複雑な業務を簡単に。これからのビジネスに必要とされるアナリティクスの有り方

パソコン、インターネット、モバイルデバイスの歴史にも見られるように、時代を動かす革新的な技術と言うものは始め高度なもので、誰もが直ぐに利用することができるものではありませんでした。新技術が提供するメリットを享受できるのは、一部の特別な知識を持った人に限られていました。このような技術も、そのメリットがより多くの人に理解され、技術革新を重ねることで大衆に広がり、やがては誰もが手にし利用するものになっていくのです。アナリティクスの技術も同じような発展を遂げ、今まさにより多くの人の手に届く、過渡期を迎えていると言えます。

アナリティクスの世界でかつては、貢献度などの高度な分析は統計学やプログラミングの知識を持つデータサイエンティストの物でした。しかしながら、ビジネスに必要とされているアナリティクスの基準が上がるにつれて、一般のマーケターでも高度な分析を必要とされる時代になってきています。アドビでは、このようなビジネスとマーケターのニーズを受けて、誰でも高度な分析をこなすことができるための機能の開発を続けています。

本記事では、今年のAdobe Summitで発表されたマーケターのためのAdobe Analytics 「貢献度分析」機能について、Adobe Analytics シニアプロダクトマネージャー John Batesの翻訳記事を持ってお届けします。

※以下はUS Digital Marketing Blog「Contribution Analysis Turns Days and Weeks into Seconds and Minutes」の翻訳です。

分析業務を劇的に効率化する「貢献度分析」

今年もAdobe Summitの時期を迎え、皆様にまたAdobe Analyticsのエキサイティングな新機能をお伝えすることができるようになりました。今回発表する機能の話しをするにあたって、まずは、1年前に発表した異常値出機能について振り返ってみたいと思います。異常値検出機能は、膨大で雑多なデータの中からそのデータの傾向が示す、顧客のインサイトや環境の変化を「異常値」と言う形で発見する機能です。それはまるで、砂場の中から一粒の宝石の原石を見つけ出すようなことを、利用者に代わって行ってくれる機能です。一度異常値が検出されたら、次に取るべきアクションはその原因の解明です。「どうして利益が30%減少したのか?」「どうして、昨日に動画閲覧完了率の急激な減少が起きたのか?」などと。

異常値はマーケターの悩みの種

こんな日常的なオフィスの風景を想像してみてください。とあるオフィスに、とあるキャンペーンを担当するマーケターがいます。そのマーケターは、キャンペーンの運用と共にそれに関わる効果測定とデータの分析も業務としてこなしています。そこへそのマーケターの上司が通りかかり「どう?全て順調に進んでいる?」と声をかけます。これは気軽な質問のようで、実はとても油断ができない質問なのです。この質問対してそのマーケターは、Webサイトの訪問数、訪問者数、離脱率、コンバージョン率、利益などの何十、時には何百にも及ぶ指標から成る、何百万、何千万ものデータの記録を解析にかける必要があります。次に解析の結果を分析し、全てが想定通りの物かを確認する必要があります。もし、想定の数値に95%以上の信頼レベルで合致をしていない物が一つでもあれば、そのマーケターは不運なことに異常値を発見したことになります。

最終的に膨大なデータの分析が完了し、発見された異常値の数が僅かな物であったとしても、次に来る質問は明白です。マーケターの上司は「この原因は何?」と新たな質問を投げかけてきます。そうなると、このマーケターにとっては緊急事態となります。早急に上司に回答を提出しなくてはなりません。

人材市場においてデータサイエンティストは供給不足

誤解を恐れずに言うと、データサイエンティストとは根っからの「ハッカー」であると言えます。彼ら、彼女らは、自らコードを書き、データにクエリーをかけ、静的な分析やテスト、アルゴリズムによる自動分析を実施し、ビジネスの課題を発見したり、時には自身が行った複雑怪奇な分析の結果を誰の目から見ても簡単に理解できるようなチャートに意図も簡単に変換をしてしまうのです。腕のあるデータサイエンティストが分析をすると、それまで難題のように見えていた課題も簡単なもののように見え、その後に取るべきアクションも明確になります。

マーケターは、複雑で難解な分析をこのようなデータサイエンティストに任せられると一番良いのですが、残念なことに優秀なデータサイエンティストを人材市場から探すとなると、それはもはや天然記念物のツチノコを探すのと同じくらい難しいことになります。また、基本的な経済の法則から考えると、市場に大きな需要があり供給が少ないものの価格は高騰するものです。だからマーケターの上司は、様々な疑問に対する答えをマーケター自身に求めるのです。

