Photoshopユーザーが使って感じたCCのお役立ち機能をご紹介!2017リリースはどう進化した?
くれまとさくらのWebデザイナーは今日も行く
はじめに
こんにちは、さくらです。年末に向けて忙しい日々が続いていますが、先日アップデートされたCreative Cloudの新機能に随分助けられました! 今回は、そんな私が実際に使って良かったAdobe StockとPhotoshop CCの機能を紹介したいと思います。
Illustrator情報は前回の「Adobe MAXにてIllustrator CC 2017の最新機能発表をキャッチしてきました!」をご覧ください。
作り手の「空気を読む」Adobe Stockの「画像で画像検索」
イメージを作るときに、チームメンバーから「こんな感じで」と画像を提示されたことがありました。でも、その画像はそのまま使えない……。
もちろん、色味や雰囲気などの世界観は重視したいし、かといってストックフォトで検索をかけてもドンピシャの画像を探すのは時間をとられそう……。そんな時に使ってみたのが、先日搭載されたばかりの新機能のAdobe Stockの「画像で画像を検索する」です。
たとえば、この星空に近いイメージが欲しい場合。
幻想的なニュアンスのある星空の写真
「星空」をキーワードに指定して画像を検索してもそれなりの結果は得られますが、不要な画像も少なくありません。
「星空」での検索結果の例。さまざまな”星空”が見られる。
提示されたイメージが持つニュアンスのある画像だけを見たい場合は「画像検索」を使ってみましょう。
まず、ブラウザでAdobe Stockへアクセスします。
Adobe Stockのトップページ。
次に、検索フィールド内のカメラアイコンをクリックして画像をアップロードするか、直接画像をドラッグ&ドロップすると……、なんとびっくり! 同じ特徴を持つ画像の一覧が表示されます。
元の画像が持つ世界観を維持した「星空」の画像がすぐに得られる。
提示される画像の数も膨大なので、短時間で画像をあれこれ取り替えて、更に魅力的な提案にブラッシュアップすることもできちゃいます。画像を見つけてくれるAdobe Senseiは「クリエイターが作業に集中できるようにアドビがお手伝いをする」AIであることを実感した瞬間でした。
ところで、Adobe Stockでは、日本の固有の場所などに対して、まだまだ検索結果が少ないようです。先日、ユーザが写真を販売できる仕組みも導入されたばかりなので、日本で撮影された画像がさらにたくさん検索・使用できるようになるといいですね!
触ってわかった、Photoshop CC 2017の新機能
続いて、Photoshop CC 2017のアップデートで便利になったポイントをご紹介します。
「新規ドキュメント」画面の刷新
「新規ドキュメント」ダイアログのUIが刷新され、さまざまな媒体に向けたプリセットの詳細が、分かりやすく表示されるようになりました。UIが変わっただけではなく、テンプレートを選んてダウンロードできるのは新しい機能。「アートとイラスト」からは、テクスチャなどもダウンロードできます。
ダイアログ上から素材へアクセスできる。
「Web」用のテンプレートとして提供される「ソーシャルメディアレイアウト」は、Twitter、Facebook、Linkedin用としてそのまま使用できる画像フォーマットが用意されています。おかげで企業SNSの画像を作成するときに、事前にサイズを調べなくてもすぐに作業を開始できました。
テンプレート「ソーシャルメディアレイアウト」
「属性パネル」の機能が向上
Web制作では正確なオブジェクトの描画が”命”なので、シェイプツールを使うときには「属性パネル」で、数値をコントロールする形での描画をおこないます。一方で、写真やアートワークなどを編集する際にはあまり使うことのないパネルでした。今回のアップデートで、解像度などをはじめとしたより詳細な情報が表示されるようになったことで、属性パネルを見ておくと、役に立つ場面が増えました。
同じ写真を開いた時の属性パネルの違い。(左)Photoshop CC 2015.5、(右)Photoshop CC 2017
Photoshop CC 2015.5以前では表示されなかったドキュメントの解像度などが、Photoshop CC 2017では「ドキュメントプロパティ」として表示されます。これで、「印刷レベルの解像度の画像のためにWeb用のpsdファイルが重くなってしまっていた……。」といったことが、属性パネルを見るだけで避けられるようになりますね。
私はスマートオブジェクトなどでついついこういった大きいサイズのファイルを埋め込みがちなので、これはありがたい機能でした。今後は、この「属性パネル」をちゃんと見て注意していきたいです。
アプリケーション内を横断して検索
「あの機能ってどこから使えたっけ……。」「この機能ってどうやって使うんだ……?」ってこと、ありませんか? 私はあります! そんなときはPhotoshop CC 2017から搭載されている[編集]メニュー→[検索]を使ってみましょう。
[編集]メニュー→[検索]で横断的な検索が可能に
たとえば「ブラシ」でさまざまな結果が表示される。
Photoshopの中にあるツールの場所だけではなく、ヘルプ情報やAdobe Stockの素材も横断的に検索できます。ちなみに、Photoshop(Illustrator)内の各メニュー項目だけを調べるのであれば、[ヘルプ]メニュー→[検索]から検索すると、項目をハイライトしてくれるのでわかりやすくて便利です。両者を上手に使い分けるのが迷ったときの時短のポイントですね。
[ヘルプ]メニュー→[検索]での検索
「デザインスペース(プレビュー)」の消滅!
最後に、Photoshop CC 2015.5との違いをもう1点。まず、「デザインスペース」って何?と思った方は2016年6月のこちらの記事からごらんください。「初心者におすすめ?Photoshopのデザインスペースを試してみた」
「デザインスペース(プレビュー)」のUI(Photoshop CC 2015.5)
この「デザインスペース」が、Photoshop CC 2017ではまさかの消滅! でも、この、左側のツールのUI、どこかで見覚えが……。あっ、もしかして、Adobe XD?(※個人の感想です)
Adobe XDのUI
当然、異なるアプリなので違う点の方が多いのですが、「最低限の機能でさくっと作る」という思想は共通しているようにも思えました。そう思うと、この突然の消滅も、納得かな? 今後ますます進化しそうなAdobe XDにも期待が高まります。
アシスタント不要?Creative Cloudの深化を実感。
この連載も、実は今回が最終回! ということで、年末ですし、ここからはくれまさんと二人で、この連載とAdobe Creative Cloudについて、色々振り返ってみたいと思います。
くれま:まず最初に、ここまで読んできた「Photoshopの最新アップデート」についての感想からいきましょう。今回Photoshopに搭載されてきた新機能って、「超絶すごい!」というものではなく、「人により優しい」という方向性かなと思っています。
さくら:地味な変化だけど、ちょっとした違いが嬉しいですよね。
くれま:検索とテンプレート周りの強化は、「まだよく分かっていないけど、Photoshopを触りたい」という人にとって「良きアシスタント」になろうとするニオイを感じますしね。超絶技術を持った「職人」的な人だけではなく、もっとライトな層へのアプローチ。
さくら:私もそう感じます。Creative Cloudライブラリのアップデートなどを見ていると、「チームで円滑にクリエイティブ」あたりもキーワードかな。
くれま:それから、もうひとつ強く感じるのが、「Adobe Sensei」的な「人工知能を活用した画像加工の世界観」です。
さくら:「良きアシスタント」って、その延長線上ですよね。Adobe MAXでのデモを見ましたが、凄いですね〜。
くれま:凄すぎて、ちょっと背筋がすーっとしましたw さくらさんが挙げていた「画像で画像を検索する」機能も、そこに関連していますよね。
さくら:デザインで利用する画像を探すのって、デザイン事務所の下っ端の仕事だったりするじゃないですか? 苦労して検索しながら先輩の言う「ニュアンス」を理解していったりして。「それが無くなっちゃうぞ!」って思いましたね。
くれま:あはは。「人工知能に仕事を奪われるぞ!」って話ですねww でも、その分人間は、もっとクリエイティブな方向に時間を使うことができるようになるんだろうな、と私はポジティブに思っています。
くれま:あと、Photoshop上からも検索できる「ビジュアル・キャンバス・サーチ」のデモ(こちら)は観ました?
さくら:Photoshop上で写真を2枚組み合わせて、それに近い画像を探すデモですね。ほんとにあんなにうまくいくのかな?と半信半疑ですが、なおさら自分の案件でも使ってみたいですね。実装されるのが楽しみです。
くれま:ね。そういえば、関連して、Sneaksの方で紹介された技術にも「文字と適当な線からできたラフから画像を探す」っていう新技術もあったじゃないですか。
さくら:あれも、本当に実装されたら楽しそう。
くれま:あそこらへんって、言語の壁もちょっとありそうだけれど、特に名詞だったら多言語の対応データを持っていそうな気がするので、わりとスムースに実装されたりしちゃったらいいなぁ、と妄想していますw
さくら:技術が人間の想像力を超えてきそうで、それをどう使うかがますます問われてくる、と感じてます。
くれま:「手による技巧」だけではなく、「なにをどう使うか、そもそもなにを作るか」というビジョンの方がより強く問われる時代になるのかな、と感じますね。
さくら:アシスタント的作業をアプリ側が巻き取ってくれることだったり、職人的な技術を誰でも簡単に利用しやすくなったり。そういう進化によって、今後はますます「なにを、なぜ作るか」こそ、重要になってきますね!
まとめのまとめ!12回の連載を振り返ってどうだった?
さくらのまとめ
おつきあいいただきまして、ありがとうございました。私個人としてはいよいよ独立って時から始まった連載なので、感慨深いです。二人でやるということ自体がお互いはじめてでしたし、ブログというメディアだったので、対談形式や動画を取り入れた記事など、色々と自由に発信できてよかったなと思います。
インタビューや本連載の出張版としてのAdobe MAX Japanへの登壇、どれも印象に残っていますが、くれまさんと二人でアレコレ試行錯誤したことで本当に私の勉強にもなりましたし、多くの方から反響をいただいて嬉しかったです。またみなさんと、Creative Stationでお会いできますように!
くれまのまとめ
読者の皆さま、1年ちょっとお付き合いいただいて、本当にありがとうございました!
改めて読み返すと、この連載って、かなり記事テーマの脈絡がないのですよね……(汗) インタビューもあれば、ツールの使い方もありますし。1年ちょっとかけて、スタイルを模索するというか、実験していった感じです。そこに、読者の皆さまを付き合わせて良かったのかどうか、申し訳ない感じでもありますが。しかし、とある方から「自分では絶対知ろうとしないことを書いてくれるので、新鮮で楽しい」という感想をいただいたので、「どっちに転がるか予測できない」という観点からは良かったのかもしれません。
特に私にとっては、「ゲストを訪ねてのインタビュー」がどれも貴重な時間で、個人的にも勉強になったことに、本当に感謝しています。そして、さくらさんとは「仲の良い友人」という関係性だけではなく、「対等に話し合えて、一緒に何かを作り出せるパートナー」という感じを保つことができました。ちょっと緊張感のある雰囲気で。10才以上年の差があるのも、良い方向に働いた感じです(笑)。頑張れば、この2人で新形態の連載ができるかもしれないので、またブレストに力を入れましょう!
ということで、パワーアップして、皆さんの前にまた戻ってこられるよう、今後も精進してまいります。この連載で回収できなかった伏線もいくつかあるので、来年回収できますように……。今後ともよろしくお願いいたします!