「Make the Cut」コンテストチュートリアル | Vol.2 編集テクニック編 #MaketheCut #PremierePro25

連載

Premiere Pro 25周年「Make the Cut」コンテスト

Adobe Premiere Pro 25周年を記念して、ただいま「Make the Cut」コンテストが開催中。

本ブログ記事では、編集コンテストに応募するにあたって、知っておいて損はない Premiere Pro の編集テクニックについて解説します。アドビのビデオ製品エヴァンジェリストの Jason Levine が、Make the Cut 参加者のためにライブストリーミング放送で紹介した 7本のチュートリアル動画から「マルチカメラ編集」、「カラーグレーディング」、「After Effectsとの連携」をピックアップして解説します。

Premiere Pro には複数台のカメラを同時に画面に表示し、まるでテレビのスイッチングをしているようにタイムラインをリアルタイムに切り替えることができる「マルチカメラシーケンス」、またアップデートされ、さらに強力になったカラーグレーディングツール「Lumetri カラーパネル」エフェクトなど強力な機能が多数搭載されています。

Lumetri カラーはカラーグレーディングを行う上で非常に強力なツールです。例えば、画面上の特定のカラーだけを選択して、選択部分のみを自由に色調整することなども可能です。現在多様化する映像制作現場において、色の調整は必要不可欠な技術の一つとなっています。それは YouTube 動画編集者、ミュージックビデオ編集者だとしても例外ではありません。

では、実際に ”Make the Cut” コンテストで提供される映像素材を使って、それら Premiere Pro に搭載されている機能の一部を実践してみましょう。

1. マルチカメラシーケンスを作成する

オーディオ同期機能を活用して、マルチカメラシーケンスの作成・設定します。複数台のカメラを同期して一つのシーケンスに集約し、同時に確認できる”マルチカメラシーケンス”を見ていきましょう。

“Make the Cut”の素材を利用して、実際にマルチカメラシーケンスを作成する事ができます。”Make the Cut”のサイトから素材をダウンロードしてみましょう。映像素材はコンテストサイトより、メールアドレスを入力し、規約に同意するとダウンロードすることができます。詳しくはチュートリアル Vol.1で紹介しています。

Premiere Proでは複数台のカメラをイン点、アウト点、タイムコード、クリックマーカー、またはオーディオを使って、自動的に同期ポイントを認識し、クリップを同期させることができます。今回はオーディオを使って複数台のカメラを同期させてみましょう

  1. プロジェクトパネルの「Audio」「Footage」フォルダをプルダウンで開き、さらに「Dan_Vocals」「Instruments / Bass」「Instruments / Drums」「Instruments / Guitar」フォルダを開きます。
  2. 「Audio」フォルダに入っている音声ファイルと「Dan_Vocals」「Bass」「Drums」「Guitar」各フォルダのオーディオが含まれている映像ファイルを選択。
  3. 選択しているファイルのいずれかを右クリックし、「マルチカメラソースシーケンスを作成」を選択。
  4. ダイアログボックスが表示されるので、名前を付けて各項目を設定し「OK」をクリック。
  5. マルチカメラシーケンスが作成されていることを確認し、右クリックから「タイムラインで開く」をクリックしてタイムラインを表示します。

//www.youtube.com/embed/57Aek730DNU

マルチカメラシーケンスでは一番はじめに選択したオーディオ、またはクリップのオーディオがプライマリーオーディオになります(マルチカメラシーケンス作成時にどのオーディオを使用するか切り替え可能です)。
同じオーディオを利用して、その他のカメラ”Bass”,”Drums”と同期させることもできます。自分の編集の好みに合わせて、マルチカメラシーケンスを作成し、活用してみましょう。

2. シーンを切り替える

キーボードショートカット、編集ツール、簡単なスクリーンオーバーレイを使用してマルチカメラシーケンスを編集します。

それでは作成したマルチカメラシーケンスを実際にタイムラインに配置し、複数台のカメラをリアルタイムに編集していきましょう。
マルチカメラシーケンスを利用するにはまず、「マルチカメラ表示を切り替え」ボタンをプログラムモニターパネルに追加する必要があります。

