ベテランほど知らずに損してるPhotoshopの新常識(7)ベクトルマスクを使って実現する、直しに強い切り抜き

連載

ベテランほど知らずに損してるPhotoshopの新常識

第3回でご紹介した「境界線を調整」を使った切り抜きは、「白バックに白い被写体」には向いていません。

一方、たとえば、こちらの画像の場合、Photoshopの自動選択ツールで背景のみを選択して削除すると、下のシャドウ部分が不自然に残ってしまいます。

https://blog.adobe.com/media_f16b93c66e1fe934fac56792610b830b447237be.gif

精度を高めるためには、やはりパスを使って丁寧に切り抜き範囲を設定することが必要です。

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従来の「パスをレイヤーマスクにする」ワークフロー

パスを使う場合、次のようなワークフローを踏みました。

  1. パスを描画する
  2. パスを選択範囲に変換する
  3. 選択範囲をレイヤーマスクに設定する

これでもよいのですが、切り抜きのために描いたパスをそのままマスクとして使う「ベクトルマスク」を使うと、次のようなメリットがあります。

今回はパスを使ってマスクする「ベクトルマスク」による切り抜きをご紹介します。

はじめる前に

  1. 素材ファイル(.psd)を開く
    https://blog.adobe.com/media_96f6a3c2b0ffa0c7d8d1e8ce58c87abb1301ed05.gif
  2. 該当レイヤーをスマートオブジェクトに変換する
    https://blog.adobe.com/media_8404f3193050b4c3186d5ba7c426ec9554bd4b97.gif
  3. レイヤー名を、書き出したいファイル名に(拡張子付きで)変更する
    https://blog.adobe.com/media_b707f375f654d66ccc46d1889826e2bb7dd421f3.gif

レイヤー名の設定は書き出し直前でもよいのですが、このタイミングでやっておくと付け忘れがありません。

スマートオブジェクトの変換とCCライブラリ

Photoshop CC 2015(12月アップデート)以降、スマートオブジェクトに変換時に次のアラートが表示されます。

https://blog.adobe.com/media_0acafd893745e4ffc5c4865a6d639c68abd22383.gif

今回のような切り抜きの場合には不要ですので、[スマートオブジェクトをライブラリに移動してリンクで置換]オプションはオフにしておくとよいでしょう。

ベクトルマスクを使った切り抜きのワークフロー

ベクトルマスクの設定

  1. ツールパネルで[ペンツール]を選択する
    https://blog.adobe.com/media_bd3f9f5859201a9f2d41770474798b35912d279e.gif
  2. オプションバーで「パス」を選択する
    https://blog.adobe.com/media_a8999d14366e6673367f610ac5e32c2b4bfe0e11.gif
  3. 切り抜きたい領域にパスを描画する(その際、凹凸部分は無視する)
    https://blog.adobe.com/media_1a82aa9e00eae3624ce701a9025a9cf7f423d636.gif
  4. [レイヤー]パネルでcommandキー(Ctrlキー)を押しながら、[レイヤーマスクを追加]ボタンをクリックする(ツールチップでは[ベクトルマスクを追加]のように表示される)
    https://blog.adobe.com/media_70b506c4ded4ff244af2bb7c802143bda4c6a4d5.gif

切り抜きが実行されます。

https://blog.adobe.com/media_45f1d2ad06bd76bc955a46fc3aa2655ba0090527.gif

[レイヤー]パネルでは、レイヤーマスク同様、ベクトルマスクのサムネールが表示されます。

https://blog.adobe.com/media_97d7d447390329473f40edcca4dae1f9dbd992fc.gif

必要に応じて、[パス選択ツール]を使ってパスを微調整します。

反転してしまう場合

表示/非表示したいところが反転してしまう場合には、オプションバーの[パスの操作]を確認します。

「前面シェイプを削除」になっている場合には「シェイプを結合」に変更します(新たにパスを描き直す必要はありません)。

https://blog.adobe.com/media_b47638d1bad330fc1e56d8982d3bb71561dd76bf.gif

Illustratorとのパスの描き方の違いに注意

IllustratorとPhotoshopでは、ペンツールの使い方で異なるところがあります。

たとえば、スムーズポイント(アンカーポイントから2つのハンドルが出ているとき)から、片方のハンドルを削除したい場合、Illustratorではアンカーポイントをクリックするだけですが、Photoshopではoptionキー(Altキー)+クリックします。

