こんなときはイラレよりInDesignが断然便利 ─ドキュメントチェック編─

連載

YUJIが指南、今こそInDesignを使いこなそう

皆さん、こんにちは。
ちょっと間があいてしまいました。すいません(^^;;

今回は、InDesignのドキュメントチェック機能について取り上げたいと思います。
時代とともにアプリケーションは、どんどん進化し、ますます高機能になってきています。しかし、いくらアプリケーション機能を駆使して印刷物用のデータを作成したとしても、最終的に出力できなければ意味がありません。昔に比べればエラーは減ってはいるようですが、今だに、「データ入稿後に印刷会社の方がきちんと出力できるようにデータを修正してくれている」なんて話も聞きますので、「問題のないデータが作成」ができるよう心掛けていきましょう。今回は、InDesignの持つさまざまなチェック機能を見ていきたいと思います。

ライブプリフライトの実行

データ入稿の前に必ず行っておきたいのが「プリフライト」です。プリフライトとは「飛行前」という意味で、まさしく飛び立つ前に行う点検のことです。自分が作成したデータに問題がないかどうかをチェックしてくれる機能ですが、Illustratorにはない機能なので、InDesignを使用する上での大きなアドバンテージになっている機能でもあります。
InDesignには[ライブプリフライト]という機能が搭載されており、ドキュメントを開くと、そのドキュメントに問題がないかどうかを自動的にチェックしてくれます。問題があると、ドキュメントウィンドウ左下に赤い●印とエラー数が表示されます。

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このドキュメントには、2個のエラーがあるのが確認できる

エラーは修正する必要がありますが、どこに問題があるかを自分で探す必要はありません。まず、図の「赤い●印とエラー数」の表示部分をダブルクリックしてみましょう。すると、自動的に[プリフライト]パネルが表示され、エラーの詳細を確認できます。

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InDesignの[プリフライト]パネルでは、エラーの詳細を確認できる

今度は、[プリフライト]パネルのエラーの項目名をダブルクリックしてみます。すると、問題の箇所が選択された状態で表示されます。

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[プリフライト]パネルで目的の項目名をダブルクリックすると、問題の箇所にジャンプする

あとはエラーに内容に応じて、修正すればよいというわけです。ただし、InDesignのデフォルトで用意されているプリフライトプロファイルは、チェック項目が少なく、実際の仕事ではあまり役にたちません。そこで、自分でプロファイルを作成してドキュメントをチェックするのがお勧めです。カラーモードや白へのオーバープリント、画像解像度、線幅等、かなり詳細に設定が行えるので、仕事の内容に応じたプロファイルを作成しておくとよいでしょう。ちなみに、InDesignに配置したIllustratorドキュメントの内容もチェックしてくれるので、プリフライト機能のないIllustratorで作成したドキュメントを、InDesignに貼ってチェックするなんてことも可能です(ただし、Illustratorドキュメントのどの部分に問題があるかまではチェックできません)。

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[プリフライトプロファイル]ダイアログでは、目的に応じたプロファイルを自分で作成できる

オーバープリントと各版の確認

意図しない箇所にオーバープリントが設定されていると、思い通りに出力できません。そこで、オーバープリントの確認も行っておきたいですよね。InDesignでは、[表示]メニューから[オーバープリントプレビュー]を選択することで、ドキュメントを目視で確認できます。意図していないオーバープリントが設定されていないかどうか、確認しておきましょう。

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[オーバープリントプレビュー]がオフの状態(左)とオンの状態(右)。桜の花びらにオーバープリントが設定されているのが分かる

さらに各版の状態も確認しておきたいところです。InDesignの[分版]パネルでは、[表示]に[色分解]を選択することで、各版の状態を目視で確認できます。

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InDesignの[分版]パネル。図では[黒]をオフにすることで、墨文字がノセになっているかどうかを確認している

さらに、[分版]パネルの[表示]を[インキ限定]にすると、総インキ量が指定した値を超える箇所をハイライト表示できます。印刷の際に、裏写り等の問題を避けるためにも確認しておくとよいでしょう。なお、Illustratorにもオーバープリントや分版の機能はありますが、[インキ限定]の機能はありません。

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[インキ限定]を選択すると、総インキ量のチェックができる

透明部分を確認する

さらに、[透明の分割・統合]パネルを使用することで、透明機能を使用した部分がどのように処理されるかを目視で確認できます。[透明の分割・統合]パネルの、[ハイライト]に目的の項目を選択すると、その内容にマッチする箇所が赤くハイライトされます。透明機能によってテキストがアウトライン化されないか等、確認しておくとよいでしょう。

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InDesignの[透明の分割・統合]パネル。透明機能によって影響を受ける箇所を確認できる

使用フォントを確認する

ドキュメントで使用しているフォントも確認しておくとよいでしょう。InDesignを生データで入稿する場合などは、入稿先から指定されているフォント以外を使用していないかチェックすることは必要な作業です。[書式]メニューの[フォント検索]から使用しているフォントを確認できます。問題のある場合は、フォントを置き換えておきましょう。

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InDesignの[フォント検索]ダイアログ

パッケージの実行

ドキュメントをチェックして問題なければ、最後に行うのが[パッケージ]です。[パッケージ]は、ドキュメントで使用しているリンク画像やフォント(欧文フォント+Adobeの和文フォント)を収集してくれます。入稿したら画像が足りなかったなんてことがないように、必ず[パッケージ]機能を使ってドキュメントをまとめましょう。出力仕様書も作成してくれるので、入稿の際の指示書としても使用できます。なお、リンク画像にさらにリンクしている画像(孫リンク)までは収集してくれないので注意が必要です。ちなみに、IllustratorでもCreative Cloud版のCS6から[パッケージ]機能が追加されています。入稿の際には、必ず実行するようにしましょう。

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InDesignの[パッケージ]ダイアログ。CCではパッケージの際に、IDMLやPDFを含めることも可能

いかがだったでしょうか。
最終的なフィニッシュワークには、InDesignが最適だということが理解できたのではないでしょうか。まだInDesignを使ったことのない方は、ぜひ試してみてください。
では、今回はここまでにさせていただきます。

なお、InDesignの体験版はこちらからダウンロード可能です。

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InDesign体験版
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