Adobe Analytics「貢献度分析」は、マーケターのお抱えデータサイエンティスト

データサイエンティストの不足と彼ら、彼女らの賃金価格の高騰により、今のマーケターにはデータサイエンティストが行うような分析と同じようなアウトプットを部分的に求められています。Adobeはこのギャップを埋めるために、Adobe Analytics「貢献度分析」機能を発表しました。

貢献度分析は、マーケターに複雑な統計モデル、回帰アルゴリズム、その他の統計学に関わる特別な知識を要することなく、データが示す結果と原因の因果関係を明確にし、上司や会社にいち早くビジネスの状況を報告する業務を強力にサポートします。貢献度分析があればデータサイエンティストがもう必要ないかと言うとそうではありませんが、データサイエンティストが行う様々な業務をマーケターが自身で行えるようになります。

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では、具体的な操作方法について見て行きましょう。貢献度分析は、Adobe Analyticsの異常値検出からアクセスすることができます。まずは、異常値検出のトレンドレポートの中から、原因を追究したい異常値を1つ選択します。そしてトレンドレポートの中央、上部にある「分析」ボタンを選択します。

これで貢献度分析は開始され、全てのコンバージョン、Prop(Adobe Analyticsの指標)を含むトラフィック、既存の変数、Saint(こちらも、Adobe Analyticsの指標)とモバイル、動画、Adobe Social、Adobe Targetから収集された顧客属性にクエリーをかけ、統計的に分析されます。高度な統計学と自己学習のアルゴリズムにより、データに内在する貢献要因を数秒から、コーヒーを取りに行っている数分の間に発見することが可能で、これまでのように専門家に何週間、何ヶ月もかけて作業をして貰う必要はありません。分析結果は視覚的にも分かり易く表現され、データとデータの因果関係、そこから語れるストーリーが、自ずと見えてくるでしょう。

私の実体験で、一昔前にお客様に4億ドルの新たな機会を創出する分析結果を提示することが合ったのですが、その時は実際に6週間の時間を要しました。貢献度分析は、一般のマーケターを優秀なデータサイエンティストに変え、企業のビッグデータ活用を最大化することで変革をもたらします。いちマーケターに至っては、上司に必要な情報を提出しながら、家族や恋人とゆっくり時間を過ごせる時間に帰宅できるようにしてくれる、手助けをしてくれます。

貢献度分析では、何百ものレポートに目を通すこと無く、異常値と因果関係がある要素を視覚的に分り易く導き出す事ができます。これを実現するのが、階層構造のレポートや散布図です。(以下図を参照)

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その他にも異常値を分析するための様々な機能が数多く用意されています。例えば異常値に関連する訪問者やその訪問が起こるタイミングについての分析する時には、アルゴリズムにより自動的に貢献度が高いセグメントの上位を表示する機能が備わっています。これは、Adobe Analyticsの既存のセグメントではなく、貢献度分析によって新たに発見されたもので、「セグメントを作成」すると言う操作を行うことでAdobe Analyticsに保存し、Adobe Marketing Cloudの全ソリューションで活用することができます。これにより、マーケティング施策に活用するための新たなオーディエンスセグメントの発見に大いに貢献することでしょう。

Adobe Analytics 貢献度分析のメリット トップ5

「マーケターのお抱えデータサイエンティスト」が届けるベネフィット

これらの機能を活用することで、まるでデータサイエンティストを操るように、高度な分析を実行することができます。

貢献度分析は、数週間後にAdobe Analytics Premiumで提供を開始予定です。(追記:現在は、提供開始済みです)

あなたは今、データサイエンティストのように高度な分析をすることを、強いられていますか?そうだとするならば、今使っているツールで満足行く結果を出せますか?それとも、Adobe Analyticsの貢献度分析を選びますか?

前田 龍 アドビ システムズ株式会社 マーケティング本部 プロダクト マーケティング マネージャー

アジア最大級の観光産業国の政府観光局、大手インターネット セキュリティ ソフト メーカーでデジタル マーケティング担当、プロダクト マーケティング マネージャを経て、2013年よりアドビ システムズに入社。同社では、Adobe Marketing Cloud製品のプロダクト マーケティングを担当。