Adobe Analytics新機能で、さらなるインサイトを扱いやすく

データ活用は、データの民主化から

データはデジタル時代のマーケティング活動において欠かすことのできない資源です。webをはじめモバイルアプリ、電子メール、店舗内スクリーンなど、企業の提供する様々なデジタル顧客接点で、顧客の動向はデータとして収集することができます。しかし当然ながら、データは収集するだけでは役に立ちません。データを分析し、そこから何らかの意味を読み取って、次のアクションに生かしてこそ、データは役に立ちます。

情報の偏在は、情報を持つ者と持たざる者とに分け隔て、ある種の権力を生み出してしまいます。同様に、データを限られた人々が抱えていると、データを持たない人々との間に壁が生まれます。科学的な意思決定と迅速な行動が求められる今、企業のデータをこのような状態にしておくのは得策ではありません。組織内のあらゆる人々が自由にデータを扱えるようにすべき、すなわち「データの民主化」(データデモクラシー)という考え方は、デジタル時代を生きる私たちにとって自明のことなのです。

さて、マーケティングに欠かせないデータを組織内の誰もが手軽に分析して活用できるように、アドビはAdobe Analyticsの機能拡張を続けています。このAdobe Analyticsの2016年秋の最新機能について、Adobe AnalyticsのProduct Marketingを務めるSr. Directorのジェフ アレン(Jeff Allen)の記事でご紹介します。

※以下はUS Digital Marketing Blog『New Adobe Analytics Capabilities Make Powerful Insights More Accessible』の翻訳です。

分析がますます便利に

すばらしいデジタルエクスペリエンスの背景には、しっかりしたデータの裏付けがあるものです。消費者がアプリを起動したとき、買い物かごに商品を入れたときなど、一つひとつの行動のたびにデータは発生します。ブランド企業がこうしたデータを収集して活用できたならば、訪問者にとってわかりやすい、パーソナライズされた対応をすることができるでしょう。

デジタルチャネルは多様なため、消費者はどこを訪れるかを自らの判断で選ぶようになっています。そのためデータをきちんと活用することこそが、新規顧客を引き付け、既存顧客をつなぎとめるための隠し味なのです。

もともとクリエイティブを得意としてきたアドビは、Adobe Analyticsを獲得して以来、強力なデータ基盤も提供していることになります。このAdobe Analyticsはブランド企業にとって、「クリックひとつでデータを分析してインサイトを導ける」というメリットを提供しますが、それだけでなく、そのデータを使って組織全体がアクションを起こし、より良い「ストーリーテラー」になるための手助けも担います。

Adobe Analyticsが提供する分析ワークスペース(Analysis Workspace)機能は、企業内の様々な部門の誰もが使える便利なツールです。視覚的な操作だけで、インサイトを導き出し、可視化し、それらを組み合わせ、組織内へと共有することのできるデータ基盤なのです。

さてこの分析ワークスペースに、さらに便利な機能がさまざま追加されました。データを誰もが扱えるようにしたい、つまり「データを民主化する」というアドビのミッションを体現した機能なのです。

「フロー」の診断と「フォールアウト」分析

すばらしいエクスペリエンスに向けた最初のステップは、自社のデジタルチャネル上で人々がどのように遷移しているかを理解し、どこでつまずいているかを把握することです。分析ワークスペースのビジュアライゼーションに、新たに加わった「フロー」診断機能は、デジタル上での顧客の導線を可視化するのに役立ちます。デジタルチャネルへの入り口となった個所から、コンバージョンないしチャーン(自社から離れていく)した個所までを表現することができます。訪問者セグメントは、活動のパターンにもとづいて作られます。そして例えば、関連商品をまとめて購入するような顧客の群(コホート)が見つかったとして、その顧客セグメントはほかの商品を組み合わせを提案するコンテンツにも反応するかもしれないので、そのような施策を打ってみてもよいかもしれません。

もうひとつの新しいビジュアライゼーション「フォールアウト」分析は、導線の各段階をドラッグ&ドロップ操作によって設定し、訪問者の体験をより的確に把握するのに役立ちます。これにより、訪問者がどの段階で離脱してしまったのかを把握できます。また、どこへ去っていったのかを知ることも、インサイトにつながります。このようにデータを可視化することで、訪問者が離れて行かないよう改善策を取ることができますし、体験をより良いものへと変えていくことで、ロイヤルティ向上にも役立てることができます。またAdobe Analyticsの特長として、オーディエンスセグメントを設定する機能があります。ファネルの途中で留まってしまっている人、離脱してしまった人などをセグメント化すれば、リマーケティングやパーソナライズといった施策に活用することができます。

例えば日用品を扱う小売サイトで、訪問者がモバイルアプリを使って商品を探しているとき、他の商品も見たいのでとりあえずショッピングカートに商品を入れ、結局は購入しないまま去ってしまった、という行動がよく見られるかもしれません。こういう事実がインサイトとして得られたなら、アプリ画面内のカート体験を設計し直して、商品がカート内に残っていることがわかるようなインターフェイスにする、といったような改善につなげられるでしょう。

誰でもすばやく分析、スタータープロジェクト

多くの組織では、意思決定を下す際にもっとデータドリブンに考えるようにと、チームメンバーを動機づけようとしています。そのためには、ツールは初心者にも使いやすいものでなければなりません。しかも、熟練者のニーズも満たす必要があります。ツールを開いたときにまっさらな画面から始まったら、誰もが戸惑うことでしょう。分析ワークスペースの新機能「スタータープロジェクト」は、この課題を解決するために登場しました。この機能は、まったく初めて使い始めてから、徐々に使い慣れていくまでの橋渡しとなるでしょう。webやモバイルアプリの分析について、ビジネスの現場でよくあるニーズに沿った項目があらかじめ用意されています。これには、小売業界やメディア&エンターテインメント業界向けの業界テンプレートも含まれています。日常の業務でデータ分析からインサイトを導きたいといったとき、誰もがデータサイエンティストになる必要はないのです。

木も森も見る

今回のリリースで、私たちはいくつもの新しいビジュアライゼーションを提供開始しました。 これに加えて、インサイトを取りまとめ、表現するためのツールも機能拡張しました。 これによって、ユーザーが見つけたインサイトを、他のステークホルダーへと分かりやすく伝えるのがさらに容易になりました。

時系列に関する分析:
折れ線グラフのなかで、将来の見込み値を予測したり、データの異常値を自動的に検出して貢献度分析をクリックひとつで行えます。これを使うと、予期しないパフォーマンスが発生したときに、その原因を探ることができます。例えば金融機関のクレジットカードアプリケーションについて、通常であれば低調な推移になるはずの月にスパイク(急激な増加)があれば、それを発見できるだけでなく、その要因に目を向けることができるようになります。

ヒストグラム:
よくあるバーチャートで、個々のバーには個別の値が表示されます。ヒストグラムはこれと異なり、分布を表示します。これを使うと、最も価値ある顧客セグメントやその逆のセグメントをすばやく見分けたり、ある動向についての分布を把握することができます。例えば衣料品の小売サイトで、利用金額が2,500円から5,000円までの買い物客を見分け、そのセグメントにだけ週末限定プロモーションを提案することができるでしょう。

データ比較:
ボタンを押すだけで、年別比較、月別比較、日別比較を行うことができます。この比較情報は単一のグラフィックとして可視化され、なおかつ、差分の比率と元データの両者も一覧できます。この機能は、在庫情報からキャンペーン計画まで、あらゆる使い道が考えられます。

参考情報: