アドビのDigital Price Index、8月のレポートでEU離脱決定以降の英国における耐久消費財の売上高減少を示唆
8月のオンライン価格データによると英米でのデフレ傾向継続が判明/アドビは英国家統計局(ONS)と協力
※以下は、2016年9月23日に弊社米国本社から発表されたリリースの抄訳です。
【2016年9月28日】
**米国カリフォルニア州サンノゼ発:**アドビは、8月のDigital Price Index(DPI)を発表しました。今回のレポートでは、初めて英国におけるテレビ、パソコン、食料品のオンライン売上高と価格データも発表しました。カテゴリー全般での価格が下落し、パソコンやテレビなどの耐久消費財のオンライン売上高は前年比で大幅な減少となりました。両カテゴリーの需要はともに5月は前年比33.0%の増加、6月は同28.0%の増加となったものの、7月の伸び率は16.0%に減速し、8月はマイナスに転じて前年比10.0%の売上減少となりました。これはおそらく英国のEU離脱決定やその他欧州における不確定要素が起因すると見られます。米国国内での同カテゴリーの需要は、7月が33.7%の増加、8月が30.2%の増加と好調な伸びを示しました。
英国では、米国と同様、物価の下落傾向が続きました。DPIによると、パソコンは前年比13.4%の下落、食料品は同2.7%の下落となったのに対し、テレビは前年比0.5%の小幅な下落となったことを示しています。また、ロンドン行きの航空運賃とロンドンのホテル料金はわずかに上昇し、安定化の兆しが見られましたが、前年を大幅に下回る水準に留まっています。英国のEU離脱を問う国民投票後に2カ月連続の下落となっていたロンドン行きの航空運賃は、前月比では3.1%の上昇となり、前年比では1.0%の下落となりました。ロンドンのホテル料金は、前月比では0.8%のわずかな下落でしたが、前年比では16.0%の下落となりました。
DPIのデータによると、特定の製品カテゴリーにおいて、価格の上昇や下落が複数の経済圏の間で連動していることを示しています。テレビやパソコンなどの耐久消費財では英米間で価格に60.0%の相関性が見られました。それに対し、輸入への依存度が相対的に低い食料品などの非耐久消費財では両国間に見られる相関性はより低くなっています(20.0%)。アドビはDPIで使用するグローバルな手法を開発する取り組みの一環として英国家統計局(ONS)と協力しています。
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DPIは、全米で上位500社の小売業者のWebサイトにおける購入につき10ドル中7ドル50セント分*と、欧州で上位100社の小売業者のWebサイトにおける購入につき10ドル中6ドル分以上**を追跡しており、十億件単位のデジタルトランザクションの分析が可能です。アドビは、実際の決済価格と実際の販売数量のリアルタイムなデータを基に、他社に先駆けてデジタル中心の分析を行っています。Adobe Digital Insightsは、他のモデルと異なり、インフレ率の計測に実購入数量を使用するフィッシャーの理想算式を採用したもので、著名な経済学者にもインフレ率算出の標準的な算式として認められています。8月のDPI算出にあたり、アドビは米国国内のWebサイト訪問150億件と英国のWebサイト訪問30億件、ならびに240万以上のさまざまな製品に対するオンライントランザクションを分析しました。
米国国内のインフレ率データ
米国国内の電子機器、一般用医薬品(非処方医薬品)、航空運賃、ホテル料金では、前月比で価格下落傾向が続いています。電化製品は前月比1.8%上昇、家具は同0.2%上昇し、季節要因による上昇を示しました。この価格上昇はおそらく新学年商戦と近づくレイバー・デー(労働者の日)の需要増加によるものと見られます。5カ月連続の下落となっていた食料品価格は横ばいとなりましたが、おもちゃの価格は上昇を示しました。7月に価格が2.9%下落したポケモン商品は前月比4.4%の価格上昇を示しました。ポケモン商品の需要はポケモンGOの発売以来、前年比で増加となりました(7月6日から8月31日まで)。
最新の米国国内の分析結果は以下のとおりです。
- 食料品:DPIは下落が5カ月間続いた食料品の価格が前月比で横ばいとなり、前年比で0.9%の下落となったとしています。7月のDPIは前年比0.8%の価格下落を示していますが、同期間の消費者物価指数(CPI)は1.6%の下落としています。DPIのデータは、約19万5,000の食料品のオンライントランザクションのうち20~30%を対象としており、その多くはオンラインで購入し店頭で受け取られる食料品です。
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- おもちゃ:8月のおもちゃの価格は0.3%の上昇となりました。DPIは7月の米国の価格が前年比で6.0%の下落を示したのに対し、CPIは9.3%の下落を示しました。DPIのデータは、おもちゃ、ゲーム、遊具など約24万9,000製品のトランザクションを対象としています。
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- 一般用医薬品:一般用医薬品の価格は前月比で0.8%の下落となりました。7月のCPIは前年比1.6%の下落としていますが、同期間のDPIは0.1%の上昇を示しています。DPIのデータは、1万6,000製品のトランザクションを対象としています。
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- 電子機器:8月の電子機器の価格は下落傾向が続きました。DPIは前月比0.5%の下落、前年比11.0%の下落としています。CPIは電子機器の全てについての内訳を集計していないものの、7月は前年比でパソコンの価格が7.7%の下落、テレビの価格が20.0%の下落としています。DPIは同期間において、パソコンの価格では12.8%の下落、テレビの価格では20.2%の下落を示しています。DPIのデータは、100万に及ぶ電子機器製品のオンライントランザクションを対象としています。
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- 航空運賃:国内線運賃は前月比で3.4%、前年比で6.2%の下落となりました。国際線運賃は前月比4.3%の大幅な下落となりました。また、DPIは前年比1.2%の価格上昇を示しています。DPIのデータは、約37万の航空路線を対象としています。
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- ホテル:国内のホテル料金は前月比2.1%の下落となりました。7月のCPIは前年比の価格変動を横ばいとしましたが、同期間のDPIは2.2%の上昇を示しました。世界のホテル料金は前年比2.8%の下落となりました。DPIのデータは、約25万軒のホテルを対象としており、宿泊関連諸費用も含まれています。
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*出典:Internet Retailer’s 2015 Top 500 eGuide(英語)
**出典:Internet Retailer’s 2016 Europe 500(英語)
調査の詳細は以下のURLおよびSlideshareをご覧ください。
Slideshare
Adobe Digital Economy Project August Report(英語)
**August 2016 Digital Economy Project **from Adobe
Adobe Marketing Cloud Japan Blog
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