アドビ、米国経済におけるデフレの兆候を報告
4月の消費財価格は下落傾向を示す
※以下は、2016年5 月18日に弊社米国本社から発表されたプレスリリースの抄訳です。
【2016年5月25日】
米国カリフォルニア州サンノゼ発:インフレ率は常に変動しており、オンラインショッピングの急増に大きく左右されます。しかしながら、従来の経済レポートでは、価格や数量の変動と実際の消費者行動をリアルタイムで把握できないため、小売業者の倒産やパソコン市場の軟調といった主要な市場の変化が及ぼす影響を迅速に測定することができません。それに対して、アドビが毎月発行するDigital Price Index(DPI)は、オンラインによる購入価格と数量をリアルタイムで測定します。DPIは、シカゴ大学ブースビジネススクール経済学教授でオバマ米大統領経済諮問委員会の元委員長であるオースタン グールズビー(Austan Goolsbee)氏と、スタンフォード大学経済学部教授であるピート クレノー(Pete Klenow)氏の2名の経済学者の協力を得て開発されました。
消費財価格に関するアドビの4月のレポートによれば、アドビが現在追跡しているカテゴリーのうちホテルを除いた全てにおいて前月比0.2~2.4%の物価下落となりました。ホテル料金のみ、1.6%の上昇となりました。テレビ、パソコン、航空運賃、家電製品、おもちゃ、家具類、寝具類、スポーツ用品の価格は、2015年3月~2016年3月に2.2~19.8%下落しました。これに対し、米国労働省労働統計局が発表する消費者物価指数(CPI)では、同カテゴリーの製品価格が同期間で1.1~16.6%下落しました。スポーツ用品については、2015年3月~2016年3月のDPIはCPIの3倍の下落率を示しています(DPI 4.7%に対してCPR 1.3%)。航空運賃の下落(前月比0.9%、2015年4月~2016年4月で4.6%)は、燃料費の下落による利益が消費者に還元されていることを示しています。
DPIカテゴリー
DPIは月次分析に、スポーツ用品、航空運賃、ホテルの3つのカテゴリーを新たに追加しました。最新の分析結果は以下のとおりです。
- **スポーツ用品:**4月のスポーツ用品の価格は前月比で7%の下落となりました。2016年3月のDPIは前年比4.7%の価格下落、CPIは同1.3%の価格下落となり、DPIはCPIの3倍の下落率を示しています。これは、先ごろ報告されたスポーツ用品小売業者の倒産に見られるように、デフレーションがいかに小売業に影響を及ぼすかを示唆しています。DPIのスポーツ用品データは、約30万の製品に基づいて算出されています。スポーツ用品には、ボール、グローブ、ユニフォームなどの小型の製品やアクセサリーのほか、トレッドミルやウェイトリフティング用器材などの大型の製品も含まれます。
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- **航空運賃:**4月の航空運賃は前月比で0.9%の下落となりました。2016年3月の航空運賃のDPIは前年比4.7%の価格下落、CPIは同1.4%の価格下落となり、DPIはCPIの3倍の下落率を示しています。米国内の都市で最も大幅な下落となったのは、フェニックス、ダラス、マイアミ、ロサンゼルスです。DPIの航空運賃データは、2015年3月~2016年4月の約37万件の飛行経路に基づいて算出されています。価格には関連諸費用も含まれています。
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- **ホテル:**4月のホテル料金は前月比で1.6%上昇しました。最も上昇率が高かったのは、ニューヨーク、シカゴ、ボストン、シアトル、サンフランシスコでした。一方、最も下落率が高かったのは、オーランド、マイアミ、フォートローダーデール、タンパです。2016年3月のDPIは前年比2.9%の価格上昇、CPIは同1.1%の価格上昇となりました。DPIのホテルデータは、約25万件のホテルに基づいて算出されており、関連諸費用を含んでいます。
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- **家電:**4月の家電の価格は前月比で1%の下落となりました。最も下落幅が大きかったのは冷蔵庫と洗濯機でした。2016年3月のDPIは前年比4.8%の価格下落、CPIは同3.2%の価格下落となりました。DPIの家電データは、約11万の製品のオンライントランザクションに基づいて算出されています。家電には、冷蔵庫、オーブン、洗濯機、乾燥機などの大型製品のほか、掃除機、ミキサー、ブレンダ―などの小型機器も含まれます。
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- **おもちゃ:**4月のおもちゃの価格は、前月比1.6%の下落となりました。2015年3月~2016年3月のDPIは5.3%の価格下落、CPIは同期間でより大幅な下落率(7.7%)となりました。DPIのデータは、約24万9,000のおもちゃのオンライントランザクションに基づいて算出されています。おもちゃには、ゲームや遊具類が含まれます。
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- **家具および寝具:**4月の家具および寝具の価格は前月比で0.5%の下落となり、最大の下落率を示したのはダイニングセットでした。2015年3月~2016年3月のDPIは2.2%の価格下落を示し、CPIの2倍の下落率となりました。DPIのデータは、約17万3,000の製品のオンライントランザクションに基づいて算出されています。家具および寝具には、室内および屋外家具、マットレス、シーツ、枕などの寝具が含まれます。
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- 電子機器:4月の電子製品の価格は前月比で1%の下落となり、パソコン、テレビおよびタブレットが最大の下落幅を示しました。CPIは電子機器全般の価格を集計していないものの、3月には前年比でテレビが16.6%、パソコンが7.2%の価格下落を示しました。一方で、DPIはより大幅な下落率となりました(テレビは19.8%、パソコンは13.6%)。DPIのデータは、100万におよぶ電子機器のオンライントランザクションに基づいて算出されています。
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- **食料品(自宅での消費):**4月の食料品の価格は前月比で0.2%下落し、特に肉、ジュース、ノンアルコール飲料の下落幅が最大となりました。3月のDPIは、前年比で0.5%の価格上昇を示しているのに対し、同月のCPIは0.5%の価格下落でした。DPIのデータは約19万5,000品目のオンライントランザクションのうち30~40%に基づいて算出されていますが、その多くはオンラインで購入し店頭で受け取られる食料品です。
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DPIは、150億回のWebサイト訪問回数と、オンラインで販売された220万の製品に対する何十億ものデジタルトランザクションを分析し、従来の情報源よりも高い精度でデジタルトランザクションを追跡します。一方CPIは、消費者調査を基に、消費者が購入した製品カテゴリー別に実際の売上高を概算しています。DPIは、何百万もの製品を対象とし、実際に購入された数量のトランザクションデータを使用して、リアルタイムでデータを収集します。全米で上位500社の小売業者のWebサイトにおける購入につき、10ドル中7ドル50セント分がAdobe Marketing Cloudを介して行われています。*
アドビのマーケティングおよびカスタマーインサイト担当バイスプレジデントであるミッキー メリクル(Mickey Mericle)は、次のように述べています。「ブランド企業による技術革新と新製品の発売が急速に進んでおり、消費者によるオンラインショッピングが増加しているため、オンライン価格の傾向を迅速かつ正確に特定するメカニズムが必要不可欠です。月次のDPIは、これに対応できる唯一の米国経済分析です。3回目のDPIレポートではさらに対象カテゴリーを増やし、2016年末までにCPIの80~90%をカバーし、全体的な物価上昇率の数値と併せて報告する予定です。」
測定方法
アドビは、実際に支払った価格の情報と実際に販売した数量にリアルタイムでアクセスすることで、デジタル中心の分析を実施した初の企業です。Adobe Digital Indexは、インフレの測定に実際の購入数を使用するフィッシャーの理想算式を採用しており、この方法はインフレ率算出する際の標準的な算式として著名な経済学者に認められています。フィッシャーの理想算式を使用するためには、各期間における個々の製品の購入数量を把握する必要があるため、現在この方程式を採用している組織はアドビ以外にありません。アドビの測定以前には、十分な規模での測定は不可能でした。
* 出典:Internet Retailer’s 2015 Top 500 eGuide (英語)
調査の詳細は以下のURLおよびSlideshareをご覧ください。
Slideshare
Adobe Digital Economy Project April Report(英語)
**Adobe Digital Price Index Reports Signs of Deflation in U.S. Economy **from Adobe
How hot shopping tips led to a new way to track the economy(英語)
Adobe Marketing Cloud Japan Blog
アドビ、ビッグデータを活用して高精度な米国の景気動向分析を実現
https://blogs.adobe.com/adobemarketingcloudjapan/2016/03/22/adobe-digital-economy-project/
Adobe Marketing Cloud Japan Blog
アドビ、米国経済の3月のインフレ率を発表