消費者トレンドから学ぶ:複数のデバイスを使用する顧客へのマーケティング

消費者はデジタルデバイスが好きでたまらないようです。

ニールセンによると、米国人が所有するデジタルデバイスの数は2014年には平均4台でしたが、現在は平均7台だそうです。また、最新レポート「Adobe Digital Index (ADI)」によると、1人の消費者が平均3台のデバイスを日常的に使用しています。

消費者はデジタルデバイスが大好きですが、マーケターもその例に漏れません。しかしながら、デジタルデバイスにどのようにオファーが送られてくるのが望ましいかを冷静に見極めないと、データに惑わされてしまうことになります。
考えてみてください。デスクトップで製品を購入した後にスマートフォンを見たら、同じ製品がもっと安く売られていたという経験はありませんか? あるいは、オンラインで靴を買おうとしてサイズや色を選んだとします。しかし別のデバイスに切り替えて購入手続きを続けようとしたら、もう一度最初からサイズを入力し直さなければならなかったという経験はないでしょうか?

消費者はこういった、何回も同じことをさせられる状況を非常に嫌います。現代の消費者の要求はかつてないほど高まっています。マーケティングで消費者とのつながりを築きたいと思ったら、相手のルールに従って行動する必要があります。

ルール1:消費者は「今すぐ」欲しい

消費者が求めているのは結果だけです。この10年、消費者はデジタルデバイスを通じて大量のマーケティングメール、ディスプレイ広告、ポップアップ広告、プッシュ通知を浴びせられてきました。その結果、消費者はどこに連れて行かれるのかを素早く察知して追い詰められる前に手を打てるようになっただけでなく、消費行動が明らかに変化しました。

マイクロソフトの最近の調査によると、人間の集中力の平均持続時間は2013年に8秒と、2000年と比べて4秒も短くなりました。集中力の持続時間が短くなっていったこの10年間は、デジタル革命が進行した10年間と重なっているのです。そこから、オンラインオーディエンスを取り込むには明瞭かつ簡潔なマーケティングメッセージが不可欠であることがお分かりいただけるでしょう。

デジタル時代においても消費者の期待は高いままです。Googleという非の打ちどころのない検索ツールやFacebookの絶え間ないニュースフィードなどを通じてすぐにコンテンツにアクセスできることが、少なからぬ影響をもたらしています。消費者は、欲しいものを欲しい時に手に入れたいと望んでおり、その欲しい時とは常に「今すぐ」なのです。

ルール2:消費者はデバイス間を自由に行き来したい

平均的な消費者にとって、モバイルデバイスでカスタマイズされた体験をした後、手近のデスクトップを介して大画面に切り替えたときに、もう一度最初からやり直さなければならないのは非常に面倒なことです。自社のブランドにはあまり関係ないと思っている方は、ちょっと考えてみてください。最新のアドビ調査「Get Personal」(英語)によると、消費者のおよそ10人に8人(79%)とミレニアル世代の90%が、作業の途中で別のデバイスに切り替えたことがあると回答しています。そしてデバイス所有者の3分の2(66%)が、デバイス間でコンテンツが同期できないとイライラすると答えています。

今日の消費者が期待するのは、1つのデバイスで開始した作業をシームレスに別のデバイスに移行させ、そこで完了させるというパーソナライズされた体験です。デジタルデバイスでのタスクを別のデバイスに移行させた消費者を常に追跡できれば、ブランド企業はデバイス間のシームレスな体験の提供に着手できます。

例えば、新しい楽器が欲しいと思っているものの、オンラインで探すのは初めてというバスーン奏者がいるとしましょう。この奏者は自分にぴったりの楽器を探すため、世界的に有名なバスーン販売サイト(サイト名を仮に「ベータ・バスーン」とします)を訪問しようと考えます。スマートフォンで検索し、さまざまな種類、スタイル、色の楽器を検討していましたが、急な用事で検索を中断せざるを得なくなりました。

しばらくして、最初のスマートフォンではなく、デスクトップ、ノートパソコン、タブレットで検索を再開したとします。すべてを最初からやり直さなくてはならなかったら、面倒ではないでしょうか。前回検索を終えた時点から始めたいと思うはずです。もし「ベータ・バスーン」サイトが、個人を特定しないデータであったとしても、どのデバイスが同じユーザーによって所有されているかを自動的に把握できたなら、ログインや個人情報の入力をやり直さなくても、中断前の検索結果に近い内容を表示できます。この戦略は、ブランド企業とマーケティング対象となる消費者の両方にメリットを提供するでしょう。

ルール3:消費者はしつこいのが嫌い

ほとんどのマーケターは予算の制約だけでなく、一定以上の広告は消費者を疲れさせるという理由から、広告に歯止めをかけます。デジタルマーケターの圧倒的多数(93%)が自社のパーソナライズマーケティングを「効果的」だと評価していますが、そう思っている消費者は3分の2もいません(63%)。

スニーカーメーカーが新しいシリーズを売り込むとします。1人の顧客にディスプレイ広告を10回提供するのが適切だと考えました。しかし、モバイルデバイスで10回このディスプレイ広告を目にした後、さらにタブレットで10回、デスクトップで10回見せられたとしたら、この顧客はどう思うでしょうか。

特定のオーディエンスに対してその人が興味を持たない製品を表示し続けることは、広告費用の無駄になるばかりか、むしろブランドへの否定的な印象を植え付けてしまいます。押しつけがましいセールスマンが好きな人はいません。これが、デジタル時代の勝者となるにはすべてのデジタルデバイスで適切な人に適切なメッセージを届けることが不可欠である理由です。一方でデジタルマーケター10人のうち9人が、オンライン広告においてはデバイスが切り替わってもユーザーを追い続けることが効果的だと考えていましたが、それを実行しているのはわずか28%でした。

まとめ

デジタルデバイスの人気上昇に伴い、デバイスではなく人をターゲットにするマーケティングがますます重要になっています。本当に顧客とのつながりを築きたいなら、デバイス間を自由に行き来したいという消費者の要望に応えることを学ばなければなりません。

マーケターとしてパーソナライゼーションに力を入れるにより、顧客が「他社に乗り換える理由がない」と思い続けてくれることを望むでしょう。信頼性の高い体験を提供すれば、消費者はそれに応えてくれます。デバイス間でのシームレスな移行を可能にするデジタルマーケティング戦略を確立すれば、すべてのブランドが必要とする忠実な支持者を生み出すことができるでしょう。

詳細はアドビの「Get Personal」調査(英語)をご覧ください。

**Adobe Get Personal Infographic **from Adobe Marketing Cloud