情報サイトUNITEの人気記事からトレンドを分析

アドビのオウンドメディア「UNITE」

企業自らがメディア企業のように情報サイトを運営し、ストーリーテリングを行う取り組み「コンテンツマーケティング」が注目を集めています。コンテンツマーケティングという概念そのものの歴史は長く、一説にはそのルーツを100年、200年前まで辿れるとも言われています。それはともかく、コンテンツマーケティングへの注目が高まっている背景には、デジタルメディアの普及と効果が間違いなく影響しています。

さて、マーケティング領域のトピックを扱ったコンテンツマーケティング事例として、アドビ本社が運営しているサイト「CMO.com」があるのをご存知でしょうか。

複雑で変化の激しいデジタルマーケティングやデジタルビジネスのトレンドを判りやすく解説するサイトとして、英語圏では企業のマーケティングリーダーから注目を集めていました。なかなか取り付きにくいデジタルに関する情報を理解するため、CMO.comを日本でも展開して欲しい、また、日本市場に沿った独自の切り口でトレンドをつかみたいご要望は、多くの企業のマーケターやビジネスリーダーからいただいています。そこで2016年3月、アドビは自社サイト内にオウンドメディアとして情報サイト「UNITE」を立ち上げました。

このサイト立ち上げから、早くも4ヶ月が経過しました。ここで、人気記事ランキングをご紹介したいと思います。ここから、様々なトレンドが見えてくることでしょう。

人気ランキング、まずは10~6位

期間中の記事アクセス数から見た人気記事ランキング、まずは10~6位です。

10位

結果を出しているB2B企業の「顧客体験」は何が違うのか

9位

企業変革の第三の波、エクスペリエンス ビジネスの時代とは (Adobe Summit 2016 キーノート講演1)

8位

デジタルマーケティングを成功に導くために、まず始めるべき組織作り「L3PS」とは?

7位

「優れた顧客体験」の提供に不可欠な、デジタルマーケティングのためのクラウド基盤

6位

インバウンド、爆買い…日本の旅行業界だからこそ外国人観光客に提供できる「おもてなし」とは

企業の抱える様々な課題を分類したとき、業種や業態に特有な課題、業界横断して共通する課題に大別することができます。この観点からランキングを見ると、業種固有の記事が2つ、業界共通の記事が3つとなりました。

10位は「B2B」企業の記事でした。
B2Bには実際には様々な業界があてはまりますが、日本の産業構造に占めるもっとも大きい分類では「製造業」が該当します。製造元と卸企業、製造元と関係会社など、日本の産業構造の根幹を握る企業間取引です。B2Bは、「長期的な企業間関係に基づいた御用聞き」「関係性と営業力」が強みを発揮すると考えられてきた業態ではないでしょうか。「デマンドマーケティング」「リードナーチャリング」「アカウントベースドマーケティング」など欧米の新しいB2B概念を取り入れ始めた企業もありますが、大多数は検討中といったところでしょう。ところがグローバル化や取引の流動化、新規開拓ニーズの増加などにより、企業間取引にもマーケティング発想が重要となってきています。

6位は旅行業界、観光業界、娯楽業界などを対象とした記事でした。
デジタルとの親和性が高いこの業界では、様々な先行事例が見られる一方で、取り組むべき価値のある領域も多く存在する業態と言えるでしょう。また官民挙げたキーワードとなっている「インバウンド需要」という切り口は、その他の業界にも波及するトピックとも言えます。

業界横断の記事を見ていくと、「組織作り」「企業変革、エクスペリエンス ビジネス」「顧客体験」「モバイル」といったキーワードが注目されている様子が判ります。いま起きている急激な社会環境や消費者環境の変化を表すキーワードとして、デジタル時代、モバイル時代、SoLoMoなど さまざまな言葉がありますが、そうした時代の変化に対し、企業はどうキャッチアップしていくべきなのか、という観点で注目されたのでしょう。

注目のトップ5

次に、トップ5を詳しく見ていきましょう。

5位

時代遅れのモバイル アーキテクトにならないための、3つの注意点

私たちの生活の中にモバイルデバイスはあっという間に浸透しましたが、このトレンドの重要な点は、消費者が情報接触する手段が増えた、変わったというだけに留まらず、消費者の行動特性そのものを不可逆的に変えたということです。その行動特性について、この記事では重要な3つの要素に整理しています。モバイル時代を表層的な現象としてではなく、消費者と企業をつなぐ新たな価値観として捉えたとき、新たなビジネスチャンスが見えてくるでしょう。

4位

コンテクストはパーソナライゼーションの鍵

「コンテクスト」とは日本語で「文脈」と訳されますが、文字通りの意味ではなく、ここでは、「消費者を取り巻くその時々の状況」といったような意味合いで使われています。私たち現代を生きる消費者の生活は慌ただしいもので、テレビや新聞、電話のような昔からあるものから、タブレット、スマートテレビ、サイネージ、銀行やコンビニなどのキオスク端末、IoTウェアラブルデバイスまで、あらゆる場面に情報があふれています。そうした情報接点で、例えば毎回会員サインアップを求められたら、消費者は面倒になって離れてゆくでしょう。
一方、あからさまな追跡も関心しません。2002年に公開されたハリウッド映画『マイノリティ・リポート』の世界では、主人公の行く先々でデバイスが名前を呼びかける場面があり、気味の悪い描写でしたが、それに近い状況が現実化しつつあるのが現代です。
企業としては、様々な顧客接点を活用しつつ、「気味悪い」ではなく「面倒なことが省かれて便利」「心地よい」と感じさせる、ちょうどよい対応が求められています。この「パーソナライゼーション」は、様々な観点からつねに検討すべき、奥深いトピックでしょう。

3位

2016年、押さえておくべき5つのモバイルトレンド

年が改まると「今年のトレンドは何か」という話題が各所にあふれます。この記事も、もともとは北米で開催されたあるモバイルに関するイベントで見いだされたトピックをまとめたものでした。
とはいえトレンドというのは一瞬で盛り上げるものもあれば、様々な変化要因の積み重ねによって現象の規模や影響が持続するものもあります。モバイルは、まちがいなく後者に属するトピックと言えるでしょう。
それを反映してか、2016年も後半に入ったいまでも、コンスタントに閲覧されている記事となっています。

2位

パナソニックの「グローカル化」から学ぶ、多様化するニーズに応える顧客体験の実現

ランキングの2位に輝いたのは、アドビ主催で4月27日開催した中規模イベント『Adobe Marketing Cloud Customer Experience Forum 2016』におけるお客様講演から、パナソニック様にご登壇いただいた内容をまとめた記事でした。
「カスタマーエクスペリエンス」「CX」「顧客体験」というキーワードは新しいものではありません。しかし近年とみに注目されているのも事実です。どの企業にも必ず顧客がおり、企業と顧客が何らかのやり取りを行うとそこには必ず「体験」が提供され、受け取られる瞬間があります。そして、その良し悪しは消費者の主観に依存するため、とても可視化しづらいものの、消費者がその企業から購入するかどうか、取引を継続するかどうかに、決定的な効果を及ぼします。エクスペリエンスこそビジネスの本質という訳です。
ただ、優れた顧客体験の提供、という抽象的な目標を達成するのは容易ではありません。ましてそれを全社単位、本社と支店、あるいは国内と海外といった地理的や文化的な隔たりを超えて実現するのは、何らかの仕組みと仕掛けがない限り不可能です。
だからこそ、それを成し遂げたこの事例記事に注目が集まるのでしょう。

1位

コミュニケーションロスが売上損失に直結。 アドビ「消費者行動調査2016」に見るデジタル時代の消費者意識とは

多数の記事を掲載しているUNITEの中でもダントツの1位となったのは、アドビが実施した国内調査の結果を解説した記事でした。
この「消費者行動調査」は、アドビが日経BPコンサルティングに委託して実施し、国内の一般消費者1,000人に対するアンケートから導き出された、「消費者行動のいま」が判るものです。インターネットが登場し、普及し始めた2000年前後、「情報爆発」「メディア社会の到来」などと言われました。それにもまして、スマートフォンが爆発的に普及したこの5年ほどは、さらなる大きな社会変化が起こった激動の時代ではないでしょうか。かつてのマスメディア全盛世代から、モバイルやソーシャルの時代へという変動を経て、消費者と企業とのコミュニケーションの関係も劇的に変わったと想定されます。この調査は、その実態を定量的に捉えています。
デジタル時代という市場環境の変化に、自社が対応するための戦略を経営陣へ提案する際に、その戦略を裏付ける定量情報としてこの調査結果を活用されたマーケターの方々もいらっしゃると伺っています。自社の置かれた環境を見つめ直すためのリファレンスとして、この記事をお役立ていただければと思います。

じっくり見られた記事トップ5

最後に、閲覧数ランキングとは別に、訪問者の「滞在時間」が最も長かった、つまりじっくり閲覧された記事ランキングのトップ3をご紹介します。

3位

2016年、マーケティングの単位は「デバイス」から「人」になる

これは、デジタルマーケティング先進企業の方々の間では大変注目を集めている「デバイスグラフ」というトピックを扱った記事です。自宅ではPCやタブレット、移動中はスマートフォンと、消費者が様々なデバイスを使い分けるようになった今、それらのデバイスから企業サイトなどへの訪問を「別々のオンラインユーザー」とみなすのではなく、同一の人物と認識することができたら…という夢のようなテクノロジーと、その可能性について解説しています。

2位

コンテンツ創出を加速せよ:消費者に届ける体験を最適化するために、企業がすぐできること

英語の表現で「one size fits all」というものがあります。服などの「フリーサイズ」などで使われます。従来までのwebサイトもまさにこれで、万人に対して同じ静的コンテンツを見せるだけでした。ところが一人ひとりのニーズが多様化し、それに応じた動的サイトを実現しようとすると、動的にコンテンツを出し分ける仕組みだけでなく、出し分けるべきコンテンツも膨大に準備しなければなりません。そうした課題の背景と、膨大なコンテンツをすばやく生み出すための解決策について、解説した記事です。

1位

海外の小売企業のマーケティング事例に学ぶ、最適な顧客体験とは?

どの企業もそれぞれに独自の事業環境、商品やサービス、人材、風土を備えています。一方、市場環境というものは基本的に共通です。となると、他社が行っている市場戦略や施策をそっくり真似るのではなく、自社にもっともあったやり方で市場と向き合わなければなりません。ただ、市場というものを各社がどう理解し、どのようなアプローチを取っているのかは、ベンチマークとして大変参考になることがあります。この記事は海外の小売企業各社それぞれの市場対応のアプローチを取り上げています。その過程で、5つの課題を共通する軸として取り出し、個別の事情から普遍的な方向性を整理しています。

週2回の最新情報

情報サイトUNITEは、週2回のペースで新着記事を公開しています。ぜひみなさんのお気に入りのトピックを探してみてください。

また、こんなトピックが気になる、こういう記事を読んでみたいというアイデアを、こちらからお知らせいただけますと幸いです。今後のメディア企画に活かしていきたいと思います。

デジタル時代のマーケティング変革リーダーのために 「UNITE」
https://www.adobe.com/jp/information/unite.html?promoid=YB1TGRKQ&mv=other

参考情報: