アドビ、米国経済の3月のインフレ率を発表

Digital Price Index(DPI)の新カテゴリーとして、家電製品、おもちゃ、家具類、寝具類を追加し、米国経済のリアルタイムな分析を実施

※以下は、2016年4月14日に弊社米国本社から発表されたプレスリリースの抄訳です。

【2016年4月19日】

米国カリフォルニア州サンノゼ発:企業はこれまでにないスピードで技術革新を行い、新製品を投入し、消費者はオンラインでより多くの製品を購入しています。こうした状況に関わらず、既存のインフレレポートは、そうしたオンライン販売に関するデジタルデータ、リアルタイムの製品価格や製品の変更が反映されていませんでした。これを踏まえ、アドビは、精度の高い米国の景気動向分析を行うDigital Economy Projectの一環として、Digital Price Index(DPI)を毎月発表しています。DPIは、シカゴ大学ブースビジネススクール経済学教授でオバマ米大統領経済諮問委員会の元委員長であるオースタン グールズビー(Austan Goolsbee)氏と、スタンフォード大学経済学部教授であるピート クレノー(Pete Klenow)氏という2名の経済学者の協力を得て開発されました。

DPIによると、2015年2月から2016年2月にかけて、消費財カテゴリーのほとんどの製品価格が下落したことを示しています。テレビ、パソコン、家電製品、おもちゃ、家具類、寝具類の価格は2.5~20.3%下落しました。これに対し、米国労働省労働統計局(BLS)は、同カテゴリーの製品価格は、同期間で0.5~15.0%下落したとしています。一方、食料品について、DPIでは価格が0.8%上昇を示したのに対し、BLSでは0.3%の価格下落としています。2016年3月のおもちゃ価格は、前月2月と比べると、祝日のない月としてはここ2年間で最大の下落率(2.9%)となりました。

DPIは、オンラインで販売された約150万の製品に対するデジタルトランザクションを分析し、従来の情報源よりも高い精度でデジタルトランザクションを追跡します。例えば、BLSが集計する正式な消費者物価指数(CPI)は、消費者調査を行って、消費者が購入した製品カテゴリー別に実際の売上高を見積もっています。一方、DPIは、何百万もの製品を対象に実際に購入された数量のトランザクションデータを使用して、リアルタイムでデータを収集します。また、DPIに加えて、Digital Housing Index(DHI)は物件情報のオンライン検索数を測定し、Job Seeking Index(JSI)は求職情報のオンライン検索数の変動を計測します。

アドビのデータインサイト担当バイスプレジデントであるミッキー メリクル(Mickey Mericle)は次のように述べています。「DPIで、これまで測定できないとされていたリアルタイムの価格データを収集することができます。CPIは8万3,000の製品価格を対象としているのに対し、DPIは170万もの消費財の価格を集計できるのです。今日のデジタル時代において必要不可欠である、オンライン価格のトレンドを迅速かつ正確に把握できます。おもちゃ、家電製品、家具類のカテゴリーを新たに追加することで、DPIは米国経済の統合的かつリアルタイムのインフレ率にさらに近づくことができました。」

グールズビー教授は次のように述べています。「アドビのDPIにより、従来の統計が把握できなかった消費行動と何百万もの製品の価格変動について、リアルタイムのインサイトを得ることできます。エコノミストが求めているのは、実際の取引に基づいた正確なインフレデータであり、DPIがそれを実現しています。」

クレノー教授は次のように述べています。「従来のインフレ計測と比べて、DPIには、アドビの膨大なeコマースのデータをはじめとして、複数の優位性があります。3月にDPIの消費財カテゴリーが新たに追加されたことで、デジタルエコノミーの実態をより深く理解できます。対象カテゴリーはCPIに比べると狭いものの、CPIは数万品目を対象としているのに対し、DPIは各カテゴリーの何百万もの製品をカバーしています。アドビが提供するデータのほうが、各カテゴリーの製品をより詳細に分析しているといえるでしょう。」

DPIカテゴリー

DPIに新たに追加されたカテゴリー(家電製品、おもちゃ、家具類)の最新の小売価格月次分析は以下のとおりです。

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Job Seeking Index および Digital housing Index

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測定方法

アドビは、実際に支払った価格の情報と実際に販売した数量にリアルタイムでアクセスすることで、デジタル中心の分析を実施した初の企業です。米国の小売業者上位500社に対しオンライン経由で費やされる10ドルのうち7ドル50セントが、Adobe Marketing Cloudを介しています。1 DPIは、2015年2月から2016年3月にかけて、米国のWebサイトにアクセスした延べ40億人と170万の製品について集計した匿名データの分析に基づいています。

Adobe Digital Indexは、インフレの測定に実際の購入数を使用するフィッシャーの理想算式を採用しており、この方法はインフレ率算出する際の標準的な算式として著名な経済学者に認められています。フィッシャーの理想算式を使用するためには、十分なデータやタイムリーなデータが必要となるため、現在この方程式を採用している組織はアドビの他にありません。DPIは、フィッシャーの理想算式を採用することによって、製品の価格が急騰しても、オンラインショッピングを行う消費者がより安価な価格の競合製品や代用製品を見つけることを考慮に入れることができます。さらに、DPIは購入数量をリアルタイムで測定できるため、ブラックフライデーやサイバーマンデーなど、小売店が一斉に値下げを行う際の影響も正確に把握できます。

1 出典:Internet Retailer’s 2015 Top 500 eGuide (英語)

2 ウィキペディア

調査の詳細は、以下のURLおよびSlideshareをご覧ください。

Slideshare

ADI Economic Indicator Report(英語)

**ADI Economic Indicator Report **from Adobe

Adobe Marketing Cloud Japan Blog

アドビ、ビッグデータを活用して高精度な米国の景気動向分析を実現

https://blogs.adobe.com/adobemarketingcloudjapan/2016/03/22/adobe-digital-economy-project/

CMO.com

ADI: Without Holiday Boost, Toy Sales See Biggest Decline Since 2014(英語)

http://www.cmo.com/articles/2016/4/13/adi-consumers-rapidly-shifting-preferences-on-what-to-buy-online.html