Adobe Stock Take 10 Challenge「Weightless(無重力)」入賞作品を発表

「Adobe Stock Take 10 Challenge」は四半期ごとに開催されているコンテストです。課題は、Adobe Stockの画像10点すべてを使用して(それ以外は使用不可)テーマに基づく作品を制作することです。2016年5月27日から6月8日まで開催されたコンテストでは、「Weightless(無重力)」をテーマとして作品を募集しました。

Take 10 Challenge審査員のジョシュア・デイヴィス氏は、「Weightless(無重力)」をテーマとする最優秀作品の画像について、「まるで絵の具をまき散らしたよう」と表現しました。この作品を制作したVictor Murilloさんは、Adobe Stockの同じ画像10点を使用したデイヴィス氏の作品と同じ解釈を取り入れていたのですが、そのことをデイヴィス氏は知りませんでした。Murilloさんは、「デイヴィス氏が画像を薄い生地や液体や絵の具に変えるのを見たとき、そのすべての動きから音楽が聞こえてきて、感動で衝撃を受けました」と語っています。デイヴィス氏の作品にインスパイアされたMurilloさんは、それに匹敵するほど感情を揺さぶる作品を作り上げました。

スペイン人アーティストであるMurilloさんは、制作に3D画像作成ソフトウェアMaxon Cinema 4Dを使用しました。「布や液体のようなもので抽象的な形をゼロから作り、それにAdobe Stockの画像でテクスチャを作成しました。心の中で特定の外観や構成を思い描いていたわけではありませんが、ライトなものからヘビーなものまでさまざまな要素を取り入れたいと思っていました。幅や高さを変更して目を引くようにし、いくつかのテクスチャを取り入れましたが、写真品質を維持するため、テクスチャには歪みを加えませんでした。」

次に、Murilloさんは作品をAdobe Photoshop CCに取り込みました。「Photoshopでは、色調を少し調整してから、コンテストで使用する残りの画像すべてに、映画で行うような最終レンダリングを行いました。そこで使用したのはPhotoshopの選択ツールとマスクです。また、すべての要素を統合してメリハリを出すために、マットペイントを施しました。」

最優秀作品賞に選ばれたMurilloさんにはiPad ProとApple Pencilのほか、(他の9名の入賞者と同様に)Adobe Creative CloudおよびAdobe Stockの1年間のサブスクリプションが贈呈されます。

Hanene Bouachourさんは、BehanceではH2B2というユーザー名を使用しているフランス人グラフィックデザイナーです。Bouachourさんは、Photoshopで作品を制作しました。最初に行ったのは、Adobe Stockの画像10点を細部まで把握することでした。「どの画像にも、色、形、一貫性から来る感情や印象があります。まず、ストーリーの出発点となる画像に取りかかり、そこからストーリーを発展させました」と語るBouachourさんは、本能の赴くままに作品を構成したといいます。「主に使用したのは、Photoshopのレイヤーマスクとさまざまなレイヤーモードです。すべての画像を1つの画像に融合させたいと思いました。また、水中の幾何学的な形状とは対照的に、空中に浮く分子のエレメントを追加することで、水の外の無重力感を表現したかったのです。」

Juan de Dios Leon Iturbeさんは、メキシコ在住のアートディレクターです。デイヴィス氏は、水の上に氷山が浮かぶこの作品の「無重力感」が非常に素晴らしいと評し、「誰かのアルバムのジャケットにでもなっていなければ、この作品には出会えなかったでしょう」と語っています。この作品の構成にはPhotoshopが使用されています。作成過程はメイキング動画でご覧ください。

Jo Hucekさんは入賞作品の中でも大変ユニークなアプローチを採用しています。デイヴィス氏は、「この作品のパーツはガラスの球体のようです。重さを感じさせるものもあれば、繊細に感じられるものもあります。ストック画像がそれぞれ宙に浮くように孤立させる方法は、課題を革新的に解釈していて、私のアプローチとは180度違っています」と作品のクオリティの高さを称賛しています。Hucekさんはオーストリア在住で、短編フィルム数作品でカメラマンを務めています。

