デジタル変革を加速させるビジネスケースを作成するには?

みなさんの組織では、戦略的活動の合意形成と意思決定を図るには、どのような進め方をされているでしょうか。

対外的な事業を企画する際には「事業計画書」が作られるように、社内的な変革を企画する際には「業務改善企画書」「プロジェクト企画書」のような文書をまとめ、目標、方法、想定されるコストと効果などを試算し、経営陣の稟議に乗せる、ということが行われているかと思います。

あらゆる組織変革や業務改革と同様に、本格的なデジタルマーケティングに向けて組織を変革する「デジタル変革」にも、合意形成と意思決定は欠かせません。

企画書のことを欧米では「ビジネスケース(business case)」と呼びますが、日本でも欧米でも、変革を進める上で欠かせないのが、これから取り組もうとしている戦略的活動を明確にすることです。

では、経営陣の合意を得られるビジネスケースを作るには、どうしたらよいでしょうか?
この企業のマーケターの悩みに答える部門がアドビにはあります。バリュー エンジニアリング チーム (Value Engineering Team) を統括している、Anurag Goelのブログ記事を翻訳でご紹介します。

※以下はDigital Marketing Blog Asia Pacific 「Building a Compelling Business Case for Digital Transformation」の翻訳です。

デジタル変革成功企業の秘訣

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CMO Council とアドビが APAC Digital Directions Report 2015 の一環としてデジタル化に関する調査を実施したところ、 デジタル改革の展開でもっとも成功している組織には、一つの共通点が見つかりました。それは、デジタル戦略を展開する際に、エグゼクティブの同意と投資予算が確保できていたことです。

上述の報告書 (Report) で言及されているとおり、アジア太平洋地域のマーケターの39%は「デジタル キャンペーンを実施するに際し、最大の課題はデジタル化のビジネスケースを構築し、主張することである」と回答しています。

またデジタルマーケティングへの投資に必要な予算を見極める際に、総合的にニーズを検証し、原資確保のためのビジネスケースを提示しているマーケターは、わずか 47% にすぎませんでした。

ビジネスケースを用いる少数のマーケターが、CxO もうなずく説得力あるビジネスケースを構築できる秘訣は何でしょうか?

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1. 目標と KBR (主要ビジネス要件) : 成功の測定基準は?

説得力のあるビジネスケースを構築するには、まず、土台を作ることです。ご自身のデジタル マーケティング プロジェクトのビジョンが、いかに組織のビジネス上の目標達成に寄与するかを詳述します。これにより、プロジェクトに関して組織内での同意を得やすくなります。

デジタルのプロジェクトに、ビジネスの実績に紐づいた複数のKPI (重要業績評価指標) を設定することも、成功の基盤となります。戦術的なキャンペーン主体のKPIではなく、ビジネスの成果に直結するKPIであれば、デジタル チームの内外で、プロジェクト成功の測定基準に関する共通の理解が成立するからです。

2. 課題と効果: 改善の範囲は?

上記ステップ 1 で特定した KPI の、現状のスコアを評価することにより、プロジェクトの成果を測る基準値を定義します。これにより、デジタル プロジェクトの進捗状況に応じて、実現したビジネス上の価値はどの程度得られたのかを、組織内に提示することが可能になります。したがって、ビジネス目標の達成が可能となり、ご自身への組織内での評価も高まります。

ベンチマーキング手法を用いて、ご自身のスコアを、業界他社のマーケターの実績と比較することも有効です。改善すべき領域を明らかにするとともに、業界最高水準の効果と比較し、実現可能な改善の範囲の定義に役立ちます。改善領域をより深く掘り下げて、潜在的な課題を特定することもできます。

3. ベスト プラクティス: 改善のためにできることは?

ベスト プラクティスを特定することは、ステップ 2 の、改善余地のある領域に取り組む上で、また、業界最高水準の KPI との差を縮めるために、有用です。また、これを通じ、プロジェクトの効果の改善に要する戦術的なアクションも明らかになります。

ベスト プラクティスは、過去実績、独立調査機関及びアドビの豊富なデータベースから編成されています。当社のデータベースには、アドビのソリューションを用いて実現されベスト プラクティスを適用することにより、目に見えるビジネス上の成果を達成した業種別事例が数百件登録されています。必要な機能を、ロードマップを参照し、優先順位付けすることも、ビジネス上の価値実現までのリードタイム短縮につながります。

4. メリットと投資対効果 (ROI): 潜在的な、財務上の効果は?

ステップ 3 で特定したベスト プラクティスを適用することで実現できる複数のKPIの改善を、ステップ 2 で識別されたKPI の基準値に紐付けます。これは、潜在的な収益増加、コストの最適化といった、財務上の効果を、ご自身の組織内に提示する際に有用です。

ビジネスの業績改善のために要するライセンス、その導入などへの投資によるメリットを差し引けば、プロジェクトのROIを明確にすることに役立ちます。

KPI 改善とROI値に具体的な金額を紐付けることで、マーケターの皆さんは、「CxO のエグゼクティブに投資を仰ぐ提案を提示し、合意を得る」ために戦える武器を手に入れたも同然です。

上述のビジネス ケース構築、提示手法の採用をお手伝いできる、アドビの経験豊富な担当者にご連絡されたい、実際にCxO への提案に有効だった豊富なビジネス ケース構築主手法やツールをご活用になりたい場合、こちらをクリックして、アドビの Anurag Goel までご連絡ください(訳注:日本のスタッフにおつなぎします)。Anurag Goel は、日本およびアジア太平洋地域において、当社のお客様に各種Value Engineeringサービスを提供するバリュー エンジニアリング チーム (Value Engineering Team) を統括しています。

ご案内:アドビが日本で年に一度開催する、日本最大級のデジタルマーケティングのイベント「Adobe Digital Marketing Symposium」を、今年も予定しております。近日お知らせしますので、こちらもぜひご期待ください!

Anurag Goel

参考情報: