ベテランほど知らずに損してるPhotoshopの新常識(特別編)データの使い回しとCCライブラリ
ベテランほど知らずに損してるPhotoshopの新常識
Illustrator、Photoshop、InDesign、および、モバイルアプリを含めてのデータの使い回しとCCライブラリについてまとめてみました。
連載の特別編として2015年11月11日開催のBest of MAXでの講演の再録版としてお送りします。
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Best of MAX「ベテランほど知らずに損してる IllustratorとPhotoshopの新常識(CCライブラリ編)」 from swwwitch inc.
データの使い回し(使い捨てでなく、効率的な再利用)
データは「素材」と「設定」に大別されます。
グラフィックやWebの現場では、線画や写真、ソースコードこそが「データ」とされますが、パネルの位置からキーボードショートカット、アクションなど、制作を進めるためにカスタマイズしている環境そのものも軽視できない情報です。
Illustrator、Photoshop、InDesignは、CC以降「設定の同期」機能を使って、すべてではないものの、環境の多くをクラウド越しに共有できるようになっています。
この同期は同一アカウントでのみ可能ですが、Illustratorのみ、「個別の設定の書き出し/読み込み」機能があります。
書き出した「設定ファイル」は、本人はもちろん、ほかのユーザーが読み込むこともできます。チームで作業していて環境を揃えたい場合に重宝します。
さて、アートワークやソースコードなどに話を戻しましょう。
一度作ったデータを使い回したい、アプリケーション間のデータ共有をスムーズに行いたいと思っていても、アプリケーションそれぞれの制約や管理の煩雑さなどから、なかなか手軽にいかないのが現実です。
CC 2015以降の「CCライブラリ」が、これまでのワークフローを覆すものとして注目に値します。
加えて、次のような観点で、Illustratorなら「ライブ」、Photoshopなら「非破壊」と呼ばれるデータの作り方も無視できないポイントです。
- 手間をかけない
- ミスが少ない
- 修正しやすい
- “事故”を起こさない
まずは、ドキュメント、アプリケーションなどのスコープ(視野)から、それぞれのデータ共有について振り返っていきましょう。
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- 1つのデスクトップアプリ内、1ドキュメント内での共有
- 1つのデスクトップアプリ内、複数ドキュメントでの共有
- 複数のデスクトップアプリでの共有
- デスクトップアプリとモバイルアプリでの共有
- 同一アカウントのユーザー内での共有
- 複数ユーザーでの共有
なお、単純に同一のものを共有するだけでなく、次の点も忘れてはならないポイントです。
- 修正時に一括で反映できるか
- 共有しながらも多少の調整が効くかどうか
1つのデスクトップアプリ内、1ドキュメント内での共有
まずは、デスクトップアプリ内、1ドキュメント内での共有から。
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Illustrator:「シンボル」
Illustratorのドキュメント内でアートワークを共有するのに使うのが「シンボル」です。
シンボルに登録すると、“スタンプを押すように”ドキュメントにシンボルインスタンス(シンボルを「親」とすると「子」)を配置できます。
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シンボルには次に挙げるメリットがあります。
- 「親」しか実体を持たないため、「子」(シンボルインスタンス)が増えてもデータ容量が増えない
- 「親」を再編集すると、「子」(シンボルインスタンス)に反映される(逆をいうと、リンクを保ったまま「子」ごとに編集することはできない)
- シンボルインスタンスの置換が可能([選択]メニューの[共通]→[シンボルインスタンス]をクリックして選択し、コントロールパネルの[置換]から置き換えたいシンボルを選択する)
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Photoshop:「スマートオブジェクト」
「スマートオブジェクト」は、Photoshopでのデータ作成のキモになる機能です。
たとえば、次のような複数のバナーを作りたい場合、バナーごとに個別のPSDにせず、ひとつのPSD内に作成し、それぞれをレイヤーグループにします。
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書き出したい場合には、書き出したいファイル名をレイヤーグループのレイヤー名に拡張子付きで設定します。
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[ファイル]メニューの[生成]→[画像アセット]をクリックすれば、スライスをすることなく、自動でファイルが書き出されます。詳しくは連載の第4回目をご覧ください。
スマートオブジェクトに話を戻しましょう。このPSDドキュメントは、次のように仕込みを行います。
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オレンジとブルーのところがスマートオブジェクト。これを複製し、それぞれのレイヤーグループ内に複製します。
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さらに「変数」機能を組み合わせると、効率的なフローを実現できます。
スマートオブジェクトとは、いわば、Photoshop内に別のPhotoshopファイルを埋め込んだものです。埋め込んだPhotoshopファイルは、Illustratorのシンボルのような動きをするため、変更して上書き保存すると、複製したそれぞれのスマートオブジェクトに反映されるのです。
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なお、正確には、埋め込んだPhotoshopファイルの拡張子は「PSB」。これは「Photoshop Big document」の略です(「ビッグ」でなく「ビック」になっているのはご愛敬)。
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Photoshopドキュメント(PSD)には、ピクセル数やファイルサイズの制限がありますが、PSBはその制限をクリアすることができるのです。
InDesign:「ライブラリ」「スニペット」「コンテンツの収集/配置」
InDesignには、「ライブラリ」「スニペット」「コンテンツの収集/配置」など、いくつかの共有方法があります。
今回のテーマである「CCライブラリ」は、InDesignのライブラリ機能と名称がカブるためか、[ウィンドウ]メニューでの名称が、InDesignのみ[CC Libraries]になっています(Illustrator、Photoshopは[ライブラリ])。
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1つのデスクトップアプリ内、複数ドキュメントでの共有
1つのデスクトップアプリ内、複数ドキュメントでの共有をみていきましょう。
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Illustrator:「アートボード」
Illustratorのシンボルはドキュメント間で共有することができません。そこで使いたいのが「アートボード」です。
たとえば、名刺、便せん、封筒のように、アートボードは異なるサイズを設定することができます。
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アートボードは、[アートボード]パネルで管理します。
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アートボードごと個別に書き出すほか、複数ページを持つ1ファイルのPDFで保存すれば、クライアントの確認作業などに重宝します。
1つのドキュメントにあるアートボードでは、当然、シンボルを共有できるほか、「グローバルスウォッチ」など、カラーの管理という点でも利便性が高くなります。
Illustrator:「9スライス」(シンボルオプション)
シンボルのオプションで「9スライス」を使うと、シンボルインスタンスごとに変形可能になります。
たとえば、複数のオブジェクトで構成するタブ形状の図形を、バウンディングボックスを使って変形を行うと、角丸の形状が崩れてしまったり、タブ部分が短くなってしまいます(ダイレクト選択ツールで丁寧にアンカーポイントを選択して変形してもよいのですが面倒です)。
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このオプションをオンにするには、次の手順で行います。
- シンボル登録時に表示されるダイアログボックスで[9スライスの拡大・縮小用ガイドを有効にする]オプションをオンにしておきます。
https://blog.adobe.com/media_0d6723953a8f89405d4ebbd8b7ac608a13fd0b8d.gif - シンボルを「編集モード」にすると、シンボルを9つに分割する4本のガイドライン(点線)が表示されます。
中央の行、中央の列が伸び縮みすることを想定しながらガイドを移動すると、シンボルインスタンスごとにバウンディングボックスを使っての変形が可能になります。
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なお、「9スライス」は、Fireworks/Flashのシンボルの機能で互換性のためにIllustrator CS4で搭載され、Illustrator CS5以降、Illustrator内でもきちんと使えるようになっています。
Illustrator:「Dynamic Symbol」
「9スライス」を使うと変形は可能になりますが、カラーなどの変更はできません。
今年(2015年)末のIllustratorのアップデートで搭載予定の「Dynamic Symbol」を使うと、シンボルインスタンスを構成するオブジェクトをダイレクト選択ツールで選択することで、カラー、線、不透明度などを調整することができるようです。
USのMAXで発表されたほか、Illustrator blogでも紹介されています。
Illustrator:Ai-Aiリンク
複数のIllustratorドキュメントをやりとりする上で忘れてならないのが、「Illustratorファイルを別のIllustratorドキュメントに配置する」方法、通称、“Ai-Aiリンク”です。
Illustratorをファイルで配置すると、そのファイル内のオブジェクトを編集することはできませんが、たとえば、Illustratorで面付けを行う場合に有効です。
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Ai-Aiリンクの面付けには、次のようなメリットがあります。
- Illustratorドキュメント内でオブジェクトを180度反転させてもドロップシャドウは反転しない(=影の向きが逆になってしまう)。“Ai-Aiリンク”なら反転する
- Illustratorのリンクは、パスをファイル名しか見ないことを逆手に取って、ファイルを入れ替えるだけで汎用的に使うことができる(複数ページのアートボードで構成するIllustratorファイルをリンクするなど)
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協力:ディメンションナントウ
Photoshop:リンク配置+レイヤーカンプ
次にPhotoshopのファイル同士のやりとりです。
Webのカンプで1ページごとに1PSDで作成していく場合を考えてみましょう。
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Webのカンプには、上部の「ロゴ」や「グローバルナビゲーション」、最下部のフッター領域など、各ページで共通する部品があります。
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これらのパーツを別ファイルにし、Photoshop CC 2014以降に可能になった「リンク配置」を行うことで、修正時に一括更新が可能になります(それぞれのPSDファイルが軽くなることも見逃せません)。
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しかし、「グローバルナビゲーション」は、カテゴリごとに異なる背景色を切り分けますので、単純なリンクでは対応できません。そこで活用したいのが「レイヤーカンプ」機能です。
「レイヤーカンプ」とは、レイヤーの表示/非表示、位置、効果なの情報をセットとして記録し、後から切り換えられる機能です。
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リンクするファイルに、レイヤーカンプを設定しておくと、リンク先のドキュメントの[属性]パネル内でレイヤーカンプを切り換えられるのです。
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Photoshop:スマートオブジェクト+アートボード
リンク配置とレイヤーカンプによる共通パーツの管理は強力な手法ですが、Photoshop CC 2015から搭載された「アートボード」機能を使うと、外部ファイルを使わず、スマートオブジェクトとレイヤーカンプの組み合わせで実現できます。
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Photoshopのアートボードは、Illustrator同様に異なるサイズを設定できますが、Illustratorがアートボードを[アートボード]パネルで管理する一方、Photoshopでは[レイヤー]パネルで管理します。
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Photoshopのアートボードは、“スーパー”レイヤーグループと考えるとよいでしょう。
デスクトップアプリ間での共有
デスクトップアプリ間でデータを共有するには「コピー&ペースト」と「配置」の2つの方法があります。
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- コピー&ペースト
- 配置
コピー&ペースト:IllustratorからPhotoshopに(スマートオブジェクト)
Illustratorで作成したオブジェクトをコピーし、Photoshopでペーストすると、いくつかのオプションを選択できます。
再編集が想定される場合には「スマートオブジェクト」を選択します。
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Photoshopの[レイヤー]パネルで、配置したスマートオブジェクトのサムネールをダブルクリックするとIllustratorが起動し、編集画面が開きます。
その際、最初にコピーしたIllustratorのドキュメントとは無関係になってしまうことに注意してください。なお、Illustratorのスマートオブジェクトにはアピアランス効果などを保持することが可能です。
コピー&ペースト:IllustratorからInDesign、InDesignからIllustrator
IllustratorとInDesign間でのやりとりは少しトリッキーです。パスなどの図形はある程度まで可能ですが、テキストに関しては、次のような問題があります。
- IllustratorからInDesignにテキストをコピー&ペーストすると、テキスト属性が失われてしまうことがある
- InDesignからIllustratorにテキストをコピー&ペーストすると、テキストが切れてしまうことがある(自動カーニングの互換性がないため)
テキストのやりとりは「できないもの」として、ワークフローに組み込まない方が多いでしょう。
配置
アプリケーション間でファイルをやりとりする際の「配置」には、主に次のケースが想定されます。
- [A]Illustratorに、Photoshopファイルを配置する
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この際、ワークフローのポイントになるのは次の点です。
- 配置のタイミングでのリンク/埋め込みの選択
- 配置後、リンクを埋め込みに、埋め込みをリンクに
- パッケージ(リンクの収集)
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Illustratorの配置まわりの機能強化
Illustrator CC以降、次に挙げる項目が可能になっています。
- [配置]ダイアログボックスでの複数ファイルの選択
- 埋め込み解除(リンクへの変更)
- パッケージ(リンクの収集)
正確には、次の表のように進化しています。
埋め込み/リンクの使い分け
埋め込みとリンクはどちらを使うべきでしょうか?
結論からいうと、作業時にはリンクが理想ですが、「リンク切れ」や「添付忘れ」という深刻な問題を回避することができる「埋め込み」の優位性は無視できません。
各アプリケーションでの配置、埋め込み関連の挙動は次のようになっています。
パッケージ(収集)
リンクを使ったワークフローでは「パッケージ」機能を使ってリンクファイルを収集します。
「パッケージ」は、InDesignの初期からある機能ですが、IllustratorはCS6のCreative Cloud版以降、PhotoshopはCC 2014以降に搭載されています。
なお、IllustratorとInDesignでは「パッケージ」ですが、Photoshopのみ「パッケージ化」となっています。
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また、収集するフォルダー名がIllustratorとInDesignでは「Links」ですが、Photoshopのみ「リンク」です。
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パッケージの問題点
パッケージを使うと、ドライブ内にファイルとリンクファイルが2セットできてしまいます。どちらを使うか(残すか)を決め、それを守ることを徹底する必要があります。
なお、同じファイル名のファイルが2つ存在することを書籍『超・整理法』の中で野口悠紀雄さんが「ドッペルゲンガー・シンドローム」と命名しています。
「Links」フォルダーの扱い
Illustratorのリンクファイルの情報は、[リンク]パネル下部に表示されます。「ユーザ/(user name)/書類/sample.jpg」のように絶対パスで表示されますが、少し不思議な挙動をします。
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[A]
- Illustratorファイルと同じ階層にあるファイルにリンクしている
- リンクファイルを、Illustratorと同じ階層にあるフォルダーに移動するとリンクは切れる
- しかし、フォルダー名を「Links」にするとリンクは復活する
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[B]
- Illustratorファイルと同じ階層の「aaa」フォルダーに入っている画像にリンクしている
- 「aaa」フォルダーを「bbb」フォルダー内に移動するとリンクは切れる
- 「aaa」フォルダーのシンボリックリンクを作成して、Illustratorファイルと同じに移動。このフォルダー名を「Links」にするとリンクは復活する
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このように「Links」フォルダーは特別なフォルダーとして優先されるようです。
シンボリックリンク(やその作成方法)ついては、下記のブログ記事などを参照してください。
- SymbolicLinker
- 知っておくと何かと重宝するシンボリックリンクを Mac で作成する方法 | R
- MacOSX – 相対パスのシンボリック・リンクを作る Automator ワークフロー – Qiita
- Link Shell Extension – k本的に無料ソフト・フリーソフト
なお、Illustratorのリンクは、中味やタイムスタンプが異なっていても、ファイル名とパスが同じなら自動でリンクが更新されますので注意が必要です。
IllustratorファイルをInDesignに配置する
IllustratorファイルをInDesignに配置する場合、2つの方法があります。
たとえば、トピックによってタイマーの目盛が変わるケースを考えてみましょう(協力:『神速Photoshop [Webデザイン編]』)。
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IllustratorからInDesign(1)アートボード
目盛が異なるタイマーをIllustratorのアートボートに展開します。
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InDesignの[配置]ダイアログボックスで[読み込みオプションを表示]オプションにチェックを入れてIllustratorファイルを選択すると[PDFを配置]ダイアログボックスが開きます。
このダイアログボックスで、Illustratorのアートボードを選択することができます(ちなみに、残念ながらアートボード名はInDesign上では見えません)。
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IllustratorからInDesign(2)オブジェクトレイヤーオプション
アートボードでなく、目盛をレイヤーに分けておいたIllustratorファイルを配置してみます。
