ベテランほど知らずに損してるPhotoshopの新常識(4)まだスライスで消耗してるの?「画像アセットの生成」でスライス不要のサクサク切り出し

連載

ベテランほど知らずに損してるPhotoshopの新常識

Web制作で不可欠な画像の切り出し。Photoshopの「画像の切り出しにスライス」は2年前のちょうど今頃に終了、現在は「画像アセットの生成」を使うことでスライス作業から解放されています。

CC→CC 2014→CC 2015とバージョンアップに伴う変更点とともにご紹介します。「画像アセットの生成」をご存じの方は、復習がてら読んでいただければ幸いです。

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スライスの問題点

Web制作ではカンプと呼ばれる一枚絵を作成し、そこから必要なパーツを切り出すというワークフローが一般的です。

https://blog.adobe.com/media_d73deb6d5878b51b81ea1bb47e0b1cabf4bc0154.gif

その際、切り出す箇所を、次のいずれかの方法で「スライス」するのが従来のやり方でした。

後者の方法では、移動や大きさ変更に伴い自動的にスライス領域が拡張しますが、それでも、スライスには次のような制約がありました。

レイヤーの表示/非表示などをセットとして管理できる「レイヤーカンプ」を使って切り抜けている方もいると思いますが、何より、スライス作業は面倒!!!これに尽きます。

スライス作業を不要にする「画像アセットの生成」の基本フロー

「画像アセットの生成」を使うと、スライス作業だけでなく、重なりへの配慮が不要になる点がポイント高いです。実現する手順は非常にカンタン、次の2ステップだけです。

  1. 書き出したいレイヤー名に拡張子を付ける(例:catchcopy.png)
    https://blog.adobe.com/media_702836b518138da92d3934eaaf26dbdea32b072d.gif
  2. [ファイル]メニューの[生成]→[画像アセット]をクリック
    https://blog.adobe.com/media_0f2d2cb6f94a4e5ff08346e59079e07baf289f9a.gif

これだけで、PSDと同じ階層に「(PSD名)-assets」フォルダが自動生成され、「catchcopy.png」が自動的に書き出されます。レイヤーのコンテンツの色や効果、大きさ変更などを行うと、PSDの保存のタイミングで「catchcopy.png」は自動的に更新されます。

https://blog.adobe.com/media_7caca12fb2d950f4f618493557c13273aa562bf5.gif

このサンプルでは、キャッチコピーの背面に画像がありますが、書き出し時に隠したりする配慮が不要です。

https://blog.adobe.com/media_f1ade9f418cd292bcda9901111c56cb6a566d02f.gif

レイヤーグループを対象としたり、レイヤーグループ内の特定のレイヤーのみを対象にすることもできます(拡張子を付けるだけです)。

うまく生成されない場合

[環境設定]の[プラグイン]カテゴリで、[Generatorを有効にする]オプションにチェックが付いているかを確認してみてください。

https://blog.adobe.com/media_91b1baaf6d5d3e9c9b4eed5a085bd57dc1b4fe50.gif

なお、「画像アセットの生成」は、Node.jsベースのGeneratorテクノロジーを使っています。

対応しているファイル形式、画質の変更方法

「画像アセットの生成」で対応しているファイル形式は、PNG、GIF、JPEG、SVGの4つ。
また、デフォルトの書き出し設定は表の通りです。

書き出し設定を変更するには、次のようにレイヤー名を変更します。

さらに、複数画像の書き出しやサイズ変更にも対応しています。

レイヤーのネーミング

ちょっと面倒なのがレイヤー名の変更です。

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2013年11月にリリースされた「Adobe Layer Namer」を使うと、拡張子の付加や画質設定などを手軽に行うことができます。

しかし、Photoshop CC 2015には、インストールできないことがあります。というのも、インストールにExtension Managerを使うのですが、Extension Managerは開発中止されてしまい、CC 2015には対応していないのです…

CC/CC 2014をインストールしていない環境では、CC 2015にインストールできました。こちらの中程にリンク先がありますので、トライしてみてください。

そのほか、Photoshop CC 2015にも対応したOvenという拡張機能もあります。

ダブルクリックしないでレイヤー名を変更する

レイヤー名を変更するには、レイヤー上でダブルクリックして編集します。なかなか面倒なダブルクリック操作ですが、[レイヤー]メニューの[レイヤー名の変更](レイヤーグループの場合には[グループ名の変更])に、キーボードショートカットを割り当てることで解決します。

私の場合、command+control+AキーとF4キーを与えています。細かいことですが作業効率に直結します。

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余白を設定するには?

「画像アセットの生成」は([レイヤーに基づく新規スライス]のように)自動的に書き出し範囲を決定します。しかしながら「少しだけ余白を付けたい」「特定の領域のみ表示させたい」ということがありますよね。

その場合には、レイヤー(またはレイヤーグループ)に対してレイヤーマスクを設定します(ベクトルマスクでも)。長方形でない場合には、マスクされつつ、レイヤーマスクが入りきる大きさの長方形で書き出されます。

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なお、マスクで書き出し領域を指定できるのは、Photoshop CC 2014/2015のみです。

書き出し先をカスタマイズするには?

画像の書き出し先について掘り下げてみましょう。

「sample.psd」に対して、画像アセットをオンにすると「sample.psd」と同じ階層に「sample-assets」が作られ、その中に画像が書き出されます。これが基本です。

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たとえば、レイヤー名を「images/logo.png」のようにすると、「sample-assets」内に「images」フォルダが作られ、その中に「logo.png」が保存されます。

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しかし、これでもサイトの運用には困ります。サイトで使う画像を入れておくフォルダ(images)と「画像アセットの生成」の書き出し先「(PSD名)-assets」を一致させたい場合には、次の手順を踏みます。

  1. サイト内の「images」フォルダのシンボリックリンクを作成する
    https://blog.adobe.com/media_956070bbcd561ee2d22d6ecde3e43816434f5a0f.gif
  2. 作成したシンボリックリンクファイル(というかフォルダ)を「sample.psd」と同じ階層に移動する(「sample-assets」フォルダは削除)
  3. 「sample.psd」と同じ階層に移動した「images」というシンボリックリンクのファイル名を「sample-assets」に変更する
    https://blog.adobe.com/media_42772d013f521947503bab0447163eb43aaa1774.gif
  4. sample.psdを開くと、「画像アセットの生成」で書き出されるファイルは「images」フォルダー内に保存される
    https://blog.adobe.com/media_3abf34e68281c99b2a64d185bcf00e7727e470f3.gif

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エイリアス(Windowsのショートカット)ではNGです。シンボリックリンクをお使いください。複数のPSDにも対応できますが、書き出しのファイル名がダブらないように注意してください。

アップデートで解決した問題

「画像アセットの生成」がPhotoshopに搭載されて、2回のメジャーアップグレードを経ています。2013年のリリース時にあった次の問題は解決されています。

アセットを抽出?

「画像アセットの生成」は2013年10月のPhotoshop CCのアップデートで実装されました。Photoshop CC 2014では、「画像アセット」に加え、「アセットを抽出」が付加されましたが、Photoshop CC 2015で画像アセットのみになりました。ブログなどを参照される場合、ご注意ください。

画像アセット

アセットを抽出

Photoshop CC

×

Photoshop CC 2014

Photoshop CC 2015

×

まとめ

Web制作でPhotoshopをお使いの方でしたら、本当に使わないと“ソン”な「画像アセットの生成」。ぜひ、活用してみてください。

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