データを活用しないデジタルマーケティング?夢でも見ているの?
デジタルマーケティング施策を実施するためには、どのようなデータを収集すべきなのか。集めたデータをどのように活用していけばいいのか。どういったカスタマー ジャーニーを組み立てていけばお客様は満足してくれるのか。これらは多くのデジタル マーケターが抱える共通の課題かと思います。これらの課題を解決するためのヒントを本日はお届けします。
Adobe Campaignのエヴァンジェリストであるマシュー ハヌズ(Mathieu Hannouz)によるブログ記事の翻訳でご紹介します。
※以下はUS Digital Marketing Blog「Digital Marketing Without Data? Dream On」の翻訳です。
デジタルマーケティング キャンペーンを成功させるためには、思い切った措置を取り、素晴らしい顧客体験を提供することのできるような、数多くの要素を盛り込む必要があります。デジタル マーケターがカスタマー ジャーニーの中のステップを一つでも飛ばそうとすれば、見込み顧客がメール、モバイル、さらにはコールセンターやダイレクトメール(DM)といったオフラインチャネルでキャンペーンやメッセージと出会ったとしても、離脱してしまうリスクを抱えることとなってしまいます。
先日、カスタマー ジャーニーの作成についてマーケターと話をする機会がありました。その会話の中で上がった話題として、正しいデータを活用できていないのにもかかわらず、多くの企業がパーソナライズされた、素晴らしい顧客体験を提供できていると信じているということです。良いカスタマー ジャーニーを作るための議論の中で、データの重要性というのは二の次であるようです。
そんなものは幻想に過ぎません。もし、重要なデータを無視してもカスタマー ジャーニーを成功させることができると信じているのであれば、結果分析の際に大きく失望することでしょう。カスタマー ジャーニーを成功させるためには、データを活用してお客様ひとりひとりのことを深く理解していく必要があります。
顧客データを正しく活用することで、どういった効果が得られるのでしょうか?
顧客データをただひたすら保持することが、顧客データ管理ではありません。多くの企業は「データを豊富に持っているが、情報量は乏しい」と見なされています。これらの企業は、セグメント化したワークフローを作成し、作業を自動化するうえで必要なデータを持っているにも関わらず、それを使いこなせていないのが現状です。この課題を、統合顧客プロファイルといったAdobe Campaignの機能で解決できるのです。
統合顧客プロファイルという機能を使えば、マーケターは必要なデータを収集し、セグメント化して分析し、データを貴重な情報へと変換して、真にパーソナライズされた顧客戦略を展開することができるようになるのです。このような戦略を練ることができないのであれば、企業は大きなハンデを負うこととなってしまいます。
お客様は、自らが求めているものは何かを、データを通じてブランド企業へと伝えていますが、それらを活かすかどうかはそのブランド企業に委ねられています。これらのデータを豊富な情報へと変換し、お客様のことを本当に理解しようという強い意志が企業にあるのであれば、まずは、どこから手を付けるべきかを考慮する必要があります。
例えば、あなたの組織では、長年使われて陳腐化したシステムとデータベースを未だに使い、データ ストリームを分析しようとしていませんか?そろそろシステムを見直すべきなのではないでしょうか。あなたはまだ、サービスプロバイダーやパートナー企業から借りてきた、あるいは購入したリストをどうにか活用しようとしていませんか?データを獲得することばかりでなく、もう少し効果的なデータの解釈に注力すべきなのではないでしょうか。
最適なセグメントを作る能力は、陳腐化したデジタルマーケティング戦略に終わりを告げたいマーケターにとって必須条件となり、実際にデータ ストリームを使って、より魅力的なマーケティング キャンペーンを開発していく必要があります。ですが、マーケターが正しいツール、そして成功するための戦略を手に入れた場合、それらをどのように活用してカスタマー ジャーニーを組み立てていけばいいのでしょうか?
優れたカスタマー ジャーニーには優れたデータが必要
マーケターと話をする際に、良く指摘される点として、洗練された顧客プロファイルを作るためには特定のデータが必要だが、それらのデータを手に入れるのが難しい、というものがあります。統合顧客プロファイルを作成するためにはもちろんデータが必要となりますが、その集めたデータをどのようにして使えば良いのかがわからないのであれば、収集しても意味がありません。では、デジタル マーケターはどのようにしてデータマネジメントとセグメンテーションのジレンマから抜け出せばいいのでしょうか?
- 収集したいデータを特定しましょう。
沢山のデータを収集できるからといって、全てを収集すべきとは限りません。先日Adobe Campaign導入ユーザーであるUlta社に、収集しているデータについてお話する機会がありました。そこで判明したことは、Ulta社は実店舗でお客様のメールアドレスを収集しており、お客様にインセンティブとしてオファーを提供しているということでした。Ulta社が販売時点で取得している情報はこのメールアドレスのみですが、この情報さえあれば、お客様との関係構築を行うことができるのです。もちろん、メールアドレスを他のチャネルに代替することも可能です。たとえば、電話番号のほうがあなたの企業に合っているのであれば、替わりに電話番号を取得すべきです。ここで大事なことは、あまり多くを求め過ぎないことです。つまり、まずは最低限必要な情報を見極めることが重要なのです。 - 特定できたデータは収集し、保管しましょう。
何が必要なのかがわかったら、次にやるべきことは、そのデータを集約し、最適な場所に配置することなのです。例えば、大手小売店がサイト上の入力ページで顧客情報を収集したとします。一つのチャネルで得た情報を、孤立したまま、そのチャネルのみで利用していては、不十分です。企業がすべきことは、これらの情報を統合顧客プロファイルに集約しておくことです。一つのデータ ソースから得た情報、他のチャネルから集めてきたデータを集約して、全体的な顧客プロファイルを築き上げ、活用することで、企業はより印象的なカスタマー ジャーニーを描くことができるようになるのです。 - カスタマー ジャーニーをより素晴らしいものにするために、データを活用しましょう。
必要なデータを収集し保存したら、次のデジタルマーケティング キャンペーンで行動に移しましょう。集めた貴重なデータを使って新規のお客様を迎え入れるカスタマー ジャーニーを組み立てるのは、まだ始まりにすぎません。ここからオファーや告知、アンケートなどをお客様に配信することで、価値ある双方向のやり取りを構築し、ブランドに対するポジティブな印象を植え付けるだけでなく、今後のキャンペーンに利用できる重要なデータを更に集め蓄積していくことができるのです。これは、お客様一人ひとりと一対一で会話をするのと似ています。これによって充実したカスタマー・ジャーニーをお客様に提供し、お客様のニーズに合わせてデジタルマーケティング戦略を改善していくことが可能となるのです。
あなたが次に実施するマーケティング キャンペーンが夢物語から悪夢になってしまわないためにも、データを無視してはいけません。お客様の記憶に残るようなカスタマー ジャーニーを組み立てたいと考えているのであれば、より深くお客様一人ひとりのことを理解する必要があります。それを実現するためには、Adobe Campaignの統合顧客プロファイルにデータを集約することが得策なのです。
監修者: 高橋 サラ アドビ システムズ株式会社 アドビグローバルサービス統括本部 ソリューション コンサルタント
新卒で日系のIT企業へ入社し、5年間品質エンジニアとしてECOMMERCEソフトウェアの開発・品質保証に携わる。アドビにはソリューションコンサルタントとして2015年に加わる。現在Adobe Campaign、Adobe Experience ManagerのManaged Services、そしてAdobe Marketing CloudのCore Servicesを担当している。