていることに目を向けると、環境への影響を軽減する潜在性があるのは明らかです。
2014年に、紙のワークフローに代わってアドビのe-signサービスを使用された顧客は、推定で以下の節約を達成しています。
- 8,900万ガロン(約3億3,600万リットル)超の水
- 3,100万ポンド(約1,400万キログラム)の木
- 13万1,750本の木
- 4,250万ドルの用紙/印刷コスト[iii]
- 約8,000トンの用紙
- 750万ポンド(約340万キログラム)の廃棄物
ここで、すべての組織がAdobe Document Cloudを使用したらどれほどの環境上のメリットがあるかを考えてみましょう。ビジネス面でどれだけ節約できるかについては、Adobe GreenMeterをご確認ください。
真剣な話、文書について考えるならば、現代という時代は以前にも増して紙の無駄を削減できる時代になっています。組織の規模にかかわらず、コスト削減を目指し、大量の用紙、インクカートリッジ、プリンター、ファイルキャビネット、リサイクル箱が不要になることを望んでいるのであれば、Adobe Document Cloudが役立ちます。
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[i] 方法論:非サーバーベースのソフトウェアからサーバーベースのソフトウェアへの移行によるフットプリントの節約の予測において、ローレンス・バークレー国立研究所とノースウェスタン大学によって開発された一般のCloud Energy and Emissions Research(CLEER)モデルおよび「クラウドベースのソフトウェアのエネルギー効率(The Energy Efficiency of cloud-based software)」に記載されている調査を用いました。エンドユーザが使用するクライアント(ワークステーション、ラップトップ、タブレット、スマートフォン)に応じて、以下のように推定しています。
- 非サーバーベースのソフトウェアに移行した場合の用紙:70%超の削減
- 非サーバーベースからサーバーベース(クラウド)に移行:平均で87%以上の削減
- クラウドに移行した場合の用紙累積:炭素排出の91%超の削減につながる可能性
[ii] Adobe GreenMeterでは、文書は、5ページの契約書5部、または1PDF当たり5ページとして計算しています。出典:計算はpapercalculator.org v 3.2に基づいています。Paper Calculatorは環境防衛基金によって開発/運用されたもので、現在はEnvironmental Paper Networkが所有しています。相当量は、米国環境保護庁の「Greenhouse Gas Equivalencies Calculator」に準拠しています。
[iii] 1ページの印刷コストは、TechAdvisoryの0.03~0.06ドル(インク、用紙、プリンターなどによる)に基づいています。
https://blogs.adobe.com/documentcloudjapan/files/2015/04/1884.jpg
アドビ グローバル サステナビリティ ストラテジスト
Vince Digneo