アドビのDigital Price Index、米国経済が6月も引き続きデフレ傾向にあることを示唆
英国のEU離脱が英国への旅行料金に影響。食料品など必需品の価格の下落率は非必需品より低い傾向
※以下は、2016年7月14日に弊社米国本社から発表されたプレスリリースの抄訳です。
【2016年7月20日】
米国カリフォルニア州サンノゼ発:アドビは、6月のDigital Price Index(DPI)を発表しました。毎月発行しているこのレポートは今回で5回目の発行となります。今回のレポートでは、英国のEU離脱が同国への旅行料金に及ぼした影響が明らかになり、ロンドン行き航空運賃とホテル料金が他都市と比べると大幅に下落したことが判明しました。また今回のレポートから、市販の一般用医薬品(非処方、OTC医薬品)と医療機器/医療用品に関するデータを初めて取り入れたところ、一般用医薬品の価格が前月比でわずかに上昇したことが判明しました。DPIはビッグデータを活用することでより正確かつ詳細に米国のインフレ率を測定し、従来の経済レポートでは把握できないデータを提供しています。
DPIでは、150億回のWebサイト訪問回数と、オンラインで販売された220万以上の製品に対するデジタルトランザクションを分析しています。6月のレポートは、追跡している製品とサービスの大半が引き続きデフレ傾向にあることを示しています。食料品や医療用品などの必需品の価格の下落率は、電子機器やスポーツ用品などの非必需品の下落率よりも大幅に低くなりました。5月から6月にかけて、タブレット、テレビ、家電製品の価格のデフレ傾向が最も大きく、最大3.5%の下落率となりましたが、一般用医薬品、国際航空運賃、おもちゃは、最大2.5%のインフレ傾向にあることを示しました。一般用医薬品の価格は、前月比0.5%の上昇、医療機器・医療用品の価格は0.2%の下落となりました。さらに6月のデータでは、オンラインで購入された食料品のうち16%は新発売の製品であり、オンラインで購入された電子機器では平均80%が新製品であったことが分かりました。
アドビのマーケティングおよびカスタマーインサイト担当バイスプレジデントであるミッキー メリクル(Mickey Mericle)は、次のように述べています。「国際航空運賃は5月から6月にかけて価格が上昇した数少ないカテゴリーの一つですが、ロンドン行き航空運賃は8.5%下落、ホテル料金は3.0%の下落となりました。燃料費の下落に加え、最近の英国ポンド安が英国への旅行料金下落の主因と考えられます。」(DPIでは旅行料金をドル建てで算出しています。)
DPIは、全米で上位500社の小売業者のWebサイトにおける購入につき、10ドル中7ドル50セント分を追跡しており* 、何十億件ものデジタルトランザクションの分析が可能です。アドビは、実際に支払われた価格と実際に販売された数量のリアルタイムな情報をベースに、他社に先駆けてデジタル中心の分析を行っています。DPIは、他の手法と異なり、インフレ率の測定に実際の購入数を使用するフィッシャーの理想算式を採用しており、著名な経済学者にもインフレ率算出の標準的な算式として認められています。一方、米国労働省労働統計局の消費者物価指数(CPI)は、消費者調査に基づき製品カテゴリー別に実際の売上高を概算しており、追跡する製品は8万7,000点にとどまっています。
スタンフォード大学経済学部の教授であるピート クレノー(Pete Klenow)氏は、次のように述べています。「DPIはインフレ率を高い精度で測定することができ、実際にDPIの標準誤差は平均してCPIの3分の1となっています。ビッグデータは今後、経済レポートの開発と分析において重要な役割を果たすと考えられ、何十億ものデジタルトランザクションにアクセスできるアドビに優位性があるのは明らかです。」
シカゴ大学ブースビジネススクールの経済学教授であり、オバマ大統領経済諮問委員会の元委員長であるオースタン グールズビー(Austan Goolsbee)氏は、次のように述べています。「アドビのデータは、必需品は非必需品に比べて価格下落率が低いことを示しています。その原因にもよりますが、今後消費者が必需品に充てる家計の割合が高まるか、消費者の需要パターンが大きく変化する可能性もあります。製造業者が消費者の需要にどのように応えるか注視する必要があるでしょう。」
カテゴリー別DPI
最新の分析結果は以下のとおりです。
- 航空運賃:6月の航空運賃は前月比0.4%の上昇となりました。フロリダ州発着の航空運賃価格の上昇幅が最も大きく、ワシントン州、テネシー州、オレゴン州の航空運賃は下落しました。国際便の運賃は全般的に前月比2.5%の上昇となりましたが、ロンドン行きの航空運賃だけは前月比8.5%の下落、前年比12.1%の下落となりました。DPIのデータは、約370の航空路線を対象としています。
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- ホテル:国内のホテル料金は前年比0.8%の上昇となりました。ネバダ州、テネシー州、コロラド州、カリフォルニア州のホテル料金が価格の上昇を牽引しました。5月のDPIは前月比0.7%の上昇を示していますが、CPIは3.5%の上昇としています。ロンドンのホテル料金は前月比3.0%の下落となりました。DPIのデータは、約25万軒のホテルを対象としており、宿泊関連諸費用も含まれています。