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InDesignに配置後、[オブジェクトメニューの[オブジェクトレイヤーオプション]]をクリックして[オブジェクトレイヤーオプション]ダイアログボックスを表示すると、レイヤーごとに表示/非表示をコントロールすることができます。
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修正がある場合、アートボードを使う方法だと、配置し直す必要がありますが、レイヤーの方は、オブジェクトレイヤーオプションで表示をコントロールするのみで済みます。
Photoshopのレイヤーカンプに通じるところがありますね。
デスクトップアプリとモバイルアプリでの共有
アプリの傾向
アドビ謹製のモバイルアプリは、リリース当初は有償のものもありましたが、現在は、すべて無償です。ただし、Creative Cloudのアカウントを持っていることが条件になっているものが多くなっています。
実際のところ、たくさんのアプリがリリースされていますが、開発が中止されてしまったり、統廃合されるものもあります。
「たくさん、ありすぎて…」と思う方も少なくないと思いますが、ざっくり分けると、次のように大別できます。
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Comp CC
Comp CCは、ジェスチャー操作によって、テキスト、シェイプなどを描画し、ダミーテキストを調整したり、シェイプにカラーを設定したり、画像を配置し、Illustrator、Photoshop、InDesignに送信できるアプリです。
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元々、Web用にDreamweaverと連携する「Proto」というアプリが更新されたものです。
Photoshop Fix
Photoshop Fixは、Photoshopのレタッチや「コンじる」系のツールをスマートデバイスで使えるだけでなく、顔認識し、口角を上げる処理などができる点がユニークで楽しいです。
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CCライブラリ
いよいよ本題の「CCライブラリ」です。
CCライブラリを使うことで次のような共有が可能になります。
- ドキュメント間の共有
- アプリ間の共有
- チーム連携
ライブラリの構造
「CCライブラリ」では、共有したいアイテム(グラフィック)を[ライブラリ]パネル(InDesignのみ[CC Libraries]パネル)で共有します。
ちょっとややこしいのですが、ライブラリのアイテムは、必ず「ライブラリ」という“セット”に格納されます。
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ライブラリで扱えるのは、大きく3つです。
- グラフィック
- スタイル(文字スタイル、段落スタイル、レイヤースタイル)
- カラー(カラーテーマ)
- レイヤースタイルはPhotoshopのみ。IllustratorのグラフィックスタイルやInDesignのオブジェクトスタイルは扱えません。
- Illustrator、InDesignには合成フォントがありますが、Photoshopにはありません。合成フォントを利用している場合、Photoshopでは「必要なフォントがありません」と表示されてしまいます。
- 現時点(2015年11月)では、グラフィックのみ、オリジナルのアイテムとのリンクが保持されます。
アイテムの登録と更新のワークフロー
Illustratorのグラフィックをライブラリに登録するサンプルを通して、アイテムの登録と更新のワークフローを解説します。
- [ライブラリ]パネルで新規ライブラリ「test」を作成します。
- Illustratorドキュメントから[ライブラリ]パネルにオブジェクトをドラッグ&ドロップします。
https://blog.adobe.com/media_d9d04d3c8c56a27d7f89a4a59c205d796bb0f5ff.gif - [ライブラリ]パネルからそのオブジェクトを配置すると、デフォルトで「リンク配置」されます。
[リンク]パネルを見ると、「アートワーク1」の右側にクラウドアイコンが表示され、リンク情報を見ると[ファイルの位置]には「ライブラリ>test>アートワーク1」のように表示されます。
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リンク配置したオブジェクトは、いわば「シンボル」
アートボードのオブジェクトには、×がついています。
アウトラインモードに変更すると一目瞭然ですが、配置したオブジェクトは「配置した」という情報しか持っておらず、このままでは再編集はできません。
