フォトレタッチの極意10:「トーンカーブ」で自由自在に色調補正

連載

Photoshop フォトレタッチの極意

「トーンカーブ」は覚えれば覚えるほど、色調補正を行なう際の自由度が上がっていきます。カーブが画像のどこに当たるのかを見極めれば、思いのままに画像をコントロールできるようになるからです。ここでは具体的に作例写真を使って、トーンカーブを上手に使うための画像の見極め方からカーブの動かし方までを紹介します。解説は、フォトグラファー/レタッチャーの御園生大地さん。「Shuffle by COMMERCIAL PHOTO」に投稿した解説から抜粋しています。

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After(※クリックで拡大)

1、どんな画像にしたいのか、仕上がりの方向性となる「お題」を設定する

(1)調整する画像を開く。

https://blog.adobe.com/media_0f7102e39004339ce7164de865a4d68031402f77.gif

(2)お題の設定

画像は、東京駅近くの「KITTE」という商業施設の内観写真だが、撮影時に暗めに撮られているので、実際にこの場所に立った時のキラキラとした印象が伝わらない。そこで、

「全体の明るさが暗いので、実際の見た目に近い明るさに。できれば2F、3F辺りの壁面から実際のキラキラ感が伝わる写真に調整したい」

というお題を設定する。

2、トーンカーブ調整のための準備

調整したい画像を開いた状態で、Photoshop画面上部のメニューバーから「イメージ」→「色調補正」→「トーンカーブ」と選択し、トーンカーブウインドウを表示させる。

(1)「白トビ」をチェックする

明るすぎて写真に写らなかった部分「白トビ」箇所を調べる。「option(Winはalt)」を押しながら、トーンカーブ下のグラデーションバーの辺りにある白い三角ツマミをクリック。画像が白黒の2階調になり、真っ白に表示されているのが「白トビ」の部分になる。

https://blogs.adobe.com/creativestation/files/2017/03/color11_03-1.jpg

(2)「黒ツブレ」をチェックする

「白トビ」の時と同じように「option(Winはalt)」を押しながら、トーンカーブ下のグラデーションバーの辺りにある黒い三角ツマミをクリック。画像が白黒の2階調になり、真っ黒に表示されているのが、この画像の「黒ツブレ」の部分になる。1Fの辺りは暗く写っているように見えるが、実はほとんど「黒ツブレを起こしていない」=「像が記録されている」、つまり明るくすれば像が出てくるということが確認できた。

https://blogs.adobe.com/creativestation/files/2017/03/color11_04.jpg

(3)トーンカーブ、ヒストグラムで画像の見極め

トーンカーブ、ヒストグラムが画像のどの部分に対応しているか見極める。「option(alt)」キーを押しながら、トーンカーブ下のグラデーションバーの下にある白い三角ツマミをクリックしたまま、白い三角ツマミを左の方へスライド。階調番号100くらいの所で(「option(alt)+クリック」したままで)白い三角ツマミをストップすると、写真の表示が白との2階調に分かれる。これは、白い三角ツマミの階調番号(現在は100)より明るいドットは真っ白に、暗いドットは真っ黒に表示された状態になっている。

https://blogs.adobe.com/creativestation/files/2017/03/color11_05.jpg

ここからわかることは、白い三角ツマミ(現在は階調番号100)より明るい部分(ヒストグラム上で盆地のようなくぼみの部分)は、「天窓と、天窓の写り込み、そしてモニターあたり」に対応する、ということと、

https://blogs.adobe.com/creativestation/files/2017/03/color11_06.jpg

白い三角ツマミ(現在は階調番号100)より暗い部分(ヒストグラムの高い山の部分)は、この建物の3Fから1Fくらいの部分に対応する、ということがわかる。

https://blogs.adobe.com/creativestation/files/2017/03/color11_07.jpg

今回の「2F、3Fあたりのガラス壁面をキラキラさせたい」というお題に沿うには、「この辺のヒストグラムの高い山の部分に当たるカーブを上に持ち上げて、さらにカーブの坂を急にしてコントラストをつければ達成できそうだ」ということが確認できた。

https://blogs.adobe.com/creativestation/files/2017/03/color11_08.jpg

3、お題に沿った部分のトーンカーブを丁寧に作り込む

(1)カーブの組み立て

白いスライダーはひとまず元の位置に戻し、いよいよカーブを組み立てていく。まずは「右手マークのボタン」をクリック。カーソルを画像上に移動して、今度はガラス壁面の白いラインをクリックしたまま上方向にドラッグ。すると、クリックしている部分に対応したカーブが上がり、ガラスの白いラインが連動して明るくなる。

https://blogs.adobe.com/creativestation/files/2017/03/color11_09.jpg

(2)コントラストの調整

続いて、ガラス壁面の暗い部分を少し暗くすることで、ガラス壁面に対応するカーブの坂を急に(=コントラストを高く)する。やり方は先ほどと同様に、今度はガラス壁面の黒いラインをクリックしたまま下方向にドラッグ。

https://blogs.adobe.com/creativestation/files/2017/03/color11_10.jpg

(3)カーブの天井ぶつかりを解消する

ガラス壁面に相当する部分のトーンカーブはできたが、それより明るい部分に当たるカーブが天井にぶつかっている。このままでは天窓がすべて白トビしてしまう。

https://blogs.adobe.com/creativestation/files/2017/03/color11_11.jpg

お題に沿った部分(今回で言うとガラス壁面のキラキラを演出)のカーブができたら、残りの部分は「カーブに極端な変化が出ないような自然な曲線」を心がける。下図のようなカーブを目指す。できたら「OK」をクリックして出来上がり。

https://blogs.adobe.com/creativestation/files/2017/03/color11_12.jpg

Before

After(※クリックで拡大)

さらに詳しい解説は、Shuffle by COMMERCIAL PHOTO 連載の「Photoshop 色調補正ゼミナール」(解説・写真:御園生大地)に掲載されています。素材のダウンロード、ステップアップの応用編なども掲載されています。是非チャレンジしてみてください!

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