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- 一般用医薬品:一般用医薬品の価格は前年比0.3%の上昇と微増、特に価格帯が10~15ドルの一般用医薬品の上昇率が最も高くなりました。5月のDPIは前月比0.8%の下落を示していますが、CPIは0.3%の上昇としています。DPIのデータは、1万6,000製品のトランザクションを対象としています。
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- 医療機器/医療用品:補助具および回復期用機器、包帯、応急処置用品などの医療機器・医療用品の6月の価格は、前年比0.6%の下落となりました。価格帯が135ドル以上の製品が下落を牽引する一方、0~10ドルの価格帯の製品では概ね価格が上昇しました。前年比の価格上昇率が最大だったのは糖尿病専用の用品・機器で、2.4%の上昇となりました。5月のDPIは1.3%の下落を示していますが、CPIは0.7%の上昇としています。DPIのデータは、6,000の製品のトランザクションを対象としています。
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- スポーツ用品:6月のスポーツ用品の価格は、前月比0.6%の下落となりました。DPIでは価格帯が40~100ドルの製品の価格が前年比5.1%の下落となっており、スポーツ用品全体の下落傾向を牽引しました。5月のDPIは前月比5.2%の下落を示す一方、CPIは0.3%の上昇としており、両者のデータは大きく異なっています。DPIのデータは、約30万の製品のトランザクションを対象としています。
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- 電子機器:電子機器の価格は前年比10.5%(前月比1.8%)の下落となり、特に価格帯が200~500ドルの製品の下落率が最大となりました。パソコンの6月のDPIは前年比12.3%の価格下落を示し、中でも価格帯が700~1,200ドルの製品の下落率が最大でした。テレビは前年比17.5%の下落、タブレットは同19.9%の下落と、それぞれ大幅な価格下落を示しました。一方、CPIは電子機器全般の価格を集計していないものの、最新のレポートによると5月は前年比で家電製品が2.9%、パソコンが7.8%の下落としています。DPIは同期間において、家電製品が4.5%、パソコンが12.7%と、より大幅な下落率としています。DPIのデータは、100万以上の電子機器製品のトランザクションを対象としています。
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- 食料品:4カ月にわたり価格下落が続いた後、DPIは前年比でわずか0.1%、前月比で0.6%の下落となりました。DPIのデータは、約19万5,000の食料品のトランザクションのうち30~40%を対象としており、その多くはオンラインで購入し店頭で受け取られる食料品です。
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* 出典:Internet Retailer’s 2015 Top 500 eGuide (英語)
調査の詳細は以下のURLおよびSlideshareをご覧ください。
Slideshare
Adobe Digital Economy Project June Report(英語)
**Report: Adobe Digital Economy Project June 2016 **from Adobe
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アドビ、ビッグデータを活用して高精度な米国の景気動向分析を実現
https://blogs.adobe.com/adobemarketingcloudjapan/2016/03/22/adobe-digital-economy-project/
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アドビ、米国経済の3月のインフレ率を発表
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アドビ、米国経済におけるデフレの兆候を報告 (4月分レポート) https://blogs.adobe.com/adobemarketingcloudjapan/2016/05/25/adobe-digital-price-index-reports-signs-deflation-us-economy/
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アドビのDigital Price Index、米国経済が引き続きデフレ傾向にあることを示唆 (5月分レポート)