フォースはポール・シッパーのファンアートによって覚醒する

待望の『スターウォーズ/フォースの覚醒』がついに本日公開されました。

スターウォーズの熱狂的ファンは数多く存在するものの、その熱意をアートに向ける人は多くありません。今回、イラストレーターのポール・シッパー(Paul Shipper)の作品をご紹介したいと思います。

ポールは驚くほどのディテールまでこだわって映画のポスターを描くことで、スターウォーズへの熱い思いを表現しています。私たちが注目するきっかけになったのは、米オンラインチケット販売サービスFandango向けにポールが最近作成したスターウォーズのポスターでしたが、彼の仕事の幅は『バック・トゥ・ザ・フューチャー』から『ゲーム・オブ・スローンズ』まであらゆるものにわたっています。そこで今回ポールに、彼の思い、テクニック、および好きな映画についてなど、さまざまな質問を投げかけてみました。

映画のポスター制作に関わるようになったきっかけは?

自分で覚えている限り、私は幼い頃から絵を描くことが大好きでした。映画館に貼られているポスターやVHSテープのカバーなどを見てすばらしいと思い、それらがまさにアートであると思っていました。1980年代の半ばから終わりにかけては映画ポスターを集めることに夢中でした。

ある日、私が集めたポスターの多くは似通ったスタイルを持ち、「Drew」と読める署名があることに気付きました。これらのポスターはドリュー・ストラザン(Drew Struzan)というひとりの画家によって作られたものだったのです。私のポスターコレクションは彼が私のお気に入りのアーティストであることを明らかに物語っていました。これらのポスターが彼の作品であることに気付くと共に、彼が「フリーランスのイラストレーター」と呼ばれる職業に就いていることを知りました。これがフリーランスイラストレーターを志したきっかけです。

イラストレーターとしての経歴について教えてください。映画のポスターに専念してきたのですか?最初は他の分野を手がけていたのですか?

中学・高校や大学ではさまざまなものからインスピレーションを受けましたが、プロジェクトのテーマを決めるときには映画への熱意がその決定要因となることがほとんどでした。もちろん必修項目の静止画から、私が最も好きな人物デッサンまであらゆるものを描きました。アートカレッジを経て大学でイラストレーションの学位を取得するまでの学生生活の中で、私の熱意の対象が変わることはありませんでしたが、ほとんどの人には映画ポスターの道に進むことに反対されました。しかし応援してくれる人もいて、それが今の私を作っていると言っても過言ではありません。

クリエイティブの制作プロセスについて教えて下さい。最初は紙にスケッチしますか?それともすべてデジタルで制作されていますか?

紙にスケッチすることもあれば、iPadを使うこともあり、またすでに頭の中にあるアイデアを元に直接デジタルで作業することもあります。事前の作業はもちろん重要ですが、これは私の経験ではプロジェクトごとに異なります。作品やどのように見せたいかについては非常に頭を使います。寝ていても画面の構成を夢で見ることがあり、そのようなときは朝起きると同時に作業にかかることができます。またクライアントが求めているものを十分に把握するため、会議、スカイプ、メールでのやり取りなども行います。

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あなたの作品には信じられない量のディテールが描き込まれています。どうやってすべてを正確に再現しているのですか?

クライアントから提供された画像や、自分で探したり撮影したりした写真を横において作業することがほとんどです。作品が写真のように見えないよう注意しています。単なる写真ではないものにしたいと思っているからです。少し粗削りな部分がありつつも、作品の本質や感覚をとらえたイメージを抽出し、それらをひとつのデザインの中に調和させたいと考えています。Photoshopの画面分割機能を使って参考にする画像を同時に表示させたり、あるいは新しいレイヤーに画像を貼り付けてからスケールを合わせて制作中のものの隣に配置したりすることもあります。

Photoshopではどのツールを最も頻繁に使っていますか?

おそらくブラシツールで、主にカイル・T・ウェブスター(Kyle T Webster)が作成したブラシを使っています。クリエイティブ作業のほとんどをPhotoshopに写したのもこのブラシのプリセットが持つ威力のためで、今ではカンプから最終的な作品までのすべてのものを言わば一つ屋根の下で制作しています。これによって本当に物事が変わり、最終的な作品に実際に絵の具で描いた面を組み込むことが可能になりました。

石膏地の上に描き、それを写真に撮って作品の中で面として使用しています。これとカイルが作ったブラシにより伝統的な製作技法の雰囲気を作品に盛り込むことができ、またこのブラシが持つ伝統的メディアのルックアンドフィールは本当に気に入っています。Photoshopが持つパワーによって作業のスピードと生産性が高まり、また自然さや生き生きとした感じをできるだけ保ちながらさまざまな変更を容易に加えられるようになりました。Photoshop CCと(比較的最近使い始めた)Cintiqタブレットはすばらしく、紙の上に描くのに最も近い環境を再現できます。

Fandango向けに作成したスターウォーズ関連の作品についてもう少し教えてください。 作成していて最も楽しかったのはどのようなことですか?

Fandangoとはこれまでいくつか仕事をしてきており、今回はスターウォーズに関する制作を依頼されました。「エピソード1から今度の『スターウォーズ/フォースの覚醒(エピソード7)』まで、すべての映画を含む画像を制作してほしい」と言われました。喜んでやりますと答えましたが、半年の長期休暇でもない限り、どうやってそれを完成させようかと考えました。それぞれの映画からイメージを切り取り、それらをすべて結び付けるにはどうすれば良いかとしばらく悩みました。これはアイデアのひとつに過ぎませんでしたが、しかし私は肖像画が大好きなのです。私にとってスターウォーズとは宇宙の中の数々のキャラクターであり、最終的に選んだ方向もそれに沿ったものでした。

好きな映画を1つだけ挙げるとしたら?

難しい質問で、本当にたくさんの映画を見ており、何度も繰り返し見ているので、好きな映画を1つに絞ることはしたくないのですが、どうしてもと迫られるなら『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』です。この映画には飽きることがありません。私はスピルバーグの大ファンで彼の作品からは大きなインスピレーションを受けました。またインディ・ジョーンズ3部作のポスターキャンペーンには何度も驚かされました。

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(このブログは米国のPhotoshopブログ内容を意訳したものです)
https://blogs.adobe.com/photoshop/2015/12/the-force-is-awakened-in-paul-shippers-fan-art.html