撮影におけるシーン設定の重要性

写真を始めると間もなく誰でも、どんな写真でも背景は被写体と同じくらい大切だと教えられます。撮る側にしてみれば、背後にあるものより被写体を見てほしいので当然不思議に思うことでしょう。ただこれは、どのような分野であれ初心者がまず教わるルールや法則のようなもので、時間をかけて経験を積んだうえで初めて本当に理解できることなのです。ただ、教わった時から理解するレベルになるまでの間に、すっかり忘れてしまう恐れがあるので、良い背景を見つけることの重要性について、ここでちょっと思い出してみてください。

背景は被写体から注意をそらすようなものであってはいけない、という原則は、ほとんどの写真家が真っ先に考えることです。頭のてっぺんから電柱が生えていないか確認することぐらいは誰でもわかりますが、この問題をうまく解決するにはやはり、背景について十分な考察をしてから被写体を選ぶべきなのです。

まずは背景を撮影する

いつもと逆の発想でいけば、被写体を配置する前に写真の背景を選ぶようにすれば良いということになるでしょう。とはいえ、辺りを見回して「ここはポートレートを撮影するのにぴったりの場所だ」とだけ考えればいいのではないのです。最初に背景の構成を考え、確実にフレームの中に入るもの、入らないものを検討するのです。こうして背景の構成要素を熟慮すれば、被写体が一番きれいに映る位置が自ずと決まります。

そのシーンがどのように映るのか、被写体の到着前に背景のみを実際に撮影すると効果的です。被写体抜きでもその背景は面白いものとなっているでしょうか?そうであれば撮影はきっとうまくいきます。


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ウェディング・フォトグラファーを参考に

背景に一番気を使わなければならないような大切なイベントといえば、幸せなカップルのフォーマルな写真を撮影する結婚式。撮影者は、美しい光が差し込む場所や一番美しいショットが撮れるロケーションを求めて事前に会場内を探し回ることもしばしばでしょう。この方法は肖像写真からストリート・フォト、スポーツ写真まで、あらゆる種類の写真で使えます。撮影者があれこれ研究し、手間をかけて前もって背景の準備をしておけば、どんなタイプの写真であれ格段に質は上がります。

ストリート・フォトでは、背景の構図を考えたら試し撮りを行うことができます。あとはそのシーンに被写体が入ってくるのを待つだけです。肖像写真では、注意をそらす要素のないすっきりと整ったきれいな背景を見つけ、そこに被写体をもってきます。スポーツ写真では、彼または彼女がフレーム内に走りながら入ってきたり、通り過ぎたりする姿がかっこよく見える場所を探します。もちろん、被写体を十分な明るさのもとシャープに、かつ自然な表情で捉えることは重要ですが、背景が被写体を際立たせるものでなければベストショットは生み出せません。


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All photos courtesy of Damien Demolder

Damianからお話しは、参考になりましたでしょうか?Adobe Stockでは皆さまからの作品をお待ちしております。作品を販売するには、コントリビュータープログラムをご確認ください。(この記事は2017年1月6日に公開された Setting the Scene(著者 Damien Demolder)の抄訳です。)

Damien Demolder プロフィール

Damienは写真尽くしの日々を送るAmateur Photographer誌の元エディター。撮影以外の時間は、www.dpreview.comをはじめとするウェブサイトやAP 誌、British Journal of Photography誌等の雑誌向 けに最新のカメラやレンズに関する記事を執筆したり、商品試用テストを行う。また、新商品や従来の器材の最善の利用法、一段上の写真に仕上げるノウハウを 写真家に伝授するなど後進の指導にもあたる。情熱を傾けているのはストリート・フォトグラフィーだが、ジャンルを問わず写真をこよなく愛する。英国に拠点 を置き、ロンドンや全国で定期的にワークショップを開催。