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リンク配置されたオブジェクトを複製、または、[リンク]パネルからドラッグ&ドロップして配置すると、それらはすべて「シンボルインスタンス(シンボルの子要素)」のようになります。
オリジナルの編集
[ライブラリ]パネル上でアイテムをダブルクリックすると、そのアートワークがドキュメントとして開きます(「TemporaryItem」というフォルダ内に保存されます)。
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編集後、保存して閉じると、それらが各ドキュメントに反映されます。
ただし、反映に少し時間がかかったり、また、ドキュメント内に複数配置されていても同時に反映されないことがあります。
リンクのパス
IllustratorとInDesignは、リンクのパスは[リンク]パネルで確認します。Photoshopのみ、[属性]パネルで確認します。
IllustratorとInDesignは「ライブラリ>ライブラリ名>アイテム名」のように表示されますが、Photoshopは「ライブラリ名/アイテム名」のようにライブラリ名から表示されます。
Illustratorドキュメント間のシンボル共有が可能に
Illustratorでは、「リンク配置」を使うことで、複数ドキュメント間でのアートワークの共有を“シンボル”のように共有できるようになります。
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[リンクを配置]と[コピーを配置]
[ライブラリ]パネルからグラフィックをドラッグ(またはリンク配置されたオブジェクトを複製)すると[リンク配置]になります。リンク配置されたグラフィックのオリジナルを編集すると、配置されたアイテムは一括更新されます。
リンク関係を持たないように配置するには、optionキー(Altキー)+ドラッグします。
コンテキストメニューから[リンクを配置]と[コピーを配置]を選択することもできます。
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リンク配置したアイテムを再編集するには、埋め込みを行います。
アプリ間の共有
たとえば、IllustratorのアートワークをPhotoshopで使う場合、Illustratorで[ライブラリ]パネルに登録すると、Photoshopの[ライブラリ]パネルにも即座に表示されます。
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IllustratorとPhotoshopだけでなく、InDesignの[CC Libraries]パネルにも同様に同期されます。
コピー&ペースト、配置に続く、アプリ間の共有の3つ目の選択肢として、シームレスがやりとりが可能です。
異なるユーザーとの同期
CCライブラリは、異なるユーザーと共有することが可能です。共有は、アイテム単位でなく、ライブラリ単位で行います。
共有には、[共同利用]と[リンクを共有]の2種類があります。
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たとえば、AからBにロゴデータを受け渡す場合、修正が生じるとファイルを再送信し、リンクの更新を行う必要がありました。
CCライブラリの「共同利用」を利用することで、次のようなワークフローが可能になります。
- Aが作成したロゴをBにCCライブラリに登録
- AがBにライブラリを[共同利用]で共有
- Bは、ロゴをアートワークに配置
- AがCCライブラリ上のロゴを編集
- Bのアートワークに配置されたロゴは自動更新される
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まとめ
今回は、次のスコープからデータ共有について振り返りました。
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- 1つのデスクトップアプリ内、1ドキュメント内での共有
- 1つのデスクトップアプリ内、複数ドキュメントでの共有
- 複数のデスクトップアプリでの共有
- デスクトップアプリとモバイルアプリでの共有
- 同一アカウントのユーザー内での共有
- 複数ユーザーでの共有
最後にご紹介した「CCライブラリ」を使うことで、これまで単なるアプリケーションの集合だったCreative Cloudに、ようやくスイート(セット)としてのメリットが打ち出されてきたといえます。
- 素材集として作り込み、チームで共有できる
- ドキュメントやアプリケーションをまたぐ“シンボル”として共有できる
- 離れた人と共有できる(修正後にファイルを送信し直さなくても更新できる)
今のところ、CCライブラリでリンクできるのはグラフィックのみですが、カラーやテキストなど、さらに、加速していくのではないかと期待しています。
手慣れた手順を変更するのは精神的に面倒ですし、一時的に生産性も下がりますが、ワークフローを見直すタイミングがやってきたように思います。ぜひ、お試しください。