デジタルエクスペリエンスへの取り組み、自社は外向き?内向き?

「デジタルエクスペリエンス」という言葉は、カタカナの少し取り付きにくいものですが、日本でもだいぶ浸透してきたのではないでしょうか。ではそこに「プラットフォーム」という言葉が付くとしたら、いかがでしょうか。これは、デジタル時代の課題に応える新興テクノロジー分野に対して命名された、比較的新しい言葉です。企業活動の効率化にはITが欠かせない現代にあって、それはどのようなテクノロジーなのでしょうか。注目すべきこのトレンドを、米調査会社Forrester Research(フォレスター リサーチ)の新しいレポートをもとにご紹介します。

アドビのデジタルマーケティングビジネス Marketing Strategy担当VPのスレシュ ヴィタル(Suresh Vittal)のブログ記事を翻訳でご紹介します。

ビッグデータの次にくるもの

過去10年間を振り返ると、産業界の様相はすっかり変革を遂げました。私自身、アナリストだったり、マーケティング技術の専門家という前歴を通して、いろんな立場からその変革を見てきましたので、そう実感します。
マーケターのみなさんにとって、今はとてもエキサイティングな時代と言えます。マーケティング活動のなかでデータは重要な要素となりました。マーケターはこれまでにないほど、データを自由に手に入ることができるようになりました。いわゆるビッグデータの時代を経て、もはやデータが有り余る時代になっています。

膨大なデータを駆使すれば、企業は顧客に対し、より適切なデジタルエクスペリエンスを提供できるようになります。分析、自動化、予算、カレンダー、計算、実行、計測、最適化、パーソナライズ、予測など、マーケティング業務は複雑化するばかりですが、現代のテクノロジーを活用すれば、それらを効率化することができます。これによってマーケターは、最適なマーケティングミックスの追求に注力することができ、そして、顧客の多様な要求に応えていくことに結びつきます。企業は自社の都合ではなく、どうしたら顧客にもっと多くの適切なデジタル経験をしてもらえるかを、考えるべきではないでしょうか。

顧客接点のためのテクノロジー

適切な内容のデジタルエクスペリエンスを、ふさわしい相手に、的確なコンテクストで、しかもミリセカンド単位の正確なタイミングで提供するには、どうしたらよいでしょう?それは考え出すと恐ろしいほどの責任です。ただ、並みいる競合ブランドの中から自社ブランドが顧客に選ばれるようになるために必要なことは何でしょうか。説得力のあるエクスペリエンスを、あらゆる顧客接点へ継続的に届けることこそ、これからの企業に欠かすことのできないテクノロジーではないでしょうか。
私たちアドビは、それを実現するテクノロジーの中核となるのが、エンゲージメントレイヤーであると考えています。そしてエンゲージメントレイヤーを備えることが、最適なエクスペリエンスの提供というデジタルマーケティングの本質を、組織全体へと行き届かせることに繋がります。

このデジタルエクスペリエンスを提供するためのテクノロジーに関して、つい先ごろForrester Research社から最新レポートが発表されました。「The Forrester Wave™: デジタルエクスペリエンスプラットフォーム、2015年第4四半期」がそれです(訳注:2015/12より日本語版をご提供中)。Forrester社は、デジタルエクスペリエンスプラットホームを「あらゆる顧客接点にわたってエクスペリエンスを一貫して管理、提供、最適化するためのソフトウェア」であると定義しています。Forrester社はまた、デジタルエクスペリエンスプラットホームは、次の6つの主要ニーズを充たすものでなければならない、と示しています。

  1. コンテンツと顧客データを連動させ、その再利用や品質維持を促進できること
  2. 業務担当者のワークフローを改善できるよう、マーケティング、コマース、サービスプロセスを統合すること
  3. 「見え方」が統一されるように、コンテクストに応じた提供、ターゲティングルールの共通化を図れること
  4. 共通した顧客体験を保つために、あらゆるデジタル顧客接点にわたってフロントエンドのあり方を共有できるようにすること
  5. データとアナリティクスを結び付け、インサイトを次のアクションに結び付けること
  6. 過度なカスタマイズを行うことなく、最大限の再利用ができるような体系と拡張性を備えていること

アドビはリーダー

Forrester社は、さまざまなベンダー10社について、4か月かけて評価を行いました。その結果、新興分野においてアドビが唯一のリーダーであると評価しました。
その要因は何でしょうか?それはアドビが、マーケティングというものが、単なるマーケティングではなく、総合的な顧客経験であるべきということを知っているからです。スマートフォン、タブレット、ウェアラブル、さらにはモノのインターネット(IoT)などを通じて、顧客はブランド企業と接触します。そうしたやり取りは、ますますデジタル化しています。そしてアドビは、ソリューションコアサービス(core services)について、上記の6項目すべての面で、研ぎ澄ましてきました。

Photoshop と Illustrator のお陰もあって、アドビ の名前は今では「コンテンツの創造」と同義語となっています。そして最適な顧客体験を提供するうえでは、Creative Cloud のユーザーが、適切なコンテンツをタイミングよく提供し、最適化するための、大きな助けとなります。
Adobe Experience Managerをはじめとするアドビのソリューションは、Intershop、Elastic Path、IBM やハイブリス(hybris)などの様々なコマースエンジンとデータ接続することができます。アドビのソリューションによって適切な顧客体験が提供され、その結果、顧客は購買へと至ることになります。

顧客は常に「シグナル」を発信しています。そのシグナルを捉えることが、顧客が何を求め、何を欲しているかというコンテクストを理解することにつながります。マーケターはAdobe AnalyticsAdobe Targetを活用することにより、そうしたコンテキストを把握し、顧客の期待に応えることができます。

アドビは第三者、つまり業界のテクノロジーパートナーやサービスパートナーと協業しなければならないと考えています。そして、アドビのソリューションと第三者のソリューションとの確実な連携を図っています。また、代理店やシステムインテグレーター、コンサルティングパートナーとの協業も不可欠です。こうしたすべての取り組みが、世界中の顧客を支援することにつながるものと思います。

Adobe Marketing Cloudこそ、あらゆる顧客接点にわたって優れたデジタル顧客体験を提供するうえで最高のソリューションです。アドビには長年にわたり、ブランド企業のデジタル顧客体験を支えてきた実績があります。
みなさんの企業が優れたデジタルエクスペリエンスを顧客へと提供するに際して、今回のForrester社 のレポートをご覧いただければ、アドビの真価がお分かりいただけるはずです。

Suresh Vittal

※以上はUS Digital Marketing Blog「Digital Experience: Are You An Inward or Outward Facing Company?」の翻訳です。

参考情報: