Behind the Image — Adobe Stock Premium CollectionのコントリビューターJen Huang氏、二重露光で優美な画像を制作

芸術写真家であるJen Huang氏がコントリビューターとしてAdobe StockのPremium Collectionに作品を提供しています。フィルム撮影の制作プロセスに新たな手法を取り入れているHuang氏の作品から、フィルムを使った二重露光のプロのテクニックを学びましょう。

芸術写真家であるJen Huang氏の画像は、夢の中にいるようなイメージで、見る人を幻想の世界へと誘います。こうした世界観は、緻密なスタイリングと構図によるものです。Huang氏の作品ジャンルは、ウェディング、婚約、家族写真、コマーシャルなど多岐にわたります。Adobe StockのPremium Collectionへの作品提供を記念して彼女にインタビューを行い、フィルム撮影に二重露光という手法を採用し、ウェディングフォトを本格的かつオリジナリティの高い作品に仕上げる手法について語ってもらいました。

フィルムにこだわる理由は何ですか?

フィルムを使うと、ナチュラルかつ本格的でありながら、非現実的な仕上がりになるになるためです。ポジティブな視点で世界を捉えることができ、すべてがパステル調で明るくきれいな世界に写し出される一方で、ダークで物憂げな印象も持ち合わせています。

フィルムで撮影すると、デジタルよりも、テーマ、構図、光に集中することができます。撮影のたびにカメラで画像をチェックするという束縛から解放されます。その代わり、十分な準備が必要です。まず頭の中でどのように撮影するかを考え、その場で画像を確認する代わりに、どのようなイメージを作り出すかを把握している必要があります。

作品で追求しているテーマについて教えてください。

クライアントの方々は私の写真を絵画のようだとおっしゃっており、私もそう思っています。画家は長い時間をかけて何を描くか考え、完璧な世界を作り上げようとします。同時に画家は、世界が移ろいやすく流動的であることも理解しています。すべてのディテールをコントロールできるわけではないのです。作品に息を吹き込む必要があります。私はどんなプロジェクトでもスタイリストの視点で撮影するよう心掛けていて、撮影現場では細い点まですべて自分でチェックし、完璧な瞬間が訪れるのを待ちます。


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この画像はどのように生まれたのでしょうか?

同じことばかりしていると枠にとらわれてしまい成長できません。私が仕事で心掛けているのは、撮影のたびに新しいことに挑戦するということです。この作品では二重露光を採用しました。二重露光は時間がかかるだけでなく、2つの連続したイメージを記憶する必要があります。これは簡単なことではなく、事前のプランが必要です。フレームが2つあるため、1人の人物あるいは1組のカップルについてより多くを語ることができます。時間がかかる分、撮影の枚数は少なくなります。最終的に2つの画像を組み合わせます。

この作品で求めていたのは、「私の顔、ヘアスタイル、メークを見て」と主張するものではなく、その人の美しさを物語るディテールでした。美しさをそのまま撮影しながら、別の要素も取り入れました。カールした髪を少し見せることで、手、首、肩が柔らかく優しい感じになりました。こうしてソフトに美しさを語るのが私の手法です。撮影前にはブレインストーミングをします。今までにない、より良い、間接的なやり方で、どのようにストーリーを語るかを考えるのです。この画像は、美しい腕とその動き、モデルの横顔という2つのアイデアを組み合わせました。2つのアイデアを一緒にすることで、幽玄な美しさが生まれました。

二重露光を試してみたいフォトグラファーにアドバイスをお願いします。

この作品は、フィルムを使って二重露光で撮影しました。二重露光では2つの画像を同一ネガ上に組み合わせます。最初に撮影した画像の方が強いイメージになりますが、この写真では手を先に撮影しました。手を強調し、背景のモデルは残像のような感じにしました。

モデルの女性がかすんで見えるのは、背景に真っ白な壁を使ったためです。髪が手首と重なることで、ちょっとした美しい模様ができ、まるでブレスレットのように見えます。モデルも白い服を着ています。白いスペースが多く、光に満ちていることで、夢の中のようなぼんやりとしたイメージになっています。背景を黒い壁などにすると乱雑な感じになり、霞の中にいるような印象にはなりません。

テクニックについてですが、フィルムで二重露光を採用する際は、2つの写真を1つに構成するだけでなく、フレームごとの露光を正確に計算してください。露光をぴったり1/60秒にするのであれば、各画像の光量は半分にします。つまり、2つの画像を組み合わせる場合、2枚とも1/120秒で撮影し、露出時間の合計を1/60秒にしなければなりません。

フルタイムのプロフェッショナルフォトグラファーになった経緯を教えてください。

私の父は生涯、中判カメラを愛用していたため、いつも身近にカメラ機材がありました。しかし写真家になるまで、自分がこの仕事をするとは思いもしませんでした。現像と写真撮影を学び、大学ではアートとコミュニケーションを専攻しました。卒業後はジェイ・ウォルター・トンプソンに入社し、デビアスの広告を担当しました。デビアスはダイヤモンドを販売する世界最高ブランドの一つです。デビアスがいかにブランドを確立し、高級品のマーケティングを行っているかを目の当たりにしました。現在の私のキャリアに直結する、大変興味深い仕事で、マーケティングとブランディングの知識を得ることができました。写真の仕事を始めると同時に、有名なウェディングブログ「Style Me Pretty」への作品提供を始めました。このブログと共に成長することができ、とても感謝しています。もし「Style Me Pretty」がなかったら、私の名前がこれだけ早く知られることはなかったでしょう。

Huang氏の作品は、新しく提供を開始したAdobe StockのPremium Collectionのコントリビューターページでご覧いただけます。

この記事は英語版ブログ Behind the Image: Creating Ethereal Double Exposures with Adobe Stock Premium Collection Contributor Jen Huang の抄訳です。