Adobe Stockだけでエモーショナルなビデオができる!「Depth of Field」

もう遠くまで撮影に行かなくてもいい?!ストックフォトの素材だけを使ってオリジナルのビデオ作品を作ったらどうなるんでしょう?このたび、実際にAdobe Stockにある素材だけを使って、エモーショナルなビデオを制作する試み「Depth of Field」がYouTubeにて公開されています。

制作を手掛けたのは、サンフランシスコの映像プロダクション「Skycar Creative」。3人のアーティストにクリエイティブについての電話インタビューを行い、6,000万点以上のプロ向けの写真、動画、イラストが揃うAdobe Stockの素材を縦横無尽に使ってエモーショナルなビデオを作り上げました。

インタビューされているのは、アメリカの映像作家Foster Huntington、イラストレーターRobert Generette III、そして日本からはアーティスト、牧かほりさん。まずは映像をご覧ください!

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膨大なストック素材から選ばれたイメージたちによって、壮大なスケールのビデオ作品になった「Depth of Field」。これを実現するには、高度な匠の技が駆使されているはず。いったいどのようにこのビデオが作られたのか、、? Skycar CreativeにてディレクターをつとめるYO UMEDAさんにお話をお伺いしました。

https://blog.adobe.com/media_19cee45edf6d4177b213979b7616cd9bf8aa2658.gifUmedaさん

ーーAdobe Stockには膨大な素材がありますが、どうやって素材を選定したのでしょうか?
Umeda: 素材の選定には言葉が醸し出す感情を表すベストなものを探しました。 時には視聴者が効く言葉に近い映像やまた時にはその言葉からの想像を超えるようなものを選びました。これに関してはとくに定義的な特に約束はなく見た時に感じる何かがあるものを選定しました。

ーーAdobe Stockの他にもストックサービスを使われていますか?他のサービスとAdobe Stockの違いで気づいたことがありましたらお教えください。
Umeda: 以前は他社のストックも使用していました。ただAdobe Stock Libraryが特にいいのはクリエイティブのプロセスで使用するアプリケーションとてもよく統合させているところです。例えば、Premiere で編集中にそのアプリケーションの中で映像を探すことができ、また購入前の状態で編集までもできるので実際に購入する際にはすでに使用できるか否かをきにすることもないのがとても嬉しいです。また膨大な量の色々なテーマの美しい4Kのライブラリーがあるのもとても便利なことです。

ーーどのような点に留意してクリエイティブ/編集を行われたのでしょうか?
Umeda: 特に気にした点といえば、言葉に対して言葉そのままの想像力をよくしないものにならないようにしたことです。またStockのみの素材でアーティスト自身の映像を使うことなく作成した際に、人の入った映像だと視聴者に対してその人物が誰なのかと余計な困惑を生むことになるので、できるだけ感情的な側面や抽象的な部分を映像にしつつ、見るものがそのストーリーを理解しやすいように進めました。またそのことにより、とてもインパクトのある映像が作れたと自負しています。

ーー今回制作された3作品に、「テーマ」のようなものは設定されましたか?
Umeda: 今回の制作の上の「テーマ」としては如何にそれぞれのアーティストの現実を伝えることができるかという点を気にしながら色々と探りました。 アーティストとクリエイターに興味ある人たちが共鳴を覚えるストーリーを見つけ、その中でテーマとして ”プロセス” ”人生の転機”また “リスクテイキング”を中心に制作しました。

ーー「ここが見どころ!」というポイントをお教えください。
Umeda: 牧さんのストーリーでは彼女の人生の転機に関してがいちばんのポイントになっています。地震という大きな天災が彼女の仕事の仕方を如何に変えていったかという点はとても多くの興味深い部分があると思います。

Fosterのストーリーでは、彼の人生においてとても大きく勇気のある決断とそれが如何に正しいものだったかということを視聴者に伝えています。

Robのストーリーでは彼のお金になる仕事とクリエイティブとしてやりがいのある仕事の狭間での彼の悩みや、如何にアイデアが生まれ洗練されまた実際のものとして発展していくかというのが表現されています。

ーーSkycarはどのような組織で、どのようなチームで動かれているのでしょうか?
Umeda: Skycarは大きなブランドに関連したアートとテクノロジーのストーリーをつくることを焦点にしたデザイン・制作会社です。私どもの組織は小さいがうえにその機動力を使いそのプロジェクトごとに最適のチームを組んで挑んでいます。

またSkycarの中心となるのは代理店、ブランドまたは映画制作会社で経験を積んだメンバーで、彼らの映像を制作するのに多くの経験は顧客の求めるストーリーや独特の映像を制作するのに何よりも助けになります。

その一例として今回牧さんのインタビューの際には実際にアーティストとクリエイティブとして業務をする僕を中心にチーム編成することで、言語と文化的な隔たりをアーティストとインタビュアーの中で無くしました。そのことによりとても現実的な深みのある会話を抽出することができたことが挙げられます。

ーーUmedaさんのキャリアについてお教えください。日本で活動を初めて渡米されたのでしょうか?
Umeda: 日本の大学を卒業したのちに単身アメリカに渡米して独学にて現地でアートディレクター・グラフィックデザイナー兼クリエイティブディレクターとして広告代理店で働いています。過去20年のキャリアではサンフランシスコのGoodby Silverstein & Partners、アムステルダムの180 Amsterdam、Los AngelesのTBWA/MAL等でクリエイティブディレクターとして就業した後に、今年の夏からフリーで色々な仕事を手がけています。

ーーアメリカでクリエイターとして働くことについて、日本と違う点はどのようなところですか?
Umeda: 広告業界でのクリエイターとして一番感じる違いとしては、メディアのサイズや内容が日本と違うこと。またクリエーターの数の基盤が大きく違うので、個々の競争というプレッシャーもこちらの方が大きいと思います。こちらでは運も良く色々な国の人たちとぶつかり合いながら仕事ができるので、それぞれの国民性なども含めた面白いダイナミクスがあり、それが難しい面でもありますが、楽しい面でもあります。

ーー今後のご予定をお教えください。
Umeda: Adobeさんのプロジェクトを制作中です!また独自のオリジナルシリーズも作成中で、第一弾として私たちのオフィスで作ったこまどりのショートがこちらからご覧になれます。

様々な国でのクリエイティブの経験を経てきたUmedaさん。テーマを絞り込むことで、世界のクリエイターから共感を呼ぶ作品を作ってくださいました。ほか、Skycarのメンバーや作品については公式サイトにて!

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Foster Huntington (左)、Robert Generette III (中) 、Kahori Maki (右)

そして今回、インタビューを受けた牧さんにもコメントを頂きました!

ーー今回のインタビューは遠隔とのことですが、どのように行われましたか?
Maki: 現地アメリカよりお電話をいただき、電話にて、質問に答える形で録音していただきました。

ーー本国USからの質問は、日本のインタビューとは違いましたか?
Maki: 今回のインタビューの中で印象的だったのは、(採用されてはいませんでしたが)創作時のインスピレーションについて詳細に聞かれたことです。質問を作った方もまたクリエーターであると思われます。例えば、どんな瞬間に作品が仕上がったと思うか、とか、その仕上がった!と感じる瞬間には何が自分の中で起こっているのかなど、とても言葉に表しにくいもの、日頃言語化していない「状態」を問われるものが幾つかあって、しばし詰まりました(笑)。自分自身を探るいい経験になりました。 もう一つ、社会や世界における芸術の役割についてどう思うか、という質問も印象深く、これについてはのちにスタッフや周りのクリエーターともなんども論議しましたし、今も考え、意識し続けています。

ーー仕上がったビデオを見た感想は?
Maki: 私の作品以外のものと私の声が合わさっていることの不思議感というか、浮遊感というか、腰が落ち着かないような感じもしましたが、それ以上にAdobe Stock素晴らしい!!ビジュアルがとても美しい!!!ことに心惹かれました。。 そして自分の声がとても恥ずかしかったです。(実は原稿チェックの一度しか聞いていません、、) なにせ、声には言葉以前の全てが滲み出てしまうのだ、、と気づいたのです!ああ、もっとしっかり地に足をつけて精進していかなくては、、、と心に誓いました。

是非皆さんも、Adobe Stockを使ってオリジナルの「Depth of Field」を作ってみてはいかがでしょうか?