『シン・ゴジラ』、雄叫びとともに米国の劇場へ

本社ブログ記事 “Shin Godzilla Roars Into US Theaters”の翻訳です。

映画に出てくる怪獣には、いつまでも人気が衰えないものがあります。最も有名なもののひとつがゴジラです。ゴジラは、2016年10月11日~18日の8日間限定で公開される『シン・ゴジラ』で米国の劇場に帰ってきます。日本で大ヒット中の本作で、ゴジラは町から町へ破壊を尽くしながら移動し、東京に壊滅的な被害を与えます。

この映画は、著名な映画監督である庵野秀明氏が脚本・総監督を務めました。ディテールとクリエイティブプロセスに対する彼のこだわりは、制作のあらゆる面に影響を与えています。庵野氏の映画『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 シト新生』と『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に』の予告編編集に携わった経験を持つ佐藤敦紀氏は、『シン・ゴジラ』の編集・VFXスーパーバイザーとしてVFXと編集工程を組み合わせるというプロジェクトに喜んで参加することを決めました。

大量のビジュアルエフェクトがある一方で、制作期間が18か月と短い中、プロジェクトチームは、期日までに映画を完成させるため、全面的にプリビズを取り入れ、Adobe Premiere Pro CCを使って3拠点をプライベートネットワークで結び、共同編集作業を行いました。佐藤氏はこれまでにも映画の予告編の監督・編集でPremiere Pro CCを使用した経験があったため、この極めて大がかりな長編映画でのPremiere Proの活用に自信を持っていました。

poster_horizontal 佐藤氏は次のように語っています。「庵野さんは、結果に満足がいくまで何度でも繰り返します。わたしたちは数か月をかけてプリビズ作業を行い、映画をラジオドラマ化したような音声ライカ版ラッシュも作って、撮影開始以前に、この映画がどのようなものになるかというイメージを作り上げました。」

映画の撮影には、ARRI Alexaカメラが使用され、VFXパートにはREDカメラも使用されました。メインカメラの別アングルはCanon XC10で撮影されました。庵野氏は、戦車とヘリコプター内でiPhoneとソニーのアクションカムを使ってクリップを撮影し、撮影チームは戦闘機と戦車の外部にGoProも取り付けました。

編集時には、プライベートネットワークを確立して、CGおよびVFXスタジオ「白組」、東宝スタジオの編集ルーム、およびもう1つの編集ステーション「スタジオカラー」の3拠点を繋ぎました。スタジオカラーは、庵野氏が経営する映像スタジオであり、安全な環境でいつでも編集を行うことが可能でした。佐藤氏は「Adobe Premiere Pro CCにより、コストを抑えながらの同時編集が実現しました。」と述べています。ポストプロダクションチームは、ビデオをプリビズバージョンに差し込み、ポストビズバージョンを作成しました。次に、仮編集版のCGをビデオコンテンツに組み合わせ、ポストビズ承認後にVFX作業に移行しました。佐藤氏は白組のスタジオでビジュアルエフェクト作業を行っており、庵野氏は週に一度、進捗確認のためにスタジオを訪問していました。

庵野氏は、映画を1フレームずつ何度も繰り返しチェックしました。佐藤氏によると、「編集の真っ最中であっても、監督から新しい映像を作ってシーンに追加するよう依頼されることもありました。そんな時もAdobe Premiere Pro CCのおかげで、フォーマットの異なるさまざまな映像を簡単に追加できました。」

2016年7月29日に公開された『シン・ゴジラ』の興行収入はすでに7,000万ドルを突破しています。佐藤氏は次のように語っています。「大きな問題なく『シン・ゴジラ』のプロジェクトを無事に終えることができました。この素晴らしい映画に携われたことをとても誇りに思っています。今後のプロジェクトでもPremiere Pro CCを使うことを楽しみにしています。」