アドビ、オンラインとオフラインでのショッピングエクスペリエンスの融合を実現する、小売業界向け新機能を発表

近年、消費者のショッピングに対する期待は高まる一方です。消費者の商品購入の方法が進化し続けており、オンラインとオフラインの店舗の両方で常に、直感的で、便利で、本格的なショッピングエクスペリエンスが求められています。アドビが実施したホリデーショッピングのAdobe Digital Insights調査(英語)によると、2016年のホリデーシーズン中に、オンラインショッピングとモバイル端末によるショッピングで記録的な売上高を記録しました(オンラインでの売上高917億ドル、モバイル端末での売上高284億3千万ドル)。つまり、小売企業は、ショッピングのデジタル化を進め、顧客に独自のパーソナライズされたショッピングエクスペリエンスを提供する必要があります。

アドビが実現する統合型の小売業界向けエクスペリエンス

デジタルを駆使するショッピングに慣れた消費者に、効果的で記憶に残るショッピングエクスペリエンスを提供するのは容易ではありません。アドビでは、それを実現するための小売業界向けソリューションを提供しています。例えば、小売企業は、Adobe Creative Cloudエンタープライズ版を利用してシームレスなショッピングエクスペリエンスを創りだし、Adobe Marketing Cloud を利用して、エクスペリエンスの管理、分析、最適化を行うことができます。

また、現在、GANT、Express、Adidasなどの小売企業は、CCエンタープライズ版を利用して、コンテンツをより速く制作していかなければならない「コンテンツベロシティ」というニーズの高まりに対応しています。PhotoshopやInDesignなどのアプリで提供されるCreative Cloudのサービス(ライブラリやStockなど)によってデザインプロセスを高速化でき、価値を生まない反復的なタスク業務を減らすこともできます。小売企業は、最新のデザインをより迅速に低コストで市場に展開することができます。現在、米国小売企業の上位10社のうち8社 (英語)が、Adobe Marketing CloudとCCのエンタープライズ版を利用しています。

アドビは、2017年1月に開催された全米小売業協会(NRF)主催のイベント「ビックショー」 (英語)において、小売企業が提供するエクスペリエンスのさらなるパーソナライゼーションを図り、消費者の購入プロセスをより簡単かつ直感的にする複数のイノベーションを発表しました。

1. Fluid Experiences for Retail

小売企業は、Adobe Experience ManagerのFluid Experiences for Retailによって、実店舗のアソシエイトアプリ、ソーシャルチャネル、看板、IoTデバイス、スマートスクリーンなどのあらゆるタッチポイントにおいてオムニチャネルのエクスペリエンスを実現し、管理することができます。Fluid Experiences for Retailが、チャネルに合わせて自動的に画像や広告コピーの編集やサイズ調整を行うため、コンテンツの集中管理と最適化が可能になり、それぞれのタッチポイントが持つ独自の機能や役割を生かしたパワフルなブランドエクスペリエンスが実現します。

例えば、半年に一度のファッションショーを開催するデパートが、Twitterで新しいファッションラインを140字以内で宣伝するとします。その場合、同一のキャンペーンコンテンツを、Facebook、webサイト、電子メールで共有でき、販売の時期や場所などの詳細情報も提供できます。顧客がブランドの実店舗を訪れると、デジタルサイネージ、顧客アプリ、POSといった消費者をターゲットとする技術がすべて同期化され、一貫性と統一性を備えたショッピングエクスペリエンスが実現します。(Fluid Experiences for Retailは現在、Adobe Experience Managerユーザーにプライベートベータ版で提供されています。)

2. 自動のパーソナライゼーションとレコメンデーション

真にパーソナライズされたエクスペリエンスは、すべての小売企業が目指すところであり、消費者それぞれのニーズと好みにもとづいたインタラクションが不可欠です。Adobe Targetに組み込まれているAdobe Senseiは、新たに自動のパーソナライゼーションとレコメンデーションのエンジンを備えています。小売企業はこの機能によって、顧客のショッピングや行動に関するデジタル情報を活用し、あらゆるタッチポイントでより適切なレコメンデーションや最適化されたエクスペリエンスを提供することができます。

例えば、消費者がオプトインで特定の個人情報を小売企業とシェアすると、店員はサイズ情報やインテリアの好みを把握することができ、消費者の希望する商品を速やかに見つられ、支払いもより効率的になります。

3. 小売業界向けに電子メールマーケティングを強化

最近の電子メールマーケターは、電子メールを暗号化し、パーソナライズして送信するという流れを集中管理できていません。デザインソフトウェアと電子メールマーケティングのツールを行ったり来たりする作業は単調で時間がかかり、構想から実行に至るまで余計なステップが生じます。アドビは、Adobe CampaignAdobe Dreamweaverと統合し、そうした課題に取り組みました。

電子メールデザイナーがDreamweaverで電子メールを作成すると、その電子メールは自動的にCampaignと同期化され、パーソナライズされたコンテクストのある電子メールが速やかに送信されます。電子メールマーケターの半分以上がDreamweaverで電子メールを暗号化し、750件以上の顧客がAdobe Campaignで電子メールを配信しています。(統合は2月にAdobe Campaign Standard 北米ユーザー向けベータ版で行われる予定です。)

アドビが新たなパートナーシップを発表

アドビは、より豊かなインタラクションや、あらゆるエクスペリエンスをターゲットに商取引を再定義し続けます。このミッションを実現し、先日米国で発表したSymphony CommerceおよびMagentoとのパートナーシップ (英語) の拡大を図るため、アドビはMemomi (英語)、commercetools (英語)、Valtech (英語)とのパートナーシップを発表します。今回のパートナーシップにより、オムニチャネルのショッピングエクスペリエンスをいっそう強化し、デジタル店舗および実店舗において小売企業が提供するエクスペリエンスを統合します。また、パートナーシップにはAdobe Experience ManagerとAdobe Marketing Cloudの統合が含まれます。

1. Memomi

デジタルミラーにおける先駆者です。小売企業は、店内にMemomiのMemory Mirror**®**を設置することで、カスタマイズされたコンテンツを消費者に届けることができます。Memomiは、試着室で頻繁に使用されているMemory Mirrorソリューションを開発し、特許を取得しています。利用者がミラーとインタラクションを図ることでミラーはよりスマートになり、買い物客にカスタマイズされたショッピングエクスペリエンスを提供します。

Adobe Experience Managerがコンテンツを送信し、Adobe AnalyticsおよびAdobe Targetが測定と最適化を行います。負荷の多いIT作業は必要ありません。例えば、買い物客はコートを試着し、12秒間の動画を撮影すると、あらゆる角度からの姿を見ることできます。小売企業は、その顧客がそのコートを買ったかどうかを追跡し、好みに合わせ、コートに合うブーツなどを勧めることができます。


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2. Valtech

北米、南米、欧州、アジアに拠点を置くグローバルな代理店であり、長年にわたるアドビの重要なパートナーです。アドビとValtechとのパートナーシップによって、食料品店および大型スーパーマーケットにおけるAdobe Marketing Cloudの実証デモが実現しました。このデモは、ショッピングを物理的なエクスペリエンスからデジタルエクスペリエンスへと移行する方法を検証するものです。スマートフォンやタブレットのカメラで折り込みチラシの商品をスキャンし、デジタルのモバイルショッピングリストを作ると、家族が後からリストに商品を追加することができます。

小売企業はこうした食料品店におけるエクスペリエンスを生かして、一貫性のあるシームレスかつコンテクストに沿ったショッピングエクスペリエンスを顧客のあらゆるデバイスに提供し、顧客とのつながりを強めることができます。

アドビとValtechによる食料品店向けソリューション

3. commercetools

オープンかつクラウドネイティブなマイクロサービスベースの商取引プラットフォームであるcommercetoolsをAdobe Marketing Cloudに接続すると、接続されたスクリーン上のあらゆるタッチポイントで取引が可能になります。commercetoolsによって、幅広いインターフェースセットを継続的に拡張することができ、接続されたミラー、モバイルチャネル、ソーシャルチャネルといったあらゆるデジタルコンテンツで購買につながる体験を提供できます。

小売企業は、Adobe Experience Managerによってあらゆるタッチポイントでエクスペリエンスを生み出し、commercetoolsによってデバイス、チャネル、在庫や出荷などのバックエンドシステムをダイナミックにつなげるAPI(アプリケーションプログラミングインターフェース)セットを利用し、顧客体験を購買へとつなげます。commercetoolsプラットフォームは現代のニーズに即して設計されており、小売企業はカスタマイズされたコマースエクスペリエンスを提供することができます。

エクスペリエンス主導型のコマースで、消費者が必要とするあらゆる場所に

※本記事は、2017年1月17日にAdobe Marketing Cloud インダストリーディレクターのマイケル クライン(Michael Klein)が投稿したブログの抄訳版です。