データによる意思決定:DSPとDMP

マーケターがマーケティングテクノロジーへの要求内容を評価する場合、特に、ツールやシステムではなくプラットフォームを探しているマーケターが直面する問題は、データマネジメントプラットフォーム(DMP)に投資すべきかどうかという点です。

「DMP」は業界の新しい流行語のように見えます。Econsultancy社の調査によると、マーケターの68%はDMPが「将来のプログラマティックなマーケティングの鍵になる」と信じています。そのため、多くのマーケターがDMPの採用は絶対に必要であると信じています。その点については理解できますし、一部の企業にとっては真実となるでしょう。しかし、あらゆる企業に当てはまるわけではありません。

DMPとDSPの概要

以前はDMPとDSP(デマンドサイドプラットフォーム)はほぼ同じ意味にとらえられていました。しかし、現在ではほとんどのDSPは、ある程度の分析ツールやデータマネジメントツールを提供しています。従来、DMPはデータを集めて分類するために使われ、DSPはデジタルメディアバイイングなどのインサイトを獲得するために使用されていました。アナリスト会社のGartnerは、DMPとDSPは「相互依存の関係にある」と述べています。DMPのエンゲージプロセスを説明する前に、DSPのパートナーがDMPの役割を積極的に果たすことができるかどうかに注目しましょう。

DMPはいつ必要になるか?

この質問には、ひと言では答えられません。DMPが必要であるかどうかは企業によって異なります。この質問の答えを見つける鍵は、組織が保有しているデータの量と種類にあります。概略的に言えば、CRMデータを大量に保有している組織は、スタンドアロン型のDMPが必要になります。一方で、マーケティングキャンペーンにおける顧客行動データを主に扱うような企業であれば、データマネジメントツールや分析ツールが標準で付属し、追加コストを必要としない高機能DSPが適しています。

英国の2つの有名ブランドを見れば、その違いは明らかです。British Airways社は、大量のCRMデータを収集しており、乗客の過去の購買行動や将来の購入意思決定への影響に関するインサイトを得ています。このデータの処理にはDMPが不可欠であり、ターゲティング広告のために顧客をセグメント化します。

しかし、主にデジタルチャネルを利用してブランドキャンペーンを行っているCadbury社のようなブランドを考えた場合、CRM型のデータはほとんど、あるいはまったく存在しないため、スタンドアロン型のDMPはそれほど必要ではありません。この場合には、DSPによってファーストパーティの行動データを収集し、キャンペーン活動に有益な価値をもたらすことができます。

概略的言えば、DMPのデータウェアハウジングおよびマネジメント能力は、CRMおよび顧客の購入履歴データを使用する場合に適しており、マーケティングキャンペーンに大きな価値をもたらします。

選択を決める

DMPと、高度なデータマネジメントと分析能力を備えたDSPのどちらを選ぶか判断するには、他の要因も考慮する必要があります。マーケターは、モバイル用、動画用などの目的ごとに異なるDSPを使用し、最終的にあらゆるキャンペーンインサイトをDMPに送るのが良いと信じる傾向があります。このような方法では、システム同士が相互に対話しているわけではないため、データのロスが生じやすくなります。その結果、デバイスをまたぐカスタマージャーニーのデータが分断され、フリークエンシーキャップが不正確になるといった問題が発生します。

単独のDSPを使用した方が容易であり、効率的な場合があります。他のシステムとの対話が不要になる、インプレッションレベルの顧客データがリアルタイムにシステムに戻されます。そして、2つのシステムを使用するよりもひとつにした方がコスト的にも有利です。ただし、それが自社のニーズに合っていることが前提となります。

以上に提示した質問と回答から、マーケターは自社ののデータニーズを検討し、的確なスタート地点を見つけることができるでしょう。あなたが最初にDSPパートナーを選んだとしたら、今後のデータマネジメントのニーズの変化を考えてみましょう。もしDMPが必要になったときには、あらゆるデータをスタンドアローン型のDMPに簡単に移すことができます。

マーケターは、自社とそのブランドに関して的確な判断を下し、的確なタイミングで業界のトレンドを取り入れる必要があります。

※本ブログは米国で公開されたCMO.com記事の翻訳です。