  1. ボタンエディターをクリックし、「マルチカメラ表示を切り替え」ボタンをプログラムモニターパネルにドラッグしてボタンを追加します。ボタンエディターはプログラムモニター右下の十字ボタンです。
  2. 「マルチカメラ表示を切り替え」をクリックし、プレビュー画面の左側にクリップ、右側に大きなプレビューが表示されるようにします。
  3. ショートカットキー(数字キー)やクリックで簡単にスイッチングができるので、動画を再生しながら好きなタイミングで好きなアングルに切り替えます。切り替えたカットポイントはリアルタイムにタイムラインに記録されていきます。
  4. カメラを複数台使用する場合、自分がどのカメラを表示しているのかわからなくなる場合があります。プログラムモニターパネルの設定をクリックし「オーバーレイ」からメタデータを表示できます。
    シーンの切り替えのタイミングや長さを編集したい場合は、クリップの端をドラッグするだけで調節ができます。
  5. コントロールキー(Mac:コマンドキー)を押しながらシーンのつなぎ目をダブルクリックし、「選択項目にデフォルトのトランジションを適用」からクロスディゾルブのエフェクトを適用することができます。

//www.youtube.com/embed/Fehiv_ZN8SA

マルチカメラシーケンスを使用すると音楽のリズムに合わせ直感的に編集を進めることが可能です。音楽を聴きながらリアルタイムにミュージックビデオを編集し、後から調整する事ができます。リズムだけでなく、編集作業も非常に効率的に進めることができます。

3. カラーグレーディング

Lumetri カラーパネルを使用すると、画像編集ソフト「Adobe Photoshop Lightroom CC」のような操作で色調の補正や変更が可能になります。Lumetri カラーはカラーグレーディングを行う上で非常に強力なツールです。Lumetri カラーには様々なLUTプリセットが既に多数用意されており、フィルムルック、ビビッドなトーンなどあなたの好みに合わせてベーストーンを切り替えることが可能です。

  1. ワークスペースを「カラー」に切り替え、編集したいシーケンスを選択します。
  2. 「基本補正」では、ホワイトバランスやトーンの編集ができます。
  3. 「クリエイティブ」では、プリセットを選択するだけで複雑な Lumetri Look を簡単に適用することができ、さらに編集を加えることができます。
  4. 「HSL セカンダリ」では、選択されたターゲットカラーのみをカラー補正することができます。
  5. 適用させた効果は、ソースモニターパネルの「エフェクトコントロール」からすべて確認でき、簡単にオン・オフの切り替えができます。

//www.youtube.com/embed/9BknsPGyFeE

グレーディングパラメータは全て非破壊でクリップのカラーを調整するので、いつでもオリジナルのカラーに戻って調整し直すことができます。また特定のカラー、例えば人物の肌の色だけを選択して、全体のライティングや、雰囲気に合わせて人物の肌のトーンのみを任意に調整することもできます。

4. After Effectsとの連携

Dynamic Linkによって、Premiere Proへ読み込まれたAfter Effectsコンポジションは、変更がリアルタイムにPremiere Proで反映されます。

Premiere Proの大きな強みはCreative Cloudとシームレスに連携する事が可能な点です。近年編集作業の現場においてもAfter Effects との連携が非常に重要視されるようになりました。様々なエフェクトアーティストとのコラボレーションだけではなく、編集者自身がAfter Effects とPremiere Pro を利用して、より複雑な合成、エフェクトの作成が実現可能となりました。

  1. 効果を加えたいクリップを右クリックし「After Effectsコンポジションに置き換え」を選択します。
  2. クリップを After Effects がコンポジションとして開きます。
  3. 「横書き文字ツール」を使って文字を追加したり「エフェクト&プリセット」から好きな効果を追加するなどして保存します。
  4. Premiere Proに戻ると、After Effectsで編集した部分が自動的に反映されているのが確認できます。

//www.youtube.com/embed/ygs7PSxQxEo

複雑なエフェクトを作成する場合、これまでは複数のプロジェクトファイルを行き来し、エフェクトを制作し、書き出し… Premiere Pro はAfter Effectsとの連携により、そのような無駄な作業をする事なく、自動的にAfter Effects で制作したエフェクトをPremiere Proのタイムラインに反映する事ができます。

これまでは実現しづらかった、横軸(ノンリニア編集時間軸)方向の編集の流れを確認しながら、エフェクトを制作できるのはエフェクトアーティストにとっても編集者にとっても大きな強みです。

After Effectsで動画を書き出す必要がなく、編集上でタイミングを見ながら細かなエフェクトの修正に集中できるので、最終的な仕上がりのクオリティにも良い結果をもたらす事でしょう。

今回、紹介したTipsはPremiere Pro 搭載機能のごく一部ですが、Premiere Pro を利用する事であなたの編集表現の幅が大きく拡大されることを期待しています。Jason Levine の “How to Edit a Music Video with Adobe Premiere Pro CC” ではその他にも、マーカーを使って自動的にタイムラインに素材を並べる方法や、タイムリマップを使って任意にクリップ内の速度を調整する方法など”Make the Cut”コンテストに利用できるとても有益なPremiere Pro Tipsも紹介しています。 そちらも合わせて、是非、チェックしてみてください!