Adobe AppBox Awards 2016 受賞作品が決定 – 今年初開催のプロトタイプ部門からは2作品が選出

Adobe AppBoxに期間中に登録されたAdobe AIR/PhoneGapアプリ、及び、Behanceに登録されたAdobe Experience Design (Adobe XD)プロトタイプから、2016年度Adobe Appbox Awardsの優秀作品が決定しました。

AIRアプリの応募作は今年もスマホ向けゲームが大半を占め、選出された3作品全てゲームアプリとなり、一方、Adobe XDベータ版公開を記念して開催されたプロトタイプ部門は、最優秀は該当無しとなりましたが、優秀作品として2作品が選ばれました。

Adobe AIR/PhoneGapアプリ部門

最優秀賞 : スーパーおばあちゃんズ by Amateral Inc.

【作品紹介】

タップだけの簡単操作で誰でも楽しめる3Dアクションゲームです。
コインを集めていろんなおばあちゃんをコレクションしたり 乗り物をパワーアップしたりする機能もあります。
Adobe AIR x Away3D で制作しました。


https://appbox.adobe-web.jp/%e3%82%b9%e3%83%bc%e3%83%91%e3%83%bc%e3%81%8a%e3%81%b0%e3%81%82%e3%81%a1%e3%82%83%e3%82%93%e3%82%ba/

【受賞者から一言】

「スーパーおばあちゃんズ」が最優秀賞受賞とのこと、大変嬉しく光栄に存じます。 2013年に別のアプリでファイナリストに残ったものの惜しくも受賞を逃がしておりましたので今回は喜びもひとしおです。

今作は自身初の3D作品ということで、3Dモデル制作からAway3Dでの開発に至るまで、全てが試行錯誤の連続でした。
UIの制作とプログラミングはAnimate CCで行い、3Dシーンの構築にはAway Builderを使用しました。 特にAway Builderについては、自分で使いやすいように大幅な改造を施してから本開発に入りました。
今後もAdobe AIRを使って、より多くの方々に楽しんでいただけるアプリを作っていきたいと思います。 このたびは本当にありがとうございました。

【使用したツール】

Adobe Animate CC, Adobe AIR

【審査員コメント】

**池田 泰延 氏
**ゲームバランスも技術も丁寧に作り込まれており、誰もが遊んで楽しいと思えるアプリ。ポップな見た目のわりには意外と難しく、おばあちゃんを集めたくなるやりこみ要素もあり、何度も挑戦しました。また、3Dゲームを開発するにはUnityやUnreal Engineなど様々なテクノロジーの選択肢がありますが、「Flashでもこんなに軽快に気持ちよく動作するんだ」とAdobe AIRの可能性を見せてくれたことが高評価につながりました。

菊池 聡 氏
Appleでアワードを受賞したTemple Runというアプリに非常に似ているが、本家よりも面白いと感じさせる作品でした。おばあちゃんという、アクションゲームでは登場しないキャラのギャップが素晴らしい。おばあちゃんが、ゲームを進めていくうちにパワーアップをして「おばあちゃん?」と「おばあちゃん」の種類がふえていくのが楽しい。
ゲームの操作性は、キャラがすぐに死ぬなど難しすぎず。誰でも楽しめる優しさでした。そういった意味では長く楽しめるゲームといえます。グラフィックは、つくりこまれており美しく非常に高い完成度です。

**轟 啓介 氏
3Dによる横スクロールゲームをとても軽快なテンポでプレーできる本作品は、穏やかな青い海と空、キックボードに乗ったおばあちゃん、どこか耳馴染みのよい効果音とBGMなどの演出センスが絶妙です。Away3Dを使ったAIRアプリとしても魅力的であり、細かな部分も丁寧に作ってある印象でした。
**

**上条 晃宏
**まずは、Adobe AIRの3Dで、表現力も操作性もパフォーマンスも優れたアプリを開発した技術力とセンスが素晴らしい。もちろん、ゲームとしても上手にデザインされていて、特に、どんな「おばあちゃん」がゲットできるのか期待させるところがユニークでゲームを遊び続ける良い目的になっていた。

