ベテランほど知らずに損してるPhotoshopの新常識(2)ズームとスクロール、ダークUI
ベテランほど知らずに損してるPhotoshopの新常識
今回は、作業中の基本ともいえる、ズームとスクロールを中心に、ダークUIの変更などを取り上げます。
まずは、チェックリストです。
- □ [ツール]パネルやオプションバー、パネルが暗くなってしまった。従来のように明るくしたい
- □ ズームツールの挙動が以前と変わってしまった。拡大したい箇所をドラッグしたいのだが…
- □ [手のひらツール]でドラッグすると滑るように画像が移動する。従来にように戻したい
ベテランの方には基本中の基本のことばかりだと思いますが、慣れているからこそ見逃しがちなポイントがあるかもしれません。“棚卸し”としてご一読ください。
スクラブズーム
Photoshop経験の長い方ほど戸惑うのが[ズームツール]の挙動の変更でしょう。
従来、[ズームツール]は、ドラッグした領域がウィンドウいっぱいになるようにズームインしていました。
最近のPhotoshop(正確にはCS5以降)では、[ズームツール]でドラッグすると、右方向で拡大、左方向で縮小します。これを「スクラブズーム」と呼びます。
https://blog.adobe.com/media_4ec28aeef06db63a9f70dc1161288519148ce271.gif慣れると便利ですが、体に染みついた操作を変更するのは、なかなかしんどいものです。従来の挙動に戻したい方は、次のように設定します。
- [ツール]パネルで[ズームツール]を選択する
- オプションバーの[スクラブズーム]のチェックをはずす
ムービーでもご確認ください。
アニメーションズーム
「アニメーションズーム」というオプションがデフォルトでオンになっています。
ズームツールを選択し、カンバス上でマウスボタンを押し続けると、マウスポインタの位置を中心に、だんだんとズームしていきます。optionキー(Altキー)を併用するとズームアウトします。
マウスボタンを押してから、実際のズームがはじまるまで若干のタイムラグがあるのが難点です。環境設定でオフにすることもできますが、実装されていることを気付かなかった方はオフにする必要はありません。
Illustrator CC 2015はアニメーションズームとスクラブズームを実装
なお、Illustratorは2015年6月リリースのCC 2015から、このスクラブズームとアニメーションズームを「アニメーションズーム」として実装しています(名称は「アニメーションズーム」ですが、スクラブズームの挙動もコントロールしています)。
これまで「Photoshopだけ挙動が異なるので…」と思っていた方は、スクラブズームに自分を慣らすタイミングかもしれません。
バードアイビュー
ズーム関連で「これは使わないともったいない!」と強く思うのが「バードアイビュー」です(Photoshop CS4から実装)。
拡大表示している表示箇所を移動させたいとき、いったん、画面全体を表示したいときがあります。
- 全体表示(command+0キー/Ctrl+0キー)
- 表示したい箇所をズーム
バードアイビューを使うと、この一連の作業をスムーズに行えます。
- Hキーを押したまま、カンバス上でマウスボタンをプレスする(=押し続ける)
- カンバスが全体表示に戻り、直前に表示していた領域が四角形で表示される
- 表示させたい箇所に四角形をドラッグして移動し、マウスボタンを離す
- Hキーを離す
https://blog.adobe.com/media_91f24871ad6b9435ecc63c9a80f921c1270fd677.gif
ことばに書き出すと、手順が増えてしまっているように見えますが、非常に軽快です。表示比率を保ったままで移動できるのもポイントです。作業効率に直結するナイスな機能です。
ことばの説明でピンと来ない方は、ムービーでご確認ください。
なお、バードアイビューは「鳥瞰図」のように訳されることがありますが、上空から鳥が見下ろすような視点で全体を俯瞰するといった意味ですね。
バネ仕掛けのツール切り替え
バードアイビューが秀逸なのは、Hキーを離すと直前のツールに戻る点です。これは「バネ仕掛け(spring-loaded)のツール切り替え」と呼ばれることがありますが、実は[手のひらツール]以外でも可能です。
たとえば、[ブラシツール]を使って描画中、Eキーを押している間だけ[消しゴムツール]に切り替える、といった使い方ができます。
https://blog.adobe.com/media_b140138641fad11d2a7bfbde515b56519abbddec.gif
[ズームツール]と[手のひらツール]への一時的な切り替え
ツールの切り替えを[ツール]パネルから行うのは、塵も積もれば…で作業時間の負担です。[ズームツール]や[手のひらツール]など、使用頻度の高いツールはキーボードショートカットを使って一時的に切り替える方法はお馴染みだと思います。
ツール
キーボードショートカット
[手のひらツール]
スペースバー
[ズームツール]
拡大(+)
command+スペース
縮小(ー)
command+option+スペース
ここ最近のMac OS Xでは、command+スペースが[前の入力ソースを選択]に割り当てられているため、この操作を行うと「入力ソースの切り替え」ウィンドウが出現してしまいます。
Mac OS Xのシステム環境設定を変更してしまうほか、[ズームツール]への一時的な切り替えには、次の方法も利用できます。
- option+スペースで[ズームツール]に切り替え、右方向にドラッグで拡大(スクラブズーム)
(Windows 環境では、作業中のウィンドウのショートカットメニューが開いてしまいます) - Zキーを押している間のみ、[ズームツール]を利用。
Zキーを離すと直前のツールに戻る(バネ仕掛けのツール切り替え)
フリックパン
画像を拡大しているとき[手のひらツール]でドラッグすると、ツルツルっと氷の上をスケートで滑るように画像が移動します。これを「フリックパン」と呼びます。
楽しげですが、余計な時間がかかる…と思われる方は、環境設定の[ツール]カテゴリ(Photoshop CC2014までは [環境設定]→[一般]カテゴリ)で[フリックパンを有効にする]オプションをオフにします。
ダークUI
PhotoshopとIllustratorはCS6、InDesignはCCから「ダークUI」と呼ばれる暗めのインターフェイスが採用されています。これは変更可能です。
「なんかカッコいい」「写真の見栄えがいい」など、これがお好みの方は問題ありませんが、たとえば、[角度補正]の左のボタン(ものさしのアイコン)のトグルなど、暗めのUIでは、ON/OFFが見分けつきにくいです。
変更したい場合には、次の手順で行います。
- [環境設定]ダイアログボックスを開き、[インターフェイス]カテゴリに切り替える
- [アピアランス]の[カラーテーマ]のアイコンをクリックする
IllustratorやInDesignでも同様に環境設定で変更しますが、Photoshopのみ、キーボードショートカットが用意されています。
イースターエッグ(トーストとコーヒーカップ)
最後に、仕事には、あまり役立たない情報をひとつ。
[環境設定]ダイアログボックスの[カラーテーマ]のアイコンにはイースターエッグ(隠し機能)が隠されています(Photoshop CS6/CC/CC 2014/CC 2015で有効です)。
Macの方はcommand+option+shiftキー、Windowsの方はCtrl=Alt+Shiftを押しながらクリックすると、トーストやコーヒーカップが表示されます。
Merlin
イースターエッグついでにご紹介すると、[レイヤー]パネルメニューの[パネルオプション]をoption+クリックすると現れるPhotoshopに棲み着いている「Merlin」は、CS6以降、いなくなってしまいました。
まとめ
- 最近のPhotoshopでの画面の暗さやズームやスクロールの挙動は環境設定で変更可能
- 拡大表示している表示箇所を移動させたいとき、いったん、画面全体を表示するには、バードアイビューが重宝する