Guiillame_Moi

Guillaume Moiさんの華やかな作品には紙細工のような装いがあります。それをPhotoshopで実現させたMoiさんは、「とても簡単でした。それぞれの形はペンツールで描き、コンテストで提供されるリソースはクリッピングマスクで組み込みました。それから、陰影を出すためにカーブレイヤーをいくつか追加し、それぞれのエレメントの奥行きを感じられるように色を調整しました。最後に、1つのリソースをオーバーレイモードで組み込み、見る人に紙のような印象を与える不透明さを少し加えて、調整レイヤーで仕上げました」と語っています。グラフィックデザイナーでありレタッチャーでもあるMoiさんは、フランスを拠点に活動しています。

Birgit_Palma

Birgit Palmaさんの入賞作品についてデイヴィス氏は、「この作品からはひんやりとした感覚が伝わってきますね」と述べています。PalmaさんもPhotoshopを使用しました。この作品の特徴は、ソフトウェアの高度なテクノロジーに過度に依存せず、コンセプトを中心に据えていることです。つまり、Adobe Stock画像で作成された水中の氷山こそが、実際に航海する船なのです。Palmaさんは、水に浮かんでいるものの見た目が水中と水上で違っていることに常に関心があったといい、「頭が沈んだ状態で航海する船の、光の幻影を表現しようと思いました」と語っています。作成過程のスケッチは、BehanceのPalmaさんのページをご覧ください。Palmaさんは、スペインでイラストとフォントタイプのデザインスタジオを経営しています。

Alejandro_Perez

この幾何学的な作品は石から削り出されたかのように見えますが、Alejandro Pérezさんは、尖った周縁をソフトな色彩で描き、バランスを保っています。現在メキシコでデジタルアニメーションを学んでいるPérezさんは、次のように話しています。「まず、基本的な形をPhotoshopに配置しました。全体から始めて個々のエレメントの作業に移っていく方法を気に入っています。クリッピングマスクで形にテクスチャを追加します。それから、上下にある白い枠や小さな円のようなエレメントを追加します。仕上げに作品の色調を整えるのが好きです。それが私のスタイルの特徴になっていると思います。」

Alex_Plesovkich

ドイツのAlex Plesovskichさんは、入賞作品でPhotoshopとAdobe Illustrator CCを使用しました。Plesovskichさんのコンセプトは、相反するエレメントです。つまり、重みのあるエレメントは色が暗く、周縁がギザギザでバラバラです。一方、無重力のエレメントは明るく流れるようで、大半はまとまりのあるユニットです。Plesovskichさんは、180度回転させても成立するように画像を構成しています。作品制作の様子は1分42秒の動画をご覧ください。

Loren_Seel

デイヴィス氏は、Loren Seelさんの入賞作品が持つ「1980代の幾何学的な雰囲気」に惹かれました。デイヴィス氏は次のように語っています。「私は80年代の人間です。当時私たちは、Trapper Keeperというバインダーに宿題を入れていました。この作品がTrapper Keeperのデザインだったら、私は真っ先にこれを選んでいたでしょうね。これは褒め言葉ですよ。入賞作品の発表の時にSeelさんの経歴を確認できなかったのですが、アメリカの若い女子学生かなと思っています。もしそうなら、80年代のテイストをどこで知ったのか聞いてみたいですね!」

Aaron_Winneroski

米国のAaron Winneroskiさんはまだ大学生です。大のPhotoshopファンであり、この入賞作品でも使用しています。Winneroskiさんは、「10点の画像をミキサーにかけて、虹を1つ2つ加えてからキャンバスに注いだような仕上がりにしたいと思いました。この作品にはレイヤーを何度も重ねました。300回は重ねた気がします。オーバーレイとマスクもたくさん使いました。複数のレイヤーをオーバーレイし、組み合わせ、新しくできたものをマスクとして使用しました」と話しています。デイヴィス氏は、「何度も重ねると、時として膨大なエネルギーが生まれるのです」と語っています。

「Weightless(無重力)」をテーマとする課題に入賞された10名の皆さま、おめでとうございます。その他の作品はBehanceでご覧ください。また、次回のAdobe Stockコンテストについては、Adobe Create Magazineをご確認ください。

Adobe Creative Cloud ブログ、The Community Winners of the Take 10: Weightless Challenge の翻訳を掲載。
原文執筆:Terri Stone