インタラクションデザイン賞 : ブタバー by Yasui Keita

【作品紹介】

ブタをはねかえす「気持ちよさ」にこだわった爽快アクションゲーム。
飛んでくる「ブタ」を「バー」を作って上手くはねかえします。
跳ね返した「バー」の長さがそのまま得点になるのがミソです。


https://appbox.adobe-web.jp/%e3%83%96%e3%82%bf%e3%83%90%e3%83%bc/

【受賞者から一言】

デザインとテクノロジーが上手く溶け合った新しい表現に挑戦したいと考えていました。
特に「はねかえす気持ちよさ」は「視覚、聴覚、触覚」のそれぞれからアプローチしました。
はじめ「バー」は「黒い直線」でしたが、そこに「たわみ」や「振動」といった要素を加え「視覚的気持ちよさ」にこだわったり、はねかえすときの効果音に「テニスのラケット音」を用いて、爽快な音に仕上げました。
最後に「なぜブタ?」かというと、跳ね返すとき携帯のバイブが「ブー」となるからですね!

【使用したツール】

Adobe Animate CC, Adobe AIR

【審査員コメント】

工藤 大貴 氏
シンプルだが触っていて気持ちがいいというのは、ユーザとしてこの手の暇つぶしミニゲームでは非常に重要と感じる。今回の作品はどれもモチーフやルールの違いで凝った部分があったのだが、ブタバーはその中にあっても頭一つ抜けていたように思う。
同作者による「幹事を助けるビンゴマシーン」というアプリも、ありふれたテーマに切り込むだけあって、考え抜かれたインタラクションやデザインのオシャレさが際立つアプリだ。特にAdobe AIRの特性を活かしたマルチプラットフォーム対応という気の利き方は審査員全員が膝を打った。

上条 晃宏
アクションゲームとしてのバランスの良さと、それを支える細部まで丁寧に作りこまれたインタラクションが特に目立っていた作品。ドラッグして引いた直線の長さが得点になるというルールなのだが、得点の計算の際に√2が出てきたのは制作者の律儀さが感じられるようで、個人的にツボだった。

ユーモア賞 : ニャードル by hap Inc.

【作品紹介】

さまざまなハードルをジャンプして飛び超えていくアクションゲームです。
ネコだけじゃなく多種多様なキャラクターで遊べます。


https://appbox.adobe-web.jp/%e3%83%8b%e3%83%a3%e3%83%bc%e3%83%89%e3%83%ab/

【受賞者から一言】

ユーモア賞に選出していただきありがとうございます!

シンプルなゲームゆえステージとキャラクターのバリエーションに拘ってつくったアプリです。
20種類以上あるキャラクターごとにジャンプ力やスピード、当たり判定などが異なり、その特性を活かすステージのレベル調整に一番苦労しました。
また”トースター”や”歩きスマホ選手”など他のゲームではまず出てこないようなユーモアあるキャラクターは必見です!

【使用したツール】

Adobe Animate CC, Adobe AIR

【審査員コメント】

池田 泰延 氏
ニャードルは他のゲームのキャラクターや障害物が登場するので、複数のゲームを遊ぶことで二重三重の面白さがあります。このことが、hapファンへつながっていくのだと思いました。また、「ママにゲーム隠された!」もとてもユーモアのあるゲームです。1時間で全クリできますが、創意工夫や意外性が多く、AppStoreでの3100を超えるレビューの多さも納得でした

赤羽 太郎 氏
Hapさんの作品群は世界観がユニーク。操作感も良く、「にゃんにゃんにゃん!」から始まるアイドルソングのような音楽の楽しさも相まって、エントリー作品の中でいちばんプレイしてみたくなるものだった(実際に審査後にDLして3アプリほどクリアした)。ニャードルはAIRアプリの審査という観点で惜しくもグランプリは逃したものの、世界中で数多く遊ばれている実績にも納得。これからも楽しい作品、期待してます。

Adobe XDプロトタイプ部門

アイデア賞 : みんベル (みんなのベル)) by 對馬 政隆 & ichi koz

【作品のコンセプト紹介】

「みんベル」は誰でも気軽にハンドベルの演奏を楽しめるアプリです!
幼稚園や保育園などのクリスマス会の出し物として楽しむも良し、家族で演奏を楽しむも良し。
アプリだからハンドベルが無くても気軽に楽しむことができます!スマートフォンを振るだけで簡単にハンドベルの音を鳴らせるように直感的なアプリを考えました。
豊富な楽曲の中から好きな曲を選択して演奏しましょう!


