エクスペリエンスデザインの基礎知識:マイクロインタラクションのユーザー体験への大きな影響

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エクスペリエンスデザインの基礎知識

良い製品は、2つの点で優れています。ひとつは機能、もうひとつは細部です。機能は人々を製品に引き寄せて、細部はその人々を製品に留める力になります。マイクロインタラクションはそうした細部の一部です。製品とのインタラクションを滑らかにする細部であり、これが欠けるとユーザーのフラストレーションや製品への不満につながります。

マイクロインタラクションの本質

基本的に、マイクロインタラクションとは、製品に含まれる何らかの小さなタスクを行う個々の瞬間のことです。それはごくわずかな瞬間で、普段特に意識することはないでしょう。しかし、携帯を消音に切り替えるとき、画面に表示されたアイテムをランク付けするとき、音楽を再生するとき、実際はマイクロインタラクションに触れているのです。鳴り響くスマートフォンのアラームを止めるマイクロインタラクションが、一日の朝の始まりになる日だってあることでしょう。

マイクロインタラクションはコンピュータだけでなく、どこにでも存在します。モバイルデバイスの他にも、家にある家電製品にも見つけることができますし、我々が暮らす環境の中にも組み込まれています。

Dan Saffer氏は「マイクロインタラクション」という書籍で、こうした一瞬のデザインされた瞬間が、以下のような本質的な役割を主に果たすと記述しています。

ここでマイクロインタラクションの具体的な例を挙げてみましょう。

電源オン/オフ切り替えスイッチは、しばしば製品の使用時に最初に出会うマイクロインタラクションです。
電源オン/オフ切り替えスイッチ

iPhoneのミュートスイッチは、複数の状況を通じてフィードバックを提供します – スイッチからの触覚、デバイスの振動、ディスプレイに表示されるアイコン。
iPhoneのミュートスイッチ
画像著作権: Smart Design

下のソーシャルネットワークの”いいね”ボタンは、インタラクティブなアニメーションを使って変化を強調しています。ここでのフィードバックは、ユーザーに対して、この記事が気に入った人々のリストに加わったことを通知するものです。

micro3
画像著作権: Dribbble

マイクロインタラクションの4つの構成要素

Dan Saffer氏によれば、全てのマイクロインタラクションは4つの要素から構成されると考えられます。

イクロインタラクションの4つの要素

  1. **トリガー(Trigger)
    **マイクロインタラクションを起動
  2. **ルール(Rules)
    **何が起きるかを決定 – イベントの順序を決めることでマイクロインタラクションの流れをつくる
  3. **フィードバック(Feedback)
    **何が起きているかを知らせる – ルールは不可視なためユーザーはそれらをフィードバックを通じて理解する
  4. ループとモード(Loops and Modes)
    ループは、マイクロインタラクションを繰り返す回数や経過に応じた変化を定義
    モードは、稀に発生する重要なアクションに対して、それ無しではマイクロインタラクションの流れが混乱しかねない時のみ使用すべきマイクロインタラクションの上位のルール

なぜマイクロインタラクションは有効なのか?

この質問に答えようとすると、ユーザーを主要な焦点に位置づける人間中心設計の考え方へと辿り着くことでしょう。このアプローチを取ることは、ユーザーの期待、必要性、振る舞いに応えることであり、そこにマイクロインタラクションの出番があります。インタラクティブなアニメーションへのこだわりは、ユーザーインターフェースをより魅力的にします。

製品を使うユーザーがどのように感じるかはデザインを考える上で重要なポイントです。もし、マイクロインタラクションが楽しく、人間的で、かつ効果的であるならば、ユーザーエクスペリエンスを向上させて、インターフェースをいきいきとしたものにすることでしょう。

結論

今日の世界で、ユーザーは日々様々な体験をしています。その中のひとつが特別な体験になるかどうかはインタラクションにかかっています。エクスペリエンスデザインにおいて、マイクロインタラクションは細心の注意を払うべき大事な鍵です。もし、ユーザーの日々のインタラクションの中に、小さなしかし楽しい瞬間をつくる技術を習得できたなら、ポジティブで持続的な印象を残すことができるようになるでしょう。

次の記事では、モバイルアプリで役立つマイクロインタラクションのテクニックを紹介し、いくつかの優れた例を詳細に解説します。

この記事はXD Essentials: Microinteractions and Their Macro Effect on User Experience(著者:Nick Babich)の抄訳です。