https://blog.adobe.com/media_9e83086febef37895ed3a605e5d37992e9151605.gif

コーナーポイントからハンドルを引き出すときも同様です。アンカーポイントからoptionキー(Altキー)を押しながらドラッグします。

凸部分をマスクに追加する

凸部分のパスを描画し、マスク領域に加えていきましょう。

ベクトルマスクを設定しているとき、[パス]パネルには「作業用パス」と「(レイヤー名)ベクトルマスク」というパスが表示されます。

https://blog.adobe.com/media_1b22f0fe86956bc521064b6f6517ae61b3c53702.gif

ベクトルマスクのサムネールをshift+クリックしてマスクを非表示にすると、[パス]パネルには「作業用パス」しか見えなくなります。

https://blog.adobe.com/media_fcd0b1edc60d7869534cca03a33db27851b86c58.gif

「作業用パス」には、ベクトルマスク用のパスは追加できません。しかし、マスクを非表示にすると、表示部分が見えないため、追加するパスを描画するのが困難です。

そこで、[属性]パネルで[濃度]を使って作業を進めます。

  1. [属性]パネルで[濃度]の値を下げます。
    https://blog.adobe.com/media_fe4f96cee915ac23b6fca6b9e41a43b92ba624f3.gif
  2. マスクによって非表示になっていた領域が見えるようになります。
    https://blog.adobe.com/media_1a82aa9e00eae3624ce701a9025a9cf7f423d636.gif
  3. パスを描画します。
    https://blog.adobe.com/media_f81bb1701d91051e41aa9289ae05bb7ee71463c6.gif
    [属性]パネルで[濃度]の値を(100%に)戻すと、パスを追加した領域が表示されることを確認できます。
    https://blog.adobe.com/media_a907a5fbc54b851acf7ffcc37e112eb02316ac19.gif
  4. 同様に、パスを描画してマスク領域に加えます。
    https://blog.adobe.com/media_9238db5bb219d7fa0e949e32d1b8322cb252e8a2.gif

このようにパスを追加しながらマスク用のシェイプを完成していきます。これは、Illustratorでいう、パスファインダーの複合シェイプにあたります。

凹部分をマスクから削除する

凹んでいる部分を調整します。凹部分のパスを描画し、マスク領域から削除します。

  1. [属性]パネルで[濃度]の値を下げる
  2. Escキーを押して、パスの選択を解除する(直前に描画したパスが選択されていると、次のステップの「前面シェイプを削除」が、そのパスに適用されてしまうため)
  3. [ペンツール]を選択し、オプションバーの[パスの操作]を「前面シェイプを削除」に変更する
    https://blog.adobe.com/media_41d0f2ea31aefdaa70ee4a6b7fa76164dfaa9124.gif
  4. パスを描画すると、そのシェイプ部分が非表示になる
    https://blog.adobe.com/media_f8af3a80856db57c713e1428405e273e20cd0340.gif

微調整

切り抜き精度を調整していきます。

新規レイヤーを作成し、切り抜きたい被写体で使っていないカラーで塗りつぶし、背面に移動します。

https://blog.adobe.com/media_ad5f2552ea6be2a31449d90a2de383c7d998c46d.gif

https://blog.adobe.com/media_8e31cf3fe4dfdc9aa8157501cf660e827bfe5a7e.gif

[属性]パネルの[ぼかし]の値を調整すると、ボケ足を設定することができます。大きめの値を設定すると、次のようにエッジのボケ足が伸びます。

https://blog.adobe.com/media_1cd362bfafd1c820769b1369d1de49a6016c41bf.gif

ほんの少し[ぼかし]を設定すると合成時などに馴染みやすくなります。

https://blog.adobe.com/media_f53f78a69cdde60e05fe1466924b2610f430422b.gif

書き出し

下記のいずれかを使って、PNG書き出しを行います。マスクは“適用”された状態になり、透過部分は保持されます。

PNG以外のファイル形式での書き出し

レイヤーを右クリックして表示されるメニューから[書き出し形式]をクリックして[書き出し形式]ダイアログボックスを表示し、[ファイル形式]でファイル形式を選択します。

サイズ調整

[書き出し形式]ダイアログボックスの[画像サイズ]で、[幅](または[高さ])の値を設定します。縦横比は保持されます。

https://blog.adobe.com/media_ff8127a50719a182e3a1ccd11cf75ecf6c0b3def.gif

まとめ

ベテランの方には「マスクにパスが使える」ことが驚きだと思いますが(私自身、衝撃でした)、「エッジをやわらかくすることができる」など、クリッピングマスクでは実現できないメリットがあります。

また、長い直線や長い曲線を活かし、パスは一回で描かないことも全体の作業スピードや直しの対応のために大きなポイントです。

ぜひ、お試しください。