https://www.behance.net/gallery/45104511/(

【受賞者から一言】

デザインハッカソンの5時間という限られた時間で制作しました。
制作中は、とくに時間配分に気を配りました(コンセプト固め・モック作成・ヒカリエ地下でお弁当物色・プレゼン準備等)。
そのため、できるだけシンプルかつ、誰でも簡単に操作が出来るUIを意識しました。 実際にベルを鳴らしている場面や、楽譜が流れる場面をどうしたらプレゼンで表現できるかを考え、 XDでフレームを一つづつ作成し、つなげることであたかもアニメーションの様な工夫をしました。
今回の思いがけぬ受賞には驚きました。ありがとうございました!

【使用したツール】

Adobe Experience Design

【審査員コメント】

菊池 聡 氏
プロトなのでビジュアル的なUIの完成度より、独自性とフロー部分の2点を評価しました。
独自性では、不明なUI部分はありますが、それよりも同じ場所にいるチームで ベルの担当をきめて利用するとチーム利用のコンテキストを考えたアイディアの独自性が非常に良かったです。
フローでは、全体の流れがまとまっており、ユーザー行動の順序などを明確にすれば、ユーザーも迷わず使えると感じました。フローも良い点も悪い点もふくめて上手に共有できていました。
全体として、XDを上手に利用しながら今後の可能性を感じさせるプロトタイプでした。

工藤 大貴 氏
実は最後まで個人的に最優秀に推したのだが叶わなかった。まず「事前期間を充実させる」というテーマに素直に答えていること。実装が困難であるが故にプロトにする意味があるということ。この2点は他にない強みだった。機能的にアプリである必然性があることも見逃せない。
審査では機能や展開性への細かなツッコミやグラフィック的な完成度で抜きん出ることができなかったが、本来こうした議論をするためにプロトタイプが存在することを思えば、その出来は充分に一線を超えている。

デザイン賞 : Tree – Share your trees. by Naoki Kanazawa

【作品のコンセプト紹介】

「Tree」はシンプルなクリスマスツリーを制作できるアプリ。
性別で選べるシェイプが変わる。
クリスマス期間中はスタンプが手に入る。
スタンプはツリーの枠の中で自動にリサイズ。
シェアすることで特別なスタンプも手に入る。
完成したクリスマスツリーは、レーザーカッターでアクセサリに。


https://www.behance.net/gallery/45231179/Tree-Share-your-trees

【受賞者から一言】

デザイン賞に選出いただきありがとうございます。

普段はWeb & DTPデザインを担当しているため、アプリのUIデザインをする機会がなかなかありませんでした。
そこでAdobe Experience Designの登場!
さくさく動作する上に、Adobe Illustratorとも相性がよく、楽しくチャレンジすることができました。
今回の「Tree」に関しては、サービスが完結するところまでは作りこめなかったのが反省点です。
今後はサービス全体を設計し、丁寧なプロトタイプを作れたらと思います。

「ユーザー体験」について考える素晴らしいきっかけを与えてくださり、ありがとうございました。

【使用したツール】

Adobe Experience Design, Adobe Illustrator

【審査員コメント】

赤羽 太郎 氏
アプリだけで完結しない、手触り感のあるプロダクトに着地するサービス観が秀逸だった。むしろサービス接点の一部として存在しているアプリという位置づけなので、もっとプレゼンで全体ビジョンを描いてもよかったかもしれない。観点次第ではもっと広がりのあるサービス像になると思う。またアプリUIに関しては非常にスマートで、ナビゲーション文言に英語を使っていることもあり海外のアプリのような印象。逆に言えばある程度リテラシーのあるユーザーでないととっつきにくいかもしれない。

池田 泰延 氏
プロトタイプのあるべき姿として、完成形を想像させワクワクさせることが必要だと思います。このプロトタイプはフラットデザインというトレンドも意識したうえで、細かいところまでデザインが作り込まれていて「使ってみたい」と思わせる要素が充実していました。

Adobe AppBox Awards 2016 審査員:(